Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • 武装組織フーシの攻勢、「イエメンにおける新たな人道的危機」を招く恐れ

武装組織フーシの攻勢、「イエメンにおける新たな人道的危機」を招く恐れ

国連の人道支援責任者であるマーク・ローコック氏は、フーシによる攻勢が、マアリブ市に避難している人々にもたらす影響について警告した。(AFP/資料)
国連の人道支援責任者であるマーク・ローコック氏は、フーシによる攻勢が、マアリブ市に避難している人々にもたらす影響について警告した。(AFP/資料)
Short Url:
17 Feb 2021 06:02:13 GMT9
17 Feb 2021 06:02:13 GMT9
  • 戦闘の激化により、戦場近くの避難キャンプで生活していた数百人がマアリブ市内の避難所への退避を余儀なくされた

サイード・アル・バタティ

ムカッラー:75万人が避難所を求めているマアリブ市中心部へイランの支援を受けた武装組織フーシが大規模な攻勢を押し進めており、イエメンが再び人道的危機に直面していると、国連とイエメン当局が警告している。

国連の人道支援責任者であるマーク・ローコック氏は、元々居住していた場所から同市に避難している人々へのマアリブ攻撃の影響について警告を発している。

「マアリブ市への攻撃は2百万人の市民を危険にさらすことになるでしょう。数十万人が避難を余儀なくされる可能性もあります。どれほどの非人道的なことが結果として起きるのか、想像もつきません。イエメンの人々が置かれている状況をこれ以上悲惨にしないために、緊張や対立を緩和し始めるべき時です」と、国連のローコック氏は、火曜日、武装組織フーシには言及せずにTwitterへ投稿した。

今月初め、反政府勢力の民兵組織であるフーシは、マアリブ市に対する大規模攻勢を再開した。国際的に認知されている現行のイエメン政府にとって、マアリブ市は、同国北部に残された最後の拠点となっている。同市は石油とガスを豊富に生産する地域の中心都市である。攻勢をかける武装組織フーシと、それに対峙するイエメン軍と部族民の連合勢力の間に激しい戦闘が発生しており、両陣営はそれぞれ数百人の戦闘員が死亡したと発表している。

戦闘の激化により、戦場近くの避難キャンプで生活していた数百人がマアリブ市内の避難所への退避を余儀なくされた。

マアリブ市域の状況に対する国連による人道的見地からの懸念に呼応して、イエメン政府当局と援助活動家は、フーシの攻勢によりマアリブ市サーワ地区の市民の避難が発生したと述べている。フーシ側は同地区において、政府側の防衛を無力化しようとしている。

「今日、4家族がたった1台の車に乗り込んでサーワ地区のアルゾルの戦闘から逃げていくのを見ました」と、火曜日に、マアリブ市の航空企業従業員のヤヒヤ・フセイン氏が電話でアラブニュースに告げた。

戦闘から逃れるために、依然数十の家族がマアリブ市内の既に過密な避難キャンプを目指していることをフセイン氏は付け加えた。

フセイン氏自身、武装組織フーシが制圧したサナアから2016年に避難した経験が有る。彼は、大規模な爆発の結果多数の市民たちが避難せざるを得ず、また、過去2週間で民兵による避難キャンプへの攻撃が増加していると現況について述べた。

「人々は飢えています。皆、うろたえ、恐れおののいています。仕事も無い状態です」とフセイン氏は言った。

法治が及ばない地域も多々あるイエメン国内で、例外的にマアリブ市域は2015年以来安全と安定を誇り、数十万人に及ぶ戦闘やフーシの抑圧からの避難民を受け入れて来た。

国内のみならず国際的な援助活動組織も、フーシの侵攻が、マアリブ市から他のイエメン政府側地域や隣接国への膨大な人数の避難民の発生を引き起こすと警告している。

フセイン氏は、フーシに対する国際的な圧力だけがマアリブ市とイエメンを災禍から救い得ると言った。

「国際機関や人権団体は強固で真剣な介入を行うべきです。マアリブ市への攻勢を中止させるために、フーシにそうした圧力をかける必要があります」と、フセイン氏は述べた。

前日の短い休止の後、火曜日には、マアリブ市域のすべての戦線において戦闘が激化した。政府軍側は、フーシの攻勢を押し返しサーワ地区である程度の地歩を取り戻すことに成功した。

イエメンの防衛相は、同国陸軍と部族民の連合がフーシ側と激しい戦闘を行い、その侵攻を停止させたと述べた。

防衛相は、マアリブ市での戦闘に向かうフーシ側の増援部隊を標的として、サウジアラビア主導の有志連合軍の軍用機が複数回作戦出撃したことを明らかにした。

連合軍の空爆により戦況はイエメン政府軍側にとって有利となり、マアリブ市域その他の戦闘地域におけるフーシの侵攻は押し止められた。

イエメンの複数の議員が、政府に対して、ストックホルム合意の破棄と、政府軍側への攻撃を行っているマアリブ市域のフーシの弱体化を目的とした西部の都市フダイダへの軍事攻勢の再開を求めている。

イエメン議会副議長モハシン・バスラ氏は、フーシ側が数多くの死傷者を出しているにも関わらずマアリブ市域への攻勢を緩めていないと述べている。

バスラ副議長は、イエメン大統領に、兵員を総動員し、軍の部隊を政府側地域のイエメン南部からマアリブ市域に移動させて、政府軍を強化するよう要請した。

「フーシのマアリブ市域への侵入を阻めなかった場合、後世の歴史家たちは私たちを断罪するでしょう」と、月曜日、バスラ副議長はTwitterで述べた。

topics
特に人気
オススメ

return to top