• Halanの最大の課題は、増加する需要に対応できるか、そしてUberやCareemなどのエジプト市場の大手プレーヤーを打ち負かすことができるかである

ムハメド・エル=シャマー

カイロ：Uber、Careem、及びSwvlなどの競合他社との差別化を図ろうと、エジプトに拠点を置くHalanは利用者に三輪タクシーでの送迎を提供する新たなアプリを公開した。

エジプトではHalanのアプリユーザー数は750万人近くであり、それを支えているのはエジプト各地で行き交う多くの三輪タクシーだ。

エジプトのバイク・三輪タクシー連盟を率いるナグラー・サミ女史によると、エジプトには300万台の三輪タクシーがあるが、そのうち営業に必要なライセンスを取得しているのは99,000台のみであるとのデータが、3月に中央動員統計局（CAPMAS）から発表されている。

Halanで業務執行取締役を務めるムーニル・ナフラ氏は、出資者の中には「立ち上げ直後に展開したマーケティングキャンペーンだけでなく、アプリケーションの作成に貢献してくださった方もいます。こうした要素が全て重なって、エジプトで広くアプリが使われるようになり、成功を収めることができました」と語る。

ナフラ氏によると、バイクタクシーを7km利用すると約13.5エジプトポンド（0.8ドル）かかり、所要時間は約20分とのことだ。一方でタクシーであれば同じ距離でも20エジプトポンドかかり、所要時間は1時間になる。燃料価格の上昇のため利用費も上昇したが、他の交通系アプリよりは利用費の上昇が抑えられているとのことだ。

ナフラ氏は、Mashaweeryの創業パートナーであり、同社は国内各地に100以上の支社を持ち40,000人のアクティブユーザーを抱える、エジプト最大の小型交通企業となった。同社は国内でアプリに登録しているほとんどのバイクタクシーと三輪タクシーに資金提供している。またナフラ氏はマクロファイナンスを提供するTasaheelも立ち上げ、エジプト各地に100以上の支社と350,000人の顧客を抱えている。

Halanの最大の課題は、増加する需要に対応できるか、そしてUberやCareemなどのエジプト市場の大手プレーヤーを打ち負かすことができるかである。

エジプトでは三輪タクシーは大都市の中心部では禁止されているが、公共交通部のエマド・ハメド大佐は『Arab News』に対して、同国の三輪タクシーは「大量に混沌状態で」使われているので存在が既成事実化していると語る。

また三輪タクシーは、強盗、レイプ、及び嫌がらせの件数の増加の主な原因の1つにもなってしまっている。

ハメド大佐によると、結果的に車でのアクセスが難しい村や地域においては三輪タクシーを合法化する必要に迫られたが、同時に都市部でスクーターが営業することは防いでいるとのことだ。交通部が大都市での三輪タクシーの導入に反対したのは、三輪タクシーは危険で安全対策と防犯対策が欠如していると判断したからだと同大佐は説明する。

しかし、三輪タクシーはもはや社会から排除することができない存在となっている。ハメド大佐は、三輪タクシーを合法化することによって、違反者を見つけやすくなることから、犯罪が減ることになるだろうと語る。Halanアプリについては、同アプリで全ての三輪タクシーの運転手の監視ができることが、合法化のプロセスでは重要な一歩だとハメド大佐は語る。「プロセスが行き当たりばったりになることを防ぐために、アプリに登録している運転手は全員営業に必要な三輪タクシーの免許を有していなければならないという法律が必要だと思います」

カイロ郊外の上流階層が集まるマーディ地区で運転手としてアプリに登録しているアフメド・フセイン氏は、アプリのおかげでより簡単に乗客を見つけられるようになった上に、自身にとっても安全性が確保されていると語る。しかしフセイン氏は、乗客の全員がアプリを使っているわけではないことも付け加えた。「毎日、多くても利用者の4分の1ですね」とフセイン氏は明かす。

同氏は、三輪タクシーにライセンスプレートを付ければ、強盗、嫌がらせ、及び脅迫などの犯罪を減らすことができるだろうと言う。なぜなら、三輪タクシーの運転手の一部がそのような犯罪に手を染めるのは、追跡が難しいと考えて安心しきっているからとのことだ。それによって他の三輪タクシーの運転手まで評判が傷つけられていると同氏は語った。

『Arab News』は数名の中流階級のエジプト人ユーザーに話を聞いた。マーディ在住のダリアさんは、運転手の名前とライセンスプレートの番号がわかるため、自身にとって安全と考えて利用していると語った。

しかしダリアさんの母親は、自身はスマートフォンを持っていないためアプリを利用していないとのことだ。