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アナリスト:イランは「神風ドローン」計画を進行中

2021年8月3日、アラブ首長国連邦のフジャイラ港沖で撮影された、イスラエルに関係のある日本所有のタンカー、MTマーサー・ストリート号。(AFP)
2021年8月3日、アラブ首長国連邦のフジャイラ港沖で撮影された、イスラエルに関係のある日本所有のタンカー、MTマーサー・ストリート号。(AFP)
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13 Aug 2021 01:08:10 GMT9
13 Aug 2021 01:08:10 GMT9
  • シンクタンク、英国が同地域でイラン政府の「小さな悪魔」のターゲットになる恐れについて警告
  • 海洋活動を活発化させ、同地域の海域支配を確立を狙うイラン

アラブニュース

ロンドン:海上紛争の激化に伴い、イランはいわゆる「神風ドローン」計画を進めているとアナリストが警告している。

過激派対策プロジェクト(CEP)の専門家は、新型ドローンを使った戦術が、地域への影響力確保を目論むイランの「中核的要素」だと警告する。

この警告は、7月30日、湾岸航路を航行中のタンカーがドローン攻撃を受け、欧米諸国が困惑する中で出された。イランは関与を否定している。その際、警備員で英国陸軍退役軍人のエイドリアン・アンダーウッド氏が、MTマーサー・ストリート号のルーマニア人船長と共に、ドローンの爆発により死亡した。

その直後に起こった別の事件で、MVアスファルト・プリンセス号にイランの奇襲部隊と思われる武装した男たちが乗り込んできたが、西側諸国軍が船に接近すると逃亡した。イラン政府は、これに対する関与も否定している。

CEPのアナリストであるダニエル・ロス氏は次のように述べる。「湾岸地域の海運に対するイランの脅威は相当大きい。イランによる攻撃やハイジャック、拘束、そして最近増加しているドローン攻撃など、裏付けとなる事例は数多くあります」。

「イランは、湾岸地域を自国の支配水域と見なしており、沿岸のアラブ諸国との共有は許容しますが、外国勢力が国際水域で航行の自由を行使することに対しては激しく抵抗しています」。

また、次のようにも述べる。「古代ペルシャ以来の歴史を持ち、大国を自認するイランにとって、敵国の米国がバーレーンに海軍基地を持ち、定期的に第5艦隊を湾岸に派遣している事実は、自国のメンツをつぶされているようなものです。イランにグローバルな派遣能力はないため、自国の裏庭における支配力の確保のためにできる限りのことをしています」。

「この理由から、頻繁に商業船舶が拿捕されています。一般的にターゲットとなる船は、特定の外交政策上の挑発行為や損得勘定に応じて決められます」。

「そのため、イスラエルと少しでも関係のある船は常に狙われやすいです。その他、イランが韓国のタンカーを拘束してソウルに資金を放出させたこともあります。英国のタンカーを拘束したのは、制裁を受けているシリアのアサド政権に石油を輸送していたイランのタンカーをイギリス海軍が拘束したことへの報復でした。これらの拘束の口実は、どれも薄弱で意地汚いものです」。

ワシントンに拠点を置くCEPの研究ディレクターであるロス氏は、英国のニュースサイトであるメトロに対し、最近の海上での攻撃は、現政権が進めている新しいドローン部隊の広範にわたる計画の一部だと述べる。

「イランは、遠隔地に配置した人員が操作し、衝突時には爆発するよう設計されたUAV(無人航空機)から成るドローン部隊を自由に運用しています」。

「イランの軍事用ドローン計画は、イランが同地域に伸ばす影響力の中核的要素であり、政権とその下にいるテロリストの双方が利用しています」。

彼はこうも付け加える。「過去数年間、イランはドローンを使って米国の航空会社に嫌がらせを試みたり、国際水域での航行の自由を脅かしたり、シリアやイラク紛争での軍事的利益のために活用したり、イスラエルやサウジアラビアの領空を侵犯したりしてきました」。

CEPの研究者は、フーシ派がサウジアラビアの油田や民間施設を攻撃した際に使用した無人機の製造者が、イランであることを認めた。

ロス氏は、「イランのドローン計画は、抑止力のためだけでなく、積極的な対立のために利用されており、地域を不安定化させる脅威となっています」と述べる。

「今年4月、イラン国営のプレスTVは、7年前に湾岸にいた米空母の上空からイスラム革命防衛隊(IRGC)のドローンで撮影した不穏な映像と、『神風』と呼ばれるドローンの映像を放映しました。イランのドローン戦力は、この2014年の映像と比べ、明らかに大幅に拡張されています」。

ロス氏は、イランの現体制が「湾岸航路に対する支配力を維持する」ことに固執しており、「同地域に対する影響力を拡大し、強固にするという戦略的利益」を確保するのに腐心していると警告する。

アナリストの同氏は、こう述べる。「イランはイエメンの同盟者フーシ派に定期的に人員や物資を輸送しており、同盟国シリアのアサド政権にも石油と武器の両方を輸送し続けています。イランはまた、純粋に支配力を及ぼし、地域覇権を確立することに対して戦略的な関心を持っています」。

「これを達成するためには、IRGC海軍の高速艇による米国の大型船への嫌がらせや、言いがかりに過ぎない口実での商業船の拘束などが、比較的低コストで実行できる方法です」。

ロス氏は、英国はテヘランのエリートにとって「小さな悪魔」のような存在であることから、今後もイランの攻撃対象になるだろうと警告する。

「現体制の関係者にとって、『大きな悪魔』である米国に対して英国は『小さな悪魔』であり、信頼に値しない西側帝国主義の手先とみなされています。英国はイラン核合意や共同包括行動計画をずっと支持していますが、イランはその他のあらゆる分野で英国に対して冷淡であり軽蔑をの対象としている」。

イランは現在、英国との間に外交問題をいくつか抱えている。特に、英国政府が偽だと主張する容疑で投獄中の英国人をめぐり、対立が目立つ。

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