ナジア・フッサリ

ベイルート：教皇フランシスコは、レバノンの指導者らに、党派的な利害関係を脇に置き、危機に瀕する国の平和と安定性を取り戻す仕事をするよう呼びかけた。

教皇は、1日、バチカンで行われたレバノンのキリスト教指導者との丸1日にわたるサミットの終わりに、このように訴えかけた。

これに先立ち教皇フランシスコは、レバノンの経済・財政破綻が、新政府樹立をめぐる11ヶ月間の政治的行き詰まりと共に突きつけている脅威への不安が高まる中、キリスト教総主教らを迎えて1日間祈りを捧げた。

「権力の座にあるものたちが、最終的にはきっぱりと、自身の利益のためではなく、真の平和のために働く選択をすることがいかに重要であるか、私は繰り返し述べます」と、教皇フランシスコは語った。

「少数の人間が多くの人々の苦しみから利益を得るのには、終止符を打ちましょう。これ以上、ごまかしを続けて人々の希望を失望に変えるのは、やめましょう」と、教皇はサン・ピエトロ大聖堂での閉会の礼拝の中で述べた。

教皇はメディアには非公開で、レバノンの教会のトップらと3度の非公開会合を開き、レバノンが「危ない危機」から抜け出す方法について議論した。

レバノンのキリスト教徒はイスラム教徒と共に、同国の現代史上最悪の経済破綻に直面している。

サアド・ハリーリ次期首相は、「バチカンでの会議が、あらゆるレバノン人を招いてその共存を守ることとなり、レバノンが約束通り教皇の訪問による祝福を受けることになるという、輝かしい成果をもたらすこと」を望んでいると述べた。

教皇は、1日、レバノン訪問を希望すると繰り返し表明した。

同国の貧困が悪化する中、国連児童基金（ユニセフ）の調査では、「レバノンでは先月、30％以上の子どもたちがお腹を空かせたまま寝ている」ことが明らかになった。

「一連の危機により、レバノンの家族や子どもたちは惨めな状況に置かれている」と、同調査は主張している。

ユニセフのレバノン代表の杢尾雪絵氏は次のように述べた：「必死に生き延びようとしている家族の数は増加しています」。

家庭では食事の量を減らしたり、子どもを働かせたり、未成年の娘を嫁がせたり、持ち物を売ったりすることを余儀なくされていると、同氏は語った。

杢尾氏は次のように警鐘を鳴らした：「栄養を奪われ、退学を余儀なくされ、貧しく脆弱な健康状態に苦しみ、攻撃や暴力、虐待に直面しているレバノンの子どもたちの姿は見るに堪えません」

ユニセフの調査によると、77％の家庭が「十分な食料や必需品を買うお金がない」という。

同調査は次のように付け加えている：「シリア人家庭の場合、この数字は99％にまで増加し、その一方で60％の家庭が請求書を未払いのままにしたり、お金を借りたりして食料を購入している」。

同調査からはまた、レバノンの子どもたちの30％が一次医療を全く受けられず、76％の家庭が薬の価格の急激な高騰により大きな影響を受けていることも判明した。

トリポリでは1日、前日に酸素供給装置の電源が切れたことで子どもが死亡したとの声が上がる中で大規模デモが発生し、不穏な静けさが広がった。

活動家らはSNS上で、ミシェル・アウン大統領の辞任を求め、「飢餓と屈辱にはうんざりだ」と唱える若者の動画を拡散させた。

レイモンド・ガージャール・エネルギー・水大臣の事務所は、ジョセフ・アウン陸軍司令官が、ディーゼル燃料輸送船の与信枠が開放されて貨物が降ろされるまでの間、発電機を動かすために陸軍の備蓄ディーゼルを同省に貸し出すことで合意したと、声明の中で語った。

トリポリでは250万リットル以上のディーゼルが配給される予定だと、声明は述べた。

レバノンの大ムフティーであるシェイク・アブドゥル・ラティフ・デリアン氏は、デモ隊が投げた椅子や石が兵士に当たったことを受けて、デモ隊に軍隊や治安部隊に攻撃を加えないよう警告した。

トリポリを本拠地としている未来運動は、同市を「混乱と破壊」から救うためには、軍の支援が必要だと述べた。

自動車運転手らは1日、燃料供給不足の中で、ガソリンスタンドの外に列を作り、一方のバンやバスの運転手らは、燃料価格と燃料不足に抗議して、バールベック近くの国際幹線道路を封鎖した。