• ユセフ・フェニアノス氏は、家族の一大イベントが抗議者の標的となった場合に備えて暴動鎮圧部隊の出動を要請した
• 昨年8月に爆発した硝酸アンモニウムの保管をめぐり、大臣だった同氏は起訴されている

バサム・ザアザア

ベイルート：2020年8月のベイルート港爆発事故に関与した疑いで捜査中のレバノンの元大臣が、娘の結婚式の警備のために暴動鎮圧部隊の出動を要請して怒りを買っている。

漏えいした国内治安部隊（ISF）の文書によると、ユセフ・フェニアノス氏は、娘が土曜日に結婚式を挙げる教会に、政治的デモが行われた場合に備えて警備員を派遣するよう要請していた。

ニュースサイト「ボイスオブレバノン（VDL）」が公開したその文書によると、ISFはフェニアノス氏の地元であるレバノン北部エーデンに暴動鎮圧部隊部隊2個を派遣することに同意した。

フェニアノス氏は200人以上が死亡した昨年の爆発事故で捜査されているため、今回の要請はレバノン国民の怒りを買った。腐敗し、同国の経済崩壊に対して責任があると見られている支配階級に対する怒りも広がっている。

レバノンは現在、広範囲の停電と燃料不足で機能不全に陥っている。

フェニアノス氏は、爆発事故の犠牲者の遺族を軽視し、結婚式を抗議行動から守るために政治的影響力を行使したとしてソーシャルメディアで非難された。

あの大爆発は、2750トンの硝酸アンモニウムがベイルート港で起きた火災で爆発して起きた。硝酸アンモニウムは適切な安全対策を取らずに7年以上もその場所で保管されていた。

フェニアノス元公共事業・運輸相は、爆発事故の捜査判事であるタレク・ビタール氏によって起訴された3人の国会議員、元大臣の1人だ。

彼らは硝酸アンモニウムがあることを知っていながら、「国が爆発の危険を回避するための対策を取らなかった 」ため、起訴内容には「過失」と「未必的殺意」が含まれている。

地元メディアによると、フェニアノス氏の親族は、結婚式で抗議行動をする予定だった犠牲者の遺族の一人に宛てた殺害予告とされるものをフェイスブックに投稿した。

その投稿は、ベイルート港爆発事故で消防士だった兄を亡くしたウィリアム・ヌーン氏に宛てたものだと見られている。

この事件について、有名なレバノンの女優・プロデューサー、カリーヌ・リスカラ氏は、責任者が国民を恐れ、国民からの保護を求めるようになったら、その人は政治家として終わりであり、レバノンの政治家の大半がそうだとコメントした。

人気テレビ司会者のナビラ・アワド氏は、この機密文書を自身のツイッターに投稿し、「恥知らずだ！　恥知らずでふらちだ！」とコメントした。

フェニアノス氏は金曜日にビタール判事から尋問を受ける予定だったが、警察は、道路が封鎖されていてフェニアノス氏の事務所や自宅に行くことができず、燃料不足で召喚状を届けることができなかったと発表した。

アル・ジャヌービア・ニュースによると、ビタール氏はフェニアノス氏を尋問する会合の日程を再調整した。

市民社会活動家はアラブニュースに対し、結婚式での抗議デモに関しては、デモ参加者が利用する4〜5個のWhatsAppグループの中で話し合われたと話した。

「目的は、法を免れる者はおらず、何もなかったかのように生活を続けることはできないというメッセージをフェニアノス氏に伝えることだった……彼を捜査判事の前に出廷させ、証言させ、汚名をそそがせる」。匿名を希望した活動家はそう語った。

ISFは、結婚式に暴動鎮圧部隊を派遣することを決めたのは、「治安の乱れと手に負えない行動」を防ぐためだったと発表した。

「数人の活動家が祝賀会が開かれている間にデモを行おうとしているという一連のソーシャルメディアへの投稿を受け、それが最終的に治安の乱れにつながる可能性があったため、ISFは公共の秩序を維持する使命・義務の一環として、暴動鎮圧部隊の派遣を決定した」と声明で発表された。

匿名を希望したISF幹部はアラブニュースに対し、今回の決定は「ISFが同様の状況や事件で実行する標準的な手順であり、背後に政治的なものはない」と主張した。

今回の事件は、国が崩壊に向かって進み続ける中、政治家の家族の豪華な結婚式の計画が国民の怒りを買った最新の事件だ。

先月には、ヒズボラの議員だったナウワル・アル・サヒリ氏の娘の豪華な結婚式の様子がネットに流れた。ためてきた金が危機の中、消えていくのを多くの人々が目にし、失望感を募らせた。