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反政府勢力の支配下にあるシリアで太陽光発電への移行が進む

シリアのイドリブ県ダナの町の建物の屋根にはソーラーパネルが設置されている様子が見られる。2021年6月10日(AFP / Aaref Watad)
シリアのイドリブ県ダナの町の建物の屋根にはソーラーパネルが設置されている様子が見られる。2021年6月10日(AFP / Aaref Watad)
シリア北西部イドリブ県キリ村の家の屋上に設置されたソーラーパネルのそばに立つ男性とその息子。(AFP / Aaref Watad)
シリア北西部イドリブ県キリ村の家の屋上に設置されたソーラーパネルのそばに立つ男性とその息子。(AFP / Aaref Watad)
シリアのイドリブ県ダナの町の建物の屋根にはソーラーパネルが設置されている様子が見られる。2021年6月10日(AFP / Aaref Watad)
シリアのイドリブ県ダナの町の建物の屋根にはソーラーパネルが設置されている様子が見られる。2021年6月10日(AFP / Aaref Watad)
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04 Jul 2021 06:07:40 GMT9
04 Jul 2021 06:07:40 GMT9
  • 国連開発計画(UNDP)によると、シリア全土で少なくとも90%が安定した電力供給を受けられていない。
  • 反政府勢力が支配する地域では、国が提供する電気はほとんど期待できない。

アーレフ・ワタッド

キリ、シリア:反政府勢力が支配するシリア北西部では、カボチャやトマトの畑に巨大なソーラーパネルが設置されている。10年におよぶ内戦によりインフラが破壊された後、多くの人々が再生可能エネルギーに切り替えている。

イドリブ県内で太陽光パネルを設置した数十人の農家の一人、ハレド・ムスタファ氏は、「以前はディーゼル発電機に頼っていましたが、燃料不足や価格高騰で苦労しました」と語った。

「そのため、代わりに太陽光発電を選んだのです」と加えた。

シリア北西部のイドリブ県には、300万人以上の人々が暮らしており、その多くがイスラム過激派勢力やその他の反政府勢力によって支配されている。

国連開発計画(UNDP)によると、シリア全土で、少なくとも90%が安定した電力供給を受けられない状況にある。

反政府勢力の地域では、国が提供する電気はほとんど期待できない。

その代わり、シリコン製の太陽光パネルは、屋根や病院、大規模な避難民キャンプのテントの間などに設置され、一般的なものとなっている。

かつては、小型で煙の出るディーゼル発電機が、多くの家庭で電気を供給するため使用されていた。

しかし、定期的な燃料不足で燃料価格が高騰している今、ソーラーパネルは、より安価で効率的かつ信頼性の高い代替品として注目されている。

ムスタファ氏の太陽発電は、回転する金属板に取り付けられたソーラーパネルが、太陽の動きに合わせて回転するものである。 

シリアのイドリブ県キリ村の農地に設置されたソーラーパネル。(AFP / Aaref Watad)

これらソーラーパネルは、約20軒の農家で構成される農業協同組合が2年前に約4,000ドルで購入したのソーラーパネル200枚のうちの一部である。

ソーラーパネルは井戸からの水ポンプを駆動し、農業協同組合の3ヘクタール(7エーカー)の農地と近隣の畑に灌漑している。

「国の電気が供給され始めたとしても、太陽光発電の方がより安価です」とムスタファ氏は述べた。

再生可能エネルギー源

国連の発表によると、シリアの電力生産量は内戦中に少なくとも半分にまで減少したものの、戦闘が落ち着くにつれ、再生可能エネルギー量が増加している。

「武力衝突が減少し、国の大部分がより安定した状況にあるため、有効な代替手段として太陽エネルギーの生産が急増しています」とUNDPは述べた。

政府の管理下にある地域では、ソーラーパネルにより、家庭や大学などの公共施設に電力が供給されている。

イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドンが発行する「Education and Conflict Review」に掲載されている報告書によると、ある調査により、反政府勢力の支配下にある人々の8%が、太陽光を家庭の主な電力源として使用していたことが明らかとなった。

また、10分の1の人がお湯を沸かすために、3分の1の人が照明やバッテリーの充電など、二次的な電力源として太陽光を利用していることが明らかとなった。

2021年6月10日、シリアのイドリブ県ダナの町にある店で、販売するソーラーパネルを保管する作業員たち。(AFP / Aaref Watad)

反政府勢力の支配下にある町であるダナでは、屋根の上にキラキラと光る太陽光発電設備が設置されている。

「2018年から2021年の間に、ソーラーパネルの売上は300%増加しました」と、ソーラーパネルの営業担当であるアブドゥルハキム・アブドゥル・ラーマン氏は述べた。彼の顧客の多くは農家の人々である。

一つの農業プロジェクトには、「100枚、時には500枚のソーラーパネルが必要になることもあります」とラーマン氏は語った。

さらにアブドゥル・ラーマン氏は、トルコを中心にドイツや中国からもソーラーパネルを輸入しており、その寿命は20年にも及ぶと加えた。

病院にとって必要不可欠

狭いアパートの一室で、ザカリヤ・シノ氏は天井のファンを回し、スピーカーからシリアの革命歌を流して、太陽光発電設備の強力さをアピールしている。

多くの近隣住民と同様に、彼も屋根に3枚のパネルを設置しています。

「冷蔵庫、洗濯機、照明を動かすには十分です」とシノ氏は述べる。

ソーラーパネルは病院にも設置されている。

2017年、医療救援組織連(UOSSM)は、イドリブ県内の病院に再生可能エネルギーを導入するための「シリア・ソーラー」イニシアチブを開始した。

その後、このイニシアチブにより、1つの総合病院に480枚、別の整形外科施設に300枚のソーラーパネルが設置された。

さらに、イドリブ県やアレッポ北部にある40以上の診療所にも技術支援を行い、太陽光発電システムを設置できるようにした。

燃料不足で発電機が停止しても、太陽光発電があれば「集中治療室、手術室、救急センターなどの重要な病院部門」の機能を維持することができると、「シリア・ソーラー」イニシアチブの創設者であるタラル・カナーン氏は述べた。

「太陽光で病院の電力消費量の30〜40%をカバーできます」とカナーン氏は加えた。

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