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トルコ政府の政治的亀裂が国家主義者の支持により深まる

トルコ・アンカラの議会での会合で与党AKPの党員に挨拶するトルコのタイイップ・エルドアン大統領。2020年11月25日。(ロイター通信)
トルコ・アンカラの議会での会合で与党AKPの党員に挨拶するトルコのタイイップ・エルドアン大統領。2020年11月25日。(ロイター通信)
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26 Nov 2020 07:11:52 GMT9
26 Nov 2020 07:11:52 GMT9
  • トルコの司法、経済、その他の分野において改革が必要であることは明らかである

メネクセ・トキエイ

アンカラ: DEVA党とFuture党の2つの分離政党の勢力が拡大する中、大統領府に近いトルコ政府高官は、公正発展党(AKP)の決定を批判した。

大統領高官諮問委員会の委員であるブレント・アルンチ元副首相は、火曜日辞任した。今回のアルンチ氏の辞任は、クルド人政治家のセラハティン・デミルタス氏と著名な実業家で反体制派の市民社会活動家でもあるオスマン・カヴァラ氏の投獄を批判したアルンチ氏の最近の発言を巡り、レセップ・タイイップ・エルドガン大統領と対立したことを受けてのものである。

「トルコの司法、経済、その他の分野は明らかに改革を必要としています。トルコは緊張を緩め、国の問題に対する解決策を見出す必要があります。私は大統領高官諮問委員会の委員としての立場を退くことの方がより適切だと判断しました」とアルンチ氏はツイッターでコメントしている。

今回のアルンチ氏の辞任は、エルドガン大統領の娘婿のアルバイラク財務大臣の辞任に続くものであり、日曜日の夜の非常に衝撃的なインスタグラムの投稿により発表された。

エルドガン大統領がトルコ司法の改革を発表した数日後の11月20日に放映されたインタビューで、アルンチ氏はカヴァラ氏とデミルタス氏の釈放を擁護した。エルドガン大統領の発言は「不快だった」するアルンチ氏について、エルドガン大統領は激しく非難した。

親クルド派の人民民主党の元共同党首であるデミルタス氏は、2016年11月にテロ支援疑惑により投獄された。 欧州人権裁判所がデミルタス氏の即時釈放の判決を下したにもかかわらず、デミルタス氏は最大142年の懲役刑に直面している。

アルンチ氏は「逮捕を罰に変えてはなりません」と述べ、人々に対し「クルド人と彼らの苦しみを理解するため」デミルタス氏が刑務所で執筆した絵本「デヴラン」を読むよう促した。

カヴァラ氏については、これまで一度も有罪判決を受けたことはないものの、2017年から投獄されている。

ブルックリン大学のトルコ専門家であるルイス・フィッシュマン氏は、「アルンチ氏は、AKP党内のより非合理な勢力により脇に追いやられた新たな大物の一人として落ちていくでしょう。このAKP党内の非合理な勢力は、党内の批判に耳を傾けるより、その小さいながらも主張の強い彼らの仲間を奮起させることにより興味があるのです」とアラブニュースに語った。

また、「エルドガン大統領にとってこの動きは、国外におけるトルコに対する印象を変えることが動機となっている司法改革に対する大統領の期待を損なう可能性があります」と付け加えた。

しかし、民族主義者行動党(MHP)の党首であるデブレト・バフチェリ氏は火曜日に否定したものの、AKPとMHPの間で結成された人民連合内に亀裂が生じているという複数の噂がある。

「臆病者、謀略者、詐欺師が人民連合を標的にしているのです」とアルンチ氏は述べた。AKPの共同創設者であるアルンチ氏の最近の発言は、バフチェリ党首の怒りを買ったと言われている。バフチェリ氏はこの発言を受けて圧力をかけアルンチ氏の更迭を推し進めた。

ディヤルバキル南東部のクルド人弁護士や活動家101人に対する最近の活動は、民族主義政党であるMHPとの連合のために実施されたと言われている。

フィッシュマン氏は、アルンチ氏の辞任は、トルコ政府が司法改革に真剣に取り組む準備ができていないという強いメッセージをヨーロッパと米国のバイデン次期政権に送ることになるだろうと述べた。

「AKPは今板挟みとなっています。改革が国の弱体化した状態を実際に強化できるとは考えにくく、MHPからの支援を失うリスクがあります。しかし、改革を行わなければ、国際社会で衝突が継続するという現実に直面します。近い将来、どのような道を歩むのかを見守る必要があるでしょう」と語った。

イスタンブールにあるサバンジュ大学の政治学者であるベルク・エセン氏は、トルコの新型コロナウイルスの感染拡大後に悪化した経済危機により与党連合は大きな打撃を受けていると述べた。

「2018年に導入された超大統領制は、国内政治と国際社会におけるトルコの統治の歴史を悪化させただけです。経済的困難に直面しているにもかかわらず、トルコ政府は特に主要都市部で拡大する国民の不安に対処するのに十分な資源を持っていません」とエセン氏はアラブニュースに語った。

エセン氏は、ジョー・バイデン氏の最近の大統領選挙での勝利は、バイデン時期政権がエルドガン政権に対し直ちに国際的圧力をかけるのではないかというエルドガン大統領の懸念に拍車をかけていると述べた。

「そのため、カヴァラ氏やデミルタス氏の解放など中途半端な措置を取ることにより、トルコの旧同盟相手をなだめるため何らかの表面的な措置を取らざるを得なかったのかもしれません。党の民族主義路線からの転換は、アルンチ氏のような元AKPの重鎮らからも支持されていました」とエセン氏は加えた。

しかしMHPからの反発もあり、両党の蜜月期は長くは続かなかった。

エルドアン大統領は水曜日の議会グループに向けた演説で、「与党AK党と超国家主義のMHPとの連合は、負傷者を多数出した7月15日のクーデター未遂事件の際に引き裂かれました 」と述べた。

アルンチ氏の批判に反論し、民族主義的感覚を持つ者らに歩み寄ったエルドアン大統領は、「トルコにクルド人問題はもはや存在しません」「デミルタス氏は手が血で覆われたテロリストです」とも述べた。

エルドガン大統領はまた、デミルタス氏とカヴァラ氏の釈放を要求した者らについて「裁判所への命令を禁止する憲法138条に違反している」として、司法に対し行動を起こすよう求めた。

エセン氏によると、政治的危機がエルドアン大統領の権力保持力を弱めているという。

「これにより、エルドアン大統領はMHP党首であるであるバフチェリ氏への依存度を高めました。バフチェリ党首は与党連合の中心人物であり、エルドアン大統領に対し、反対派に対処する手段として国粋主義的な攻撃材料を提供しています」と彼は語った。

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