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エルドアン大統領の新しい任命はクルド紛争解決の糸口となるか

レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は火曜日、エフカン・アラ元内相を副党首に任命した。(AP通信)
レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は火曜日、エフカン・アラ元内相を副党首に任命した。(AP通信)
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13 Nov 2020 06:11:13 GMT9
13 Nov 2020 06:11:13 GMT9

アラブニュース

アンカラ:現在トルコを揺るがす政治的な激震の中で、比較的「穏やかな」重要ポストに任命された1人の人物が、数十年に及ぶクルド紛争に対するトルコのアプローチに大きな影響を与えることになるかもしれない。

レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は火曜日、与党の公正発展党(AKP)の外交担当となる副党首にエフカン・アラ元内相を任命した。

この任命により現実的な改革が進めば、トルコのクルド人コミュニティに対してよりソフトで融和的なトーンを示すことができるだろうと専門家は分析する。

アラ氏の任命は、元財務大臣のナシ・アグバル氏が中央銀行のトップとしてムラット・ウイサル氏の後任に就任したことや、日曜日に辞任したエルドアン大統領の息子婿であるベラト・アルバイラク氏が財務・金融大臣に就任したルトフィ・エルバン氏の後任に続いて行われたものである。

2016年7月のクーデター未遂直後に辞めるまで内務大臣を3年間務めたアラ氏は、2018年の選挙で国会議員に選出された。彼の閣僚ポストは、これまで物議を醸してきた人物、スレイマン・ソイルー氏に引き継がれていた。

大臣としてのアラ氏の最も目覚ましい取り組みの一つは、政府と非合法組織クルディスタン労働者党(PKK)との間の和平プロセスを支援したことである。

北東部エルズルム県出身のアラ氏は、2003年から2007年まで南東部のバトマン県とディヤルバクル県の知事を務めた。トルコ政府とPKKの対立がピークに達した時期でもあった。

紛争解決への道筋が難航していた頃、彼は政府に代わって和平交渉を行ったチームの一人であった。また、1999年からイムラリ島の刑務所に収監されているPKK指導者アブドラ・オカラン氏とも対話をしている。

アラ氏はまた、2015年2月に人民民主党(HDP)の国会議員らと会談を行い、トルコ政府とPKKの停戦を確実にするために必要なステップの概要を示した。5カ月後に行われた交渉の結果発せられた10項目の宣言は、当時HDPとAKPの議員らが共有していたロードマップの和解的な内容すら受け入れないと述べたエルドアン大統領に支持されることはなかった。

「アラ氏は、和平プロセスに到達するための、政府与党と親クルド人民民主党の間の橋渡し役が務まるかもしれないほどの人物である」と、ディヤルバキルに拠点を置くラウェスト研究センターの所長であるRoj Girasun氏は、アラブニュースにこう語った。 

アラ氏はHDPに近い地方権力者や政治家を含むクルドの政治エリートの支持を得ており、これまで他のAKP幹部が受けたことのないほどの支持を得ているという。

HDPは現在、トルコ議会で最大の政党である。昨年3月の地方選挙では65に及ぶ自治体で当選者を出したが、6人の市長は職務権限を与えられず、他の議会でもテロ関連の容疑等で徐々に解散に追い込まれ、最終的に政府の任命者に取って代わられた。11月現在では、HDPは6つの地方自治体を擁している。

アンカラに拠点を置く政治アナリストのBurak Bilgehan Ozpek氏は、アラブニュースの取材に対し、政府の最新の任務は、政治的プラグマティズムの時代を暗示していると語った。

「これまでのようにトップダウンで国家安全保障やナショナリズムの考え方に基づいた政策を押し付けるのではなく、政府は地方に耳を傾けることで草の根の政策を展開し始めているように見える」と彼は述べた。

Ozpek氏は、政府がソフトで現実路線的な口調のナショナリズムを唱えて、クルド系住民との対話を開始するための措置を取る可能性があると指摘した。

「この呼びかけに対しHDP支持層が直ぐに反応することはないだろうが、国家との絆を意識するクルド人の有権者からは何らかの好意的な反応が得られるかもしれない」と述べた。

「しかし、クルド系の大臣を任命するとか、政権のナショナリスト的な反応を抑制させるなどの変化の波を起こさなければ、今回の任命は体裁的な措置として見なされる可能性がある」とOzpek氏は付け加えた。

一部の政治家は、アラ氏の任命が、人口の約5分の1を占めるクルド人コミュニティとの待ち望んだ和平にどこまでつながるのか、懐疑的な見方をしている。

11月9日、クルド人が多数を占めるシルナック県では、HDPチズレ地区共同議長のGuler Tunc氏とチズレ共同市長を解任されたHDPのBerivan Kutlu氏を含む少なくとも10人が家宅捜索の後、チズレで身柄を拘束された。

南部アダナ州のHDP議員Tulay Hatimogullari氏は、「私たちは、クルド人の和平プロセスを軌道に乗せるための、自分たちの役割を果たす準備ができているが、政府はコミットメントを示す強いシグナルを私たちに送ってくれない。選挙によって選ばれた市長が解任され、毎日のように差別と政治的弾圧に直面しているクルド人は、その信頼を著しく損なっている」と語った。

「南東部の各州ではクルド人家族の少なくとも1人が最近、政治的理由で投獄されている。彼らが選出した市長も投獄されている。HDPやPKKとの交渉が突如として終了して以来、彼らの信頼を取り戻すためには多くの具体的な手段を講じる必要がある。全ての政党は、体裁的な措置を取るのではなく、議論のテーブルに着くべきだ」と彼女は付け加えた。

最近、数十人のAKP議員が、離党したDEVAと未来の党に鞍替えする準備をしていると噂された。

Hatimogullari氏は「アラ氏は和平プロセスのすべての段階に関与していた。アラ氏がこれらの交渉機密の詳細を公表するという懸念があるのかもしれない」と述べた。

「経済状況が悪化し、貧困への不満が高まる中、党内の中核的な人物の中には、沈みゆく船から早く脱出しようとする者もいるかもしれない」と付け加えた。

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