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バイデン政権に直面するエルドアン氏、EUにオリーブの枝を伸ばす

2021年1月15日、イスタンブールでの会議中に発言するトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領。(写真:トルコ大統領府/AP通信)
2021年1月15日、イスタンブールでの会議中に発言するトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領。(写真:トルコ大統領府/AP通信)
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17 Jan 2021 02:01:57 GMT9
17 Jan 2021 02:01:57 GMT9
  • エルドアン氏は「新しいページ」をめくることに言及しているが、欧州の不満の種は数多い
  • エルドアン氏はシリアとリビアの紛争に直接軍事介入し、欧州を激怒させた

アンカラ:敵対する可能性がある米国の次期政権に直面しているトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、EUとの関係を修復することによって孤立を打破しようとしている。EUとの関係は、EUがエルドアン氏の外交政策を好戦的とみなしており、破綻した状態にある。

トルコ政府とEUの関係は、トルコが2005年に正式にEUへの加盟交渉を開始して以来、かつてないほどのどん底に落ちており、加盟プロセスは現在凍結されている。

エルドアン氏は「新しいページ」をめくることに言及しているが、欧州の不満の種は数多い。

直近では、東地中海でのトルコによる天然ガス採掘をめぐってEUが制裁措置のリストを作成し始めたが、これは昨年のギリシャ海軍とトルコ海軍による睨み合いの引き金となった。

しかし、もっと古い疑念がくすぶっている。

エルドアン氏がシリアとリビアの紛争に直接軍事介入を行ったことは欧州を激怒させ、6週間に及んだナゴルノ・カラバフ紛争では同氏がアゼルバイジャンを声高に支持したことで、西側諸国のアルメニア同盟国を動揺させた。

EUがさらなる資金提供を行わない場合には、トルコが受け入れている数百万人のシリア難民やその他の難民を欧州に送るというエルドアン氏の脅しは、EUにとって常に脅威となっている。

また、エルドアン氏はフランスのエマニュエル・マクロン大統領のイスラム教徒に対する扱いを攻撃することで敵意を個人的なものにしているが、欧州はトルコの恐ろしい人権侵害を指摘することで反論している。

エルドアン氏はこの膠着状態を維持できないとの見方もある。

ある欧州の外交官はAFP通信の取材に対し、「特に経済がこれほど脆弱な状態で、トルコ政府には米国と欧州の両方と対立を激化させる余裕がない」と話した。

「あらゆる場所で味方を探している」

トルコの欧州への依存度の高さは、数字で証明されている。

公式データによると、2002年から2018年の間に行われたトルコに対する外国直接投資の67.2%をEU加盟国が占めている。

外国の投資家が失望したため、トルコリラは昨年、対ドルで5分の1の価値を失い、トルコ中央銀行はリラを支えるために外貨準備高の大半を使い果たすことを余儀なくされた。

その後エルドアン氏は、財務大臣を務め、トルコの経済的苦境の責任を負っていた大きな影響力を持つ義理の息子とたもとを分かった。

数日後、エルドアン氏は欧州との関係を改革し、「新しいページをめくる」ことに初めて言及した。

ドイツ国際安全保障問題研究所とエルカノ王立研究所のアナリスト、Ilke Toygur氏は、「エルドアン氏は、あらゆる場所でところかまわず、味方を探している」と語った。

この目的のために、エルドアン氏は火曜日にEU大使たちとの会合を開催した。会合に参加した一部の人は「建設的」だったと評価した。一方、メブリュト・チャブシオール外相は木曜日にブリュッセルを訪問する。

マクロン氏とエルドアン氏はまた、チャブシオール外相が関係の再構築に役立つと述べた書簡を交換しており、テレビ電話会談の可能性につながっている。

国内の圧力の高まり

かつてトルコの指導者であるエルドアン氏を「良き友人」と呼んだドナルド・トランプ氏にジョー・バイデン次期大統領が勝利したことは、エルドアン氏のトーンが変化した原因の少なくとも一部のようだ。

「バイデン氏の勝利により、カードの入れ替えが起こった。トルコは、米国の次期政権がトルコを野放しにする気はないだろうと予想している」と、この欧州の外交官は語った。

バイデン氏による一部の人物の任命は、トルコ政府に恐怖を与える可能性が高い。国家安全保障会議へのブレット・マクガーク氏の指名は特にそうで、同氏は中東とアフリカを監督することになる。

マクガーク氏は、シリアに関するトルコの政策をあからさまに批判してきた。トルコ政府がトルコ国内における攻撃を非難しているクルド民兵組織を米国はシリアで支援しており、米国政府がエルドアン氏との関係を構築する上で同氏は重要な役割を果たすことになるだろう。

「EUとの和解を求めているように見えるこの呼びかけは、バイデン氏に対する準備と解釈することができる」と、ベルリンのトルコ応用研究センターのアソシエイト、シネム・アダール氏は指摘した。

エルドアン氏はかつて、直接トランプ氏に電話をかけることができる数少ない指導者の1人だったが、バイデン氏が勝利したことで、この特権が失われたことが、今回エルドアン氏が試みた和解の背後にある唯一の要因ではないとアダール氏は述べている。

エルドアン氏は「新型コロナウイルス感染症によって際立った経済的苦境による国内圧力の高まり」と、同氏の与党とその国粋主義的な従属的パートナー政党の「得票率の低下」に直面しているとアダール氏は述べた。

友好的態度の実証が求められている

エルドアン氏は政敵への圧力を緩和することで、友好的態度を実証できる可能性がある。エルドアン氏の政敵の一部は注目度の高い裁判に直面している。

「トルコ政府がEUとの関係を修復しようとするシグナルをEUが信頼できるものと受け取るために、トルコ政府は法の支配や人権、そして対立を辞さない外交政策について方針を転換することが期待されている」とアダール氏はAFP通信に語った。

アナリストのToygur氏は、エルドアン氏がどのような具体的な行動をとっても、「友好的態度を実証」できるとは考えていないと述べた。

同氏はしかし、不法移民の管理については、「EUの安定にとって最も重要な問題」であるため、双方が接点を見出すことができると述べた。

トルコ政府はまた、双方の関税同盟を更新することを期待しているが、Toygur氏は、EUはこれに関して「より厳しい要求をする」ことになる可能性が高いと述べた。

欧州はトルコとのさらなる緊張を避けたいと考えているが、西側諸国の外交官は、EUの一部の国々では和解への意欲が低いことを指摘している。

「トルコの魅力攻勢により、多くの欧州諸国が懐疑的なままになっている」と、この欧州の外交官は述べた。

AFP通信

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