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駐レバノン・サウジアラビア大使が違いを脇に置くよう指導者たちに呼びかけ

サウジアラビアは「レバノン単独で暗黒の運命に向き合わせるつもりはないし、アラブのアイデンティティから遠くかけ離れた枢軸に関与させるつもりもない」と関係者は述べた。(提供)
サウジアラビアは「レバノン単独で暗黒の運命に向き合わせるつもりはないし、アラブのアイデンティティから遠くかけ離れた枢軸に関与させるつもりもない」と関係者は述べた。(提供)
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09 Jul 2021 05:07:27 GMT9
09 Jul 2021 05:07:27 GMT9
  • アル・ラヒ:サウジアラビアが「レバノンの主権や独立を侵したことはない」
  • サウジアラビア王国で米仏両国の大使がサウジ高官とレバノン情勢を協議

ナジャ フーサリ

ベイルート:7月8日、ワリード・ブカーリ駐レバノン・サウジアラビア大使は、サウジアラビア王国とマロン派総主教区の深い関係は「自由で主権を有する独立したレバノンの維持への真の保証を示している」と語った。

大使は「紛争と分割の言説にも、レバノンのアラブ・アイデンティティに反する言説にも、何ら正当性がない」とも強調した。

レバノン政治の観察者は、「サウジアラビアによる立場表明のタイミングは極めて重要だ。とりわけ、サウジアラビア王国が政治危機、金融危機、経済危機にあるレバノンを見捨てることはないと関係者に安心感を抱かせた点においてだ」とアラブニュースに語った。

サウジアラビアは「レバノン単独で暗黒の運命に向き合わせるつもりはないし、アラブのアイデンティティから遠くかけ離れた枢軸に関与させるつもりもない」と関係者は述べた。

大使の発言はマロン派総主教区の本部があるブケルケで催された、アントワーヌ・ダウ神父の著書『マロン派総主教区とサウジアラビア王国の関係』の出版記念式典でのものだ。

大使の発言は、ドロシー・シェイ駐レバノン米国大使とアンヌ・グリロ駐レバノン・フランス大使がサウジ高官との会談のためにサウジアラビアを訪問していることを受けてのものだ。

両国大使の訪問は、6月29日にアントニー・ブリンケン米国国務長官、ジャン・イヴ・ル・ドリアン仏外務大臣とサウジアラビア王国のファイサル・ビン・ファルハーン外務大臣が、レバノン問題に関して三者会談をもったことがきっかけになっている。三者はイタリア・マテーラでのG20サミット会合の機会を捉えて会談を行った。

7月8日にブカーリ氏は各政党に、「レバノンの国益を優先して、レバノンとアラブの深く緊密なつながりを害しようとする試みに立ち向かう」ことも呼びかけた。

憲法前文には「レバノンは全国民の最終的な祖国である。レバノンのアイデンティティはアラブに帰属する。共存の原理を否定するいかなる権力も、その合法性を認められない、と実に明確に記載されている」とも述べた。

そして、ブカーリ氏は、「(ビシャーラ・ブトロス・)アル・ラヒ総主教の国家的、包括的な役割の重要性に鑑みて、国家の統一と市民の平和が委ねられている、ターイフ合意が土台となる多様性と共存を維持することを勧める」と付け加えた。

サウジアラビア王国は「いかなる理由でもレバノンのアイデンティティを損なうことは許さない」と、大使は続けた。

キリスト教徒もイスラム教徒も「この真正の東アラブ・アイデンティティの不可欠の構成要素だ」とも述べた。

イベントには大統領の代表者と、政治、軍事、労働組合、宗教、外交の関係者が出席した。

アル・ラヒ総主教は、「このインクルーシブな会議は、レバノン救済へとつながる包括的な国民会議への真心からの呼びかけになるだろう」と述べた。

「政府が組織され、憲法に基づいて所定の時期に議会と大統領の選挙が実施されるだろう。ただし、それはレバノンが救済の道筋を歩むときにのみ起こる」と総主教は述べた。

サウジアラビアは「アラブ世界の中心に位置するレバノンの存在の意義と価値を常に理解しており、紛争を煽ろうとしたことは一度もなかった。むしろ、レバノンの中立の立場を維持し、レバノンの主権と独立を確保しようと努めた」と、アル・ラヒ総主教は続けた。

サウジアラビアは「レバノンの主権を侵したことはなく、レバノンの独立を侵したことはなく、レバノンの国境を侵したことはなく、レバノンを戦争に巻き込んだこともなかった。サウジアラビアはレバノンの民主主義を破壊したことはなく、レバノン国家を無視したこともなかった」と、アル・ラヒ総主教は述べた。

サウジアラビア王国は「アラブフォーラムや国際フォーラムでレバノンを支援し、経済援助を行い、レバノンの経済・都市再生プロジェクトに投資した」とも述べた。

そして、サウジアラビア王国は「和解と解決策の後ろ盾となり、レバノン人を喜んで迎え入れ、住居と雇用機会を提供した」と続けた。

アル・ラヒ総主教は、「サウジアラビアの力によって、アラブ民族主義は開放性と中庸をもたらし、それぞれの国、人々、集団の特質を尊重し、主権と独立のコンセプトにコミットしてきた」と指摘した。

「サウジアラビアの力によって、アラブ民族主義は、国民感情や国民の特質に挑戦し、国民意識や国家アイデンティティを最小限に抑える、イデオロギーではない感情のプロジェクトとしてその姿を現した」

米国大使館の声明では、シェイ大使は「サウジアラビアでの会談で、レバノンの深刻な状況について協議する」と記されている。

大使は「レバノン国民への人道支援の重要性と、レバノン軍と国内治安部隊への支援強化を強く訴える」とも記されている。

シェイ大使はフランス、サウジアラビアの各駐レバノン大使と連携して、「政府を組織することと、レバノンがこの上なく必要としている緊急かつ重要な改革の実行という至上命令に焦点を当てた三国の外交戦略」を引き続き展開していく、と声明は続けている。

フランス大使館は、グリロ大使の訪問は「イタリアでの会合の延長」と発表している。

それによると、ル・ドリアンとブリンケンは、「6月25日にパリで、レバノンの政治指導者が現状で私益よりレバノンの公益を優先させることができていないことを指摘しており、フランスと米国が協力してレバノンを危機から脱出させる必要があることに合意していた」

会談でフランス大使は、「レバノン国民が強く願っている、レバノンの利益となる必要な改革の実現に取り組む、効果的で信頼できる政府をレバノン当局者が組織するという緊急の必要性を強く訴える」と、声明には記されている。

グリロ大使は米国大使と共同で、フランスと米国は地域や世界のパートナーと協力して、破壊に責任がある当事者たちに圧力をかけることを望んでいると表明する。

グリロ大使は「フランスの人道援助が、フランスと米国が引き続き支援する、レバノン国民、レバノン軍、国内治安部隊に直接届けられることの必要性を強調する」と、声明は続けている。

7月6日の外交官との会談でグリロ大使は、レバノンを包囲する国際社会を非難するレバノンの暫定首相ハッサン・ディアブに応答した。

「レバノンの危機は何十年も続いた国家運営の失敗によるもので、外部からの包囲の結果ではない」とグリロ大使は述べている。

「政治家階級に責任がある。あなたは政府を組織しないことで、自分を包囲している」とグリロ大使は述べている。

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