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イランの大規模墓地は、必死でウイルスに遅れを取らないようにしている

ペルシャ語で、ベヘシュテ・ザフラー共同墓地、あるいは預言者ムハンマドの娘にちなんで名付けられた「ザフラの楽園」では、見慣れた新型コロナウイルス感染者の遺体が毎日救急車で到着する。死亡したイスラム教徒に必要とされる遺体を洗う儀式のために、遺体安置所の職員はそれぞれの遺体を準備する。(AP通信写真/Ebrahim Noroozi)
ペルシャ語で、ベヘシュテ・ザフラー共同墓地、あるいは預言者ムハンマドの娘にちなんで名付けられた「ザフラの楽園」では、見慣れた新型コロナウイルス感染者の遺体が毎日救急車で到着する。死亡したイスラム教徒に必要とされる遺体を洗う儀式のために、遺体安置所の職員はそれぞれの遺体を準備する。(AP通信写真/Ebrahim Noroozi)
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12 Nov 2020 12:11:36 GMT9
12 Nov 2020 12:11:36 GMT9

ベヘシュテ・ザフラー共同墓地は現在、毎日到着する遺体の数が通常の2倍になっており、イランを襲う新型コロナウイルスのパンデミックに必死で遅れを取らないようにしている

  • ベヘシュテ・ザフラー共同墓地は、世界屈指の大きさの共同墓地の1つで、テヘランの860万人の市民のための主要な墓地だ

イランのテヘラン:半世紀以上の間、イランの首都の端にある大規模な墓地は、この国の戦没者、有名人や芸術家、思想家や指導者、そしてありとあらゆる全ての人々のために、永眠の地を提供してきた。

しかし、ベヘシュテ・ザフラー共同墓地は、毎日到着する遺体の数が通常の2倍になっており、墓堀人たちが数千カ所の新たな区画を掘っている状況で、イランを襲う新型コロナウイルスのパンデミックに、必死で後れを取らないようにしている。

「この墓地の歴史の過去50年間で、ここで私たちが経験したあらゆる危機は、現在の危機と比べれば、ほんの数日か、長くても1週間で終わる程度のものでした」と、この墓地の管理者、サイード・カル氏は語った。地震の間や1980年代のイラン・イラク戦争の間でさえ、ベヘシュテ・ザフラー共同墓地に遺体が運ばれて来るペースが、これほど速くなって、これほど長期間続くことは今までなかった、とカル氏は語った。

「今や私たちは260日間危機的状況にあります。そして、あと何か月私たちがこの危機に直面することになるのか分かりません」と、カル氏は語った。

5平方キロメートル(1320エーカー)以上広がる敷地に、160万人が埋葬されているベヘシュテ・ザフラー共同墓地は、世界屈指の大きな共同墓地の1つであり、テヘランの860万人の市民のための主要な墓地だ。1979年のイラン・イスラーム革命の指導者の埋葬地、イマームホメイニー聖堂の金色の尖塔が数キロメートル(数マイル)離れていても見ることができる。

しかし、今年早くにイランを襲い、この地域に感染の種を蒔き、最悪の大流行を招いた新型コロナウイルスにとって、この墓地は十分に大きいものではなかった。

イランは70万人以上が感染し、3万9,000人が死亡し、この1カ月間で1日あたりの死亡者数は10倍を記録したと発表した。この国が発表したウイルスによる死亡のほぼ半分が、テヘランで起きているので、この墓地に重圧がかかっている。

はるか昔、イラン・イラク戦争の戦没者の墓や、政治家の墓のはるか先に、この共同墓地は新たに範囲を拡大している。イラン政府の指導者たちは6月、そこに15,000人分の新しい墓を、つまり例年よりさらに約5,000人分以上の墓を準備していると発表した。衛星画像が9月から写したこうした区画は、新しく掘られていて、土とレンガの層でそれぞれ分けられており、それぞれ3人の遺体を収められるほど十分に深かった。

新しい墓が全部、新型コロナウイルスのためではないが、大半はそうだ。

この巨大な共同墓地の「市長」と呼ばれることもあるカル氏にとって、このペースは以前見てきたことを超えている。

「私たちは毎日150人から170人の遺体を受け入れてきたものでした。しかし、私たちが最多となる死亡者数を経験している近頃は、平均して350人の遺体を受け入れています」と、同氏はAP通信に語った。

膨大な仕事量はまた、この共同墓地の職員にも重圧をかけている、とカル氏は語った。

イランの他の共同墓地が、どのように対処しているのかは明らかではない。3月、シーア派の神聖な都市、コムの共同墓地で、白装束に包まれて、黒い遺体袋に入れて、ジッパーを閉められた複数の遺体の動画をオンライン上に投稿し、全員が「コロナ感染」していたと主張したことで、当局はある男を逮捕した。この墓地の関係者はその時、遺体のウイルス検査をしていたと語った。

ペルシャ語で、ベヘシュテ・ザフラー共同墓地、あるいは預言者ムハンマドの娘にちなんで名付けられた「ザフラの楽園」では、見慣れた新型コロナウイルス患者の遺体が毎日救急車で到着する。死亡したイスラム教徒に必要とされる遺体を洗う儀式のために、遺体安置所の職員はそれぞれの遺体を準備する。

その後、会葬者たちがお互いに距離を保てるように、それぞれが間隔をあけて足元に表示された正方形の枠の上に立ち、イマームが祈りの言葉を暗唱する。

「近頃、私は平均して(COVID-19の感染者のために)およそ25回から30回、自分だけで死者への祈りを捧げています」と、聖職者のメイサム・ラジャビ師は語った。

「私たち約12人は毎日亡くなった人のために、他の者もそれぞれが私と同じ回数くらい祈っているのです。これは大変な数字です」

会葬者は墓地まで遺体に付いて行き、そこで手袋と使い捨ての作業用つなぎ服に身を包んだマスク着用の別の職員たちが、永眠の地に遺体を下ろす。

愛する人を失った人々のうめき声が、次の葬儀を待つ新たに掘られた墓穴一帯にこだまする。

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