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アッバース大統領の選挙布告によってパレスチナ統一への希望が高まる

2021年1月15日、マフムード・アッバース大統領がパレスチナ中央選挙委員会のハンナ・ナセル委員長とラマッラーで会談する。(ロイター)
2021年1月15日、マフムード・アッバース大統領がパレスチナ中央選挙委員会のハンナ・ナセル委員長とラマッラーで会談する。(ロイター)
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17 Jan 2021 03:01:12 GMT9
17 Jan 2021 03:01:12 GMT9
  • 15年ぶりの選挙によって「現在極めて必要とされている民主主義がもたらされることになるだろう」
  • パレスチナ自治政府(PA)は5月22日に議会選挙、7月31日に大統領選挙を実施する

ダウド・クッタブ

アンマン:パレスチナ国のマフムード・アッバース大統領が15年ぶりに議会選挙と大統領選挙を行うことを発表した。それによって長年にわたる分裂に終止符が打たれる希望が見えてきたが、一部にはそれによって深刻な変化が起こることを危ぶむ懐疑的な人たちもいる。

1月15日(金)に大統領府から出された布告によると、PAは5月22日に議会選挙、7月31日に大統領選挙を実施するとされているが、PAはイスラエルが占領するウェストバンク地区では自治権が制限されている。

その前日14日(木)、パレスチナ中央選挙委員会のハンナ・ナセル委員長が大いに混み合った記者会見で、今回の布告により「現在極めて必要とされている民主主義がもたらされることになるだろう」と述べた。

ナセル委員長は、選挙は透明性のあるものとなり、機能性の高い立法府が生まれるだろうと述べ、こう言及する:「立法機関が無いまま15年が過ぎた現在、国民によって選出された評議会を通して説明責任をもつことは重要な意味を持つ」

ファタハの幹事長で、選挙計画の陰の立役者でもあるジブリル・ラジョウブ氏は、この布告は重大な突破口であり、民主主義の原則に対するパレスチナ人民のコミットメントを反映するものだ、とパレスチナテレビで述べた。

ラジョウブ氏によると、選挙については選挙委員会が全面的に責任を持ち、来週カイロで行われる全パレスチナ党派による会議によって未解決問題が解決されることになるだろうという。

民事大臣でファタハ中央委員会のメンバーでもあるフセイン・シェイク氏は、大統領布告は「民主主義および統一政権における協力体制を強化させるための重要な第一歩であり、それによって国内の分裂状態に終止符を打ち、イスラエルによる占領を終結させ、わが人民たちの自由と解放の達成を目的とする協力体制への統一ビジョンが生まれることになる」とツイートした。

ハマスもこの選挙布告を歓迎した。これらの布告には、「PLO (パレスチナ解放機構)がパレスチナ人民の代表であり外交関係の諸問題および交渉について責任を負う」ということに対する参加者全員のコミットメントが含まれるからだ。

その布告には、ウェストバンクおよびガザ地区のパレスチナ人を含む完全比例ベースによって、132名から成る立法評議会の選挙を行うことが規定されている。

それに続いて7月には大統領選挙が行われ、パレスチナ民族評議会は異なる場所で立つ立候補者にとって可能なすべての場所で選挙を行うことになっている。全候補者リストは第3・第4候補者として必ず女性を含むことが規定されており、次期評議会議席の26%以上を女性が占めることになっている。

しかし、元閣僚で現在ビルゼイト大学の講師を務めるガッサン・カティブ氏は、選挙実施については強く支持するがその質が懸念されるとアラブニュースに語った。

「選挙が一部のエリート政治家たちの意思を反映したものになることを懸念している。候補者は全国から募られ、その多くが地方のコミュニティやそのニーズなどを視野に入れない政界のリーダーたちになるはずだからだ」と彼は言う。

カティブ氏はエルサレムコミュニケーション研究センターの創設者だ。彼は、世論調査から考えると、ファタハが立候補者の統一リストを提示すれば彼らが選挙に勝つ可能性が高いと言う。

マサラトシンクタンクのディレクター、ハニ・マスリ氏によると、全国民の和解が完了する前に選挙を実施するのは「トラブルのもと」だという。

「和解が完了する前に選挙実施の大統領布告を出したのは、順番が逆だ」と彼は言う。「選挙を行うにはまず地雷を取り除く必要がある。それらの問題を解決しなければ、トラブルを招くだけだ」と彼はフェースブックに投稿している。

この問題を解決するための一つの案としては、ファタハとハマスの二大政党が候補者の合同リストと一人の指名大統領候補に合意することが考えられる。

カーネギー国際問題研究財団のバイス・プレジデントを務めるマルワン・ムアシャー氏は、国家統一こそが最初にとるべきステップだと言う。

「全国選挙によってパレスチナ国の正当性が書き換えられることになるが、その正当性はこれまで大きく影響力を受けてきている」と彼は言う。

パレスチナ人民も、イスラエルがはたして東エルサレムの住人に選挙で投票することを許すかどうか、定かでは無い。オスロ合意のもとではエルサレムの住人は地元の郵便局で投票することができる。

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