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トルコの女性たちがアフガニスタンの姉妹たちに連帯を示し、立ち上がる

ザキラ・ヘクマット氏はトルコのアフガン難民連帯協会の会長。(提供)
ザキラ・ヘクマット氏はトルコのアフガン難民連帯協会の会長。(提供)
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20 Aug 2021 08:08:11 GMT9
20 Aug 2021 08:08:11 GMT9
  • トルコの活動家は、アフガニスタンの女性をタリバンのなすがままにさせないよう国際社会に呼びかけた
  • 専門家は「タリバンが変わったとは思えません。多くの女性活動家や地位の高い仕事に就く女性は…命の危険を感じています」と言う。

メネクセ・トキャイ

アンカラ:トルコのアフガン難民連帯協会のザキラ・ヘクマット会長は、アフガニスタンの文民政権がタリバンの手に渡ったと聞いてから眠れない夜を過ごしているという。

ヘクマット氏は、今回の母国の政変によって、アフガニスタンの少女や女性にとって明るい未来を築くはずの教養の高い女性たちが最も深刻な被害を受けるのではないかと恐れている。

ヘクマット氏(33)は、地位が高く、幸運な立場にいる女性は国を脱出できる場合もあるが、一般的な市民の大半はタリバン政権下での生活を強いられ、助けや支援が必要になると考えている。

同氏はアラブニュースにこう語った。「まず、アフガニスタン国内の女性全員に手を差し伸べるのは困難です。ただ、高校生に奨学金を出して卒業や大学入学を後押しするなど、社会の特定の層から支援を広げていく方が賢明かもしれません。」

最新の国連のデータによると、行き場を失ったアフガニスタン人のうち約80%が女性と子どもだ。アフガニスタンのガズニー州ジャゴリ地区で国内避難民の家庭に生まれたヘクマット氏は、タリバンの支配下で高校を卒業した。一時期カブール大学に通ったが、その後はトルコに移り、奨学金を得てカイセリにあるエルジェス大学で医学を学び、医師になった。

「トルコ政府は奨学金を出し、アフガニスタンで大学に入る年頃の少女の支援も行い、こんな風に国外に出て夢が実現するのを助けるべきです」と述べた。

ヘクマット氏は、今では母国と感じているトルコで有名な人権活動家だ。特に、アフガニスタンの少女や女性の人権を訴えている。ヘクマット氏だけではなく、最近はトルコのあらゆる地位や職業の人々もまた、政治的立場を超えてアフガニスタンの女性に連帯を表明し、女性たちをタリバンのなすがままにさせないよう訴えている。

この20年にわたって女性や少女が苦心して取り戻した権利、特に教育や雇用の権利を再び奪うことになりそうな暴虐な政権下では、女性たちが大きな困難に直面する恐れがあるという。

この数日間でアフガニスタン政府が倒れ、タリバンが国の支配権を握ると、「#TurkishWomenforAfghanWomen」(アフガン女性を応援するトルコ女性)などのハッシュタグや「Be Their Voice」(彼女たちの声になろう)などのスローガンがすぐにトルコのSNSでトレンド入りした。

トルコの団体、平等のための女性のプラットフォーム(Women’s Platform for Equality)は18日、アフガン女性の支援や同国からの難民受け入れに関する責任分担を公正かつ責任ある方法で行うよう国際社会に求めた。

「私たちは、アフガニスタンの人々をタリバンのなすがままにさせることは、タリバンと同じぐらい冷酷なことだと考えています」と同団体は述べた。「アフガンの女性や人々のために今すぐ行動しましょう。」

女性の権利を求める活動家で人権団体、女性殺害の撲滅を目指すプラットフォーム(We Will Stop Femicide Platform)の共同創設者ギュルスム・カヴ氏はこう述べる。「アフガン女性は一人ではありません。私たちは世界中の女性の集まりです。いつの日か必ず自由を手に入れます。」

現在、トルコ当局は、タリバンを含むアフガニスタンの全党派と話し合いをしているが、政治的影響力を利用してアフガニスタン国内の女性や少女の人権を保護できる段階までいっているのかは不透明なままだ。

17日、タリバンはイスラム法の範囲内で女性の権利を尊重すると表明した。だが、前回のタリバン政権下には、女性はほぼ家に閉じ込められ、公開処刑の恐怖に脅えていた記憶が多くの人の心に残っている。

ベルリン・フンボルト大学のジェンダー・移民学者ベガム・バシュダシュ氏は、女性の人権を守るというタリバンの「口車」に乗せられてはならないと警告する人権団体の懸念を共有し、アラブニュースにこう述べた。

「タリバンが変わったとは思えません。多くの女性活動家や裁判官、ジャーナリスト、公職、教師など社会的地位の高い職業に就く女性は命の危険にさらされる恐れがあります。」

「タリバンは、再び女性が差別されることはないと強調しますが、それはシャリア(イスラム法)の範囲内に限られます。私たちはこれまでタリバンのイスラム法解釈を調べてきて、彼らが力を増してきてから最近までを調べました。すると、女性や少女が学校へ行くのを禁じられ、仕事を解雇され、公共の場に行くことを禁じられたという報告があります。すでに言っていることと行動が食い違っています。」

しかし、世界はアフガン女性のとてつもない強さとレジリエンス(立ち直る力)を目にしているとバシュダシュ氏は言う。

「彼女たちはいまだに街に出てレポートし、動画を撮影し、タリバンに対抗し、戦っています。私たちのやるべきことは、欧米諸国の過去の失敗を繰り返さず、彼女たちを単に「救う」べき人と扱わないことです。彼女たちと連帯し、アフガニスタンの人々の命と人権を守るために立ち上がらなければなりません。」

著名な女性の中には、かろうじて国外に脱出できた人もいる。第一線で活躍する女性映画監督のサーラー・カリミ氏もその一人で、今週カブールから脱出できたことをトルコ政府に感謝した。

バシュダシュ氏によると、他の国に逃れているアフガン女性はみな、有効な亡命手続きや、欧州やその他の地域の第三国に定住するための安全な法的手段を利用できなければならない。

「彼女たちを絶対に強制送還のリスクにさらしてはなりません。私は、これ以上軍事介入するよりも、すべての女性と保護を必要とする人をアフガニスタンから早急に避難させるべきだという、トルコの当局への呼びかけに賛同します。」

しかし、アフガニスタンから大量に難民が流出する可能性が高く、すでにトルコ国内の政治に緊張が高まっている。18日、最大野党・共和人民党は「国境は我々の名誉である」と書かれた横断幕を掲げた。ここ数週間で、数百人のアフガン難民がトルコに到着したことで、一部の人々の怒りを買い、壁を建設して国境の警備を強めるべきだと政府に求める声が上がっている。

「人権を政治利用すべきではありませんが、トルコはまず、トルコ国内のアフガニスタン人の安全確保と、国際的な保護手続きを強制国送還の恐れなしに進められるようにしなければなりません」とバシュダシュ氏は言う。

また、移民や難民に対する差別的なコメントはなくすべきで、それには難民と同様に地域住民の要求にも応える効果的な移民政策の導入が役立つと述べた。

「トルコだけでなく、国際社会全体がアフガニスタンの人権を守るために立ち上がるべきです。EUが『国際人道法上の義務を遵守するように』とタリバンに呼びかけるだけでは足りないのです。」

「この状況は欧米の行動にも責任の一端があり、女性の権利を脅かすタリバンと交渉すべきではありません。私たちはアフガニスタンの女性を支援し、見ているだけではなく、行動を起こすということを示すべきです。」

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