Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • カタール、市民らの非難の中でトルコの救済に動く

カタール、市民らの非難の中でトルコの救済に動く

Short Url:
28 Nov 2020 05:11:06 GMT9
28 Nov 2020 05:11:06 GMT9
  • この二国間関係が市民らの抗議の火種となった。トルコの人々は、ペルシャ湾岸国カタールに対する戦略的資産の売却を非難している。
  • トルコはカタール投資庁に対し、イスタンブール証券取引所の10%の株式を譲渡した。

メネクセ・トキアイ

アンカラ―トルコとカタールは26日、両国関係を発展させる一助とするため、数百万ドル規模の投資取引契約に署名した。

この外部資金は、トルコの通貨危機を軽減することになるだろう。外貨準備が枯渇したため、トルコの通貨リラは今年に入って約40%下落した。

しかし、この二国間関係が市民らの抗議の火種となった。トルコの人々は、ペルシャ湾岸国カタールに対する戦略的資産の売却を非難している。

トルコはカタール投資庁に対し、イスタンブール証券取引所の10%の株式を譲渡。この結果、トルコ・ウェルス・ファンドが所有する同取引所の株式は80.6%まで下落した。

通貨スワップ取引に既に150億ドルを注ぎ込んでいるカタールは、トルコ最大級のショッピングモールであるイスティニエ・パークの42%の譲渡株式を10億ドルで購入している。さらもカタールは、マリーナ開発プロジェクトのイスタンブール・ゴールデン・ホーンに対しても、投資を約束している。

トルコの主力野党である共和人民党のケマル・クルチダルオール党首は、政府がカタールと契約を交わしたことを非難。カタールにトルコの大統領宮殿を売却したとしても、驚かないほどの事態だと述べた。

「カタールへのそれほどまでの愛情は、どこから来るのか?すべてが売却されようとしている」。クルチダルオール党首は27日、テレビ番組の中でこう述べた。

批評家たちは、カタールの投資はトルコ経済にとって憂慮すべき動きとみており、一連の契約については“最高に不吉な取引”と称している。

トルコ中央銀行の元チーフ・エコノミストで、現在はアンカラにあるビルケント大学経済学部教授のハカン・カラ氏によると、このほぼ個人的な関係により単一の資金源から集中的に得た資金は、トルコ政府がこれまで強調してきた「外国資本への依存度を減らす必要がある」という考え方と矛盾するものだった。

同氏はアラブニュースの取材に対し、「歴史が示しているのは、このような個人的関係への依存により、他の多くの面で妥協を余儀なくされる可能性があるということだ」と述べた。

両国の一連の合意により、トルコには3億ドルの資本が流れることになる。カタールからの投資総額は、220億ドルに達した。

ワシントン DCにあるアラブ・ガルフ・ステート・インスティテュートの常勤研究者のロバート・C・モギエルニツキ博士は、カタールはここ数年トルコに対して積極的に経済的支援を行ってきたが、そうした支援政策には政治的な側面もあった、と述べた。

「トルコにおけるカタールの株式資本の大幅な増大は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦からの投資の減少分を補ってきた」。モギエルニツキ博士はアラブニュースの取材にこう話し、次のように続けた。「カタールのトルコへの投資は、2015年から16年にかけて急増した。このことは、両国の経済的協力関係が、2017年のカタール外交危機よりも前に強化されており、それ以前の2014年の湾岸地域の紛争に根差している可能性が高いことを示唆している」

カタールとの新たな投資取引は、トルコが陥っている景気低迷の現状に対処する上で重要ではあるものの、専門家らは、経済の多様化の必要性を訴えてきている。

「トルコはなお、他の国々との経済関係を強化し、深める必要がある。カタールとトルコの協力関係は、巨大なトルコ経済を支えるために必要なの数多くの二国関係のひとつにすぎない。トルコにとっての大きなリスクとは、現在の取引や投資契約の政治化が、将来のさまざまな機会を制限するということだ」。モギエルニツキ博士はこのように付言した。

ロンドンのブルーベイ・アセット・マネジメントの上席新興市場ストラテジストであるティモシー・アッシュ氏によると、最近の両国間の取引は、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領政権とカタールとの間で長期的に継続している強い絆のあらわれだという。

「カタールはトルコにおいて、活発かつダイナミックな投資元であることを実証してきたものの、150億ドルの資金供与では大きな変化は起きないと私は思う」。アッシュ氏は、アラブニュースの取材にこう述べた。「カタールの投資はトルコにとって有益だが、トルコが年間2000億ドルもの外部資金を必要としていることを考えれば、取るに足らないものだ。カタール政府は2018年、トルコに対して150億ドルの資金援助を約束した。この資金のうち、スワップ取引に50億ドル、貸付に50億ドル、投資に50億ドルが費やされることになっていた。結果的にスワップは、貸付分が転換されたことで計100億ドルになった。私たちが今週目の当たりにしているのは、この投資の転換が明るみに出たということだと思う。新たな資金ではないと考えている」

特に人気
オススメ

return to top