• 先月の新規感染者数は1日あたり8000人を超え、記録を更新した
• 人口が4000万人のイラクで、2回必要な予防接種を済ませた人は38万人に満たない

アラブニュース

ジェッダ： コロナワクチンの接種が予定通り進まないなか、感染拡大を抑えるため10日間のロックダウンを実施すると、イラク政府が発表した。

イラク政府は5月4日に閣議を開き、国家安全衛生委員会の勧告通り12日からのロックダウン実施を決定した、と国営イラク通信社（INA）が報じた。

ロックダウンが10日間ということは、イスラム教徒は「イード・アルフィトル（断食明け）」の祭りを外出禁止令が広範囲に敷かれたなか祝うということになる。

新型コロナ感染者数が危機的に急増し、政府は国民にワクチン接種の登録をするよう呼び掛けていた。しかし無関心・恐怖・悪い噂により、接種を受けない人が多かったためロックダウンに至った。

人口4000万人のイラクで、2回必要な予防接種を済ませた人は38万人に満たない。

保健省はキャンペーンを実施し、公式Facebookページにワクチン接種を受けるシーア派指導者サドル師の写真を掲載している。サドル師がワクチンを接種したため、全国民も倣うべきと公式ページには書かれていた。

イラクには3月下旬に33万6000回分のアストラゼネカ製ワクチンが届いている。ワクチン接種の対象者は18歳以上だ。4月には初のファイザー製ワクチン4万9000回分が届いた。

「イラクに届いたワクチンはすべて安全で効果があるものです … しかし今に至るまで悪い噂を信じて、ワクチン接種を恐れる人がいます」と保健省高官ルバ・ハッサン氏は述べた。

保健省は国民にワクチン接種を促す政策を導入した。予防接種証明書を提示できない人は旅行を制限され、商店・ショッピングモール・レストランの従業員の場合は解雇されるなどだ。このため予防接種を受けようとする人の数は増えた。しかし国民の大半はいまだにワクチン接種を嫌がっているため、混乱や怒りも招いた。

新型コロナの感染第2波がイラクを襲い、甚大な影響が出て対策に苦慮している。先月の新規感染者数は1日あたり8000人を超え、記録を更新した。感染者数が急増した主な原因は、国民のコロナウィルスに対する無関心だ。多くの人がコロナ禍を受けた行動制限を日常的に無視しており、マスク着用を拒否し、大規模イベントの開催も続いている。

先週は1日あたりの感染者数が減り、3日月曜日の新規感染者数は5068人だったという。

（AP通信と共同で執筆）