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イランのライシ次期大統領を人道に対する罪で調査するよう人権団体が求める

2021年6月6日、エスラムシャー市で選挙活動中のイラン大統領候補、イブラヒム・ライシ師。(AFP) 
2021年6月6日、エスラムシャー市で選挙活動中のイラン大統領候補、イブラヒム・ライシ師。(AFP) 
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20 Jun 2021 05:06:35 GMT9
20 Jun 2021 05:06:35 GMT9
  • イランの新しい指導者は、政府の全ての部門を支配し、内閣を過激派だらけにするだろう:専門家

アラブニュース

ジェッダ:アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは、イブラヒム・ライシ氏がイランの新大統領に選出されたことは、人権への打撃であると発表した。そして、1988年に数千人の政治犯が裁判なしで死刑になった件における同氏の役割について調査するよう求めた。

ロンドンに拠点を置くアムネスティの事務局長であるアニエス・カラマール氏は、同団体の報告書を引用して、「イブラヒム・ライシ氏が、人道に対する罪や強制失踪、拷問について調査されずに大統領に上り詰めたことは、イランでは恐ろしいことに免責がまかり通っていることを思い出させる」と述べた。

「2018年、当団体は、イブラヒム・ライシ氏が『死の委員会』のどのようなメンバーであったかを立証した。この組織は、1988年にテヘラン近郊のエビン刑務所とゴハーダッシュト刑務所で政治的反体制派数千人を強制失踪させ、秘密裏に裁判なしで死刑にした。犠牲者の運命と彼らの遺体の行方を取り巻く状況は、今日に至るまでイラン当局によって組織的に隠蔽されている。現在進行中の、人道に対する罪ということになる」

報告書にはこのようなことも書かれていた。「イランの司法長官として、イブラヒム・ライシ氏は、急増する人権弾圧において主要な役割を果たしてきた。穏やかな反体制派や人権擁護者、迫害されている少数派の人々など数百人が恣意的に拘束されてきた」

「国際法の下、イブラヒム・ライシ氏を、過去および現在進行中の犯罪に関与した疑いで調査するよう我々は求め続ける。普遍的管轄権を有する国々による調査も含む」と同氏は付け加えた。

ニューヨークに拠点を置くヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も同調した。「イラン当局は、弾圧と不正選挙で、イブラヒム・ライシ氏が大統領になるお膳立てをした」とHRWのマイケル・ペイジ中東副局長は述べた。

「イランの抑圧的な司法府の長として、ライシ氏は、近年のイランで最も凶悪な犯罪のいくつかを監督した。大統領に選ばれるよりも、調査され、説明責任を果たすべきだ」

ハーバード大学で教育を受けたイラン系米国人の政治学者、マジッド・ラフィザデ博士は、アラブニュースに対し、次のように話した。「ライシ氏の勝利により、イランの強硬派は政府の全ての部門を支配することになる。行政、立法、司法だ。強硬派がこのような立場になるのは、マフムード・アフマディネジャド大統領の時以来だ。ライシ氏は、イラン革命防衛隊やコッズ部隊、情報省、民兵組織バシジなどの過激派組織のメンバーを大臣に選ぶ可能性が高い」

パリに拠点を置くイラン国民抵抗評議会(NCRI)の次期会長であるマリアム・ラジャビ氏は次のように述べた。「イブラヒム・ライシ氏は1988年の大虐殺の子分で、モジャヘディネ・ハルグの殺人者だが、同氏はハメネイ師の、支配体制を維持するための最後の手段だ。弱く、危機だらけで、迫り来る反乱に慌てたハメネイ師は、ライバルを全て粛清してライシを大統領の座に据えた。第二次世界大戦以降、人道に対する罪を犯した者の中で最も卑劣な犯罪者の一人を」

「悪名高い犯罪者が大統領である政権を相手に、国際社会が取り引きしたり、対話に引き入れたり、なだめたりする正当な理由はもうない」とラジャビ氏は話した。

レザ・パーレビ氏は、退位に追い込まれたモハマド・レザ・パーレビ国王の息子で、1979年のイスラム革命前の王位継承者だ。同氏は「イラン人は、ボイコットして、イランの専制的な体制に対してノーと言うことで、『団結と連帯』を示した」とツイートした。

ニューヨークに拠点を置くイラン人権センターのハディ・ガエミ事務局長は、「選挙ではなく選択」だった投票の後に、ライシ氏は「長期にわたるひどい人権侵害」の責任を免れるべきではないと述べた。

ガエミ氏は、ライシ氏は「重大な人権侵害者」だと言った。ライシ氏は、1988年の殺害だけでなく、司法長官としての2年間の全期間において、「国民に対する数え切れないほどの重大な人権侵害に対して責任がある」とガエミ氏は述べた。

黒いターバンと聖職者のコートを身にまとったライシ氏は自身を、厳格で信心深い人物であり、貧しい人々のために汚職と闘う擁護者であると考えている。

強力なライバルが立候補する資格を剥奪されたため、選挙がライシ氏に有利になったと批判されているが、同氏の忠実な支持者にとっては、同氏は西側諸国に立ち向かい、深刻な経済危機を和らげるイランの期待の星だ。

ライシ氏は、偉大なカリスマ性には欠ける。だが司法長官として、高い支持を集めた、汚職に関わった役人を告発する運動を推進してきた。

ライシ氏は8月に穏健派のハッサン・ロウハニ氏から引き継ぐ予定だ。

AFPと共同

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