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レバノン、手入れで買いだめされた燃料、医薬品、粉ミルクを発見

この買いだめのニュースは、何カ月にもわたる燃料・医薬品不足で疲弊しているレバノン市民の怒りを増大させただけだった。(資料/AFP)
この買いだめのニュースは、何カ月にもわたる燃料・医薬品不足で疲弊しているレバノン市民の怒りを増大させただけだった。(資料/AFP)
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26 Aug 2021 06:08:47 GMT9
26 Aug 2021 06:08:47 GMT9
  • ガソリンスタンドで長い列が続くなか、政府補助が付けられている蔵匿燃料が百万リットル単位で押収され、市民は憤慨している
  • 手入れによって、ヒズボラ出身の大臣の兄弟とレバノン企業ニューファームの提携が暴かれた

ナジア・フサリ

ベイルート発:レバノンの治安部隊が実行した手入れによって、政府補助が付けられている百万リットル単位の燃料が発見された。燃料は地下の貯蔵槽に蔵匿されており、新たな値を付けて闇市場で売りさばくことになっていた。貯蔵槽のいくつかは砂で覆っているだけだった。

「独り占め」された医薬品と粉ミルクも押収された。

この買いだめのニュースは、何カ月にもわたる燃料・医薬品不足で疲弊しているレバノン市民の怒りを増大させただけだった。ガソリンスタンドには長い列ができ、薬局の棚は空っぽというのは、この国の至る所で普通に見られる情景になっている。

政府補助が付けられている蔵匿燃料としては最大量となる、150万リットル以上のガソリンがベッカー県ザーレのハウシュ・アル・オマラで発見、押収された。

ハマド・ハッサン暫定保健相が指揮した手入れの対象となった、レバノン南部とシューフ地方にある貯蔵所の光景も、市民の怒りを買っている。薬局から消えた医薬品が貯蔵されていたのだ。

貯蔵所の医薬品は、新型コロナウイルス感染症や、血圧・呼吸器の疾患を治療できるものだった。抗生物質や何千人分もの乳児用粉ミルクも発見されたが、全量、1ドル=1,500レバノンポンドの公式レートの補助を受けたものだった。

ハッサン氏は、「手入れは『独り占め』された医薬品の電子追跡システムに基づいて実施した。システムは実に精確だ」と述べた。

手入れによって、ヒズボラ出身の大臣モハメド・フネイシュ氏の兄弟フセイン・フネイシュ氏と、レバノン企業ニューファームのイサム・アフメド・ハリファ氏の提携が暴かれた。

だが、ハッサン氏の手入れのタイミングについては批判がなされている。自由な輸入を禁じる法律が施行され、レバノン中央銀行は3カ月にわたって輸入の信用供与を行っていない。

国会の保健委員長イサム・アラジ氏は、「今回の治安作戦・手入れはもっと早く実行すべきだった」と、アラブニュースに語った。

「医薬品や燃料は絶対に蔵匿すべきでなかった。今回の手入れで、レバノンはガソリンとディーゼルの海に浮かぶ都市のように見える。危険なのは、それらの燃料が居住地区に保管されていた点だ」

心臓専門医でもあるアラジ氏は1年以上、医薬品の買いだめについて当局に警告を発していたという。

「だが、当局は、国民が家の中に医薬品を貯め込んでいる、と主張した。国民は日々のパンを買う余裕すらない。それなのに、どうやってあの医薬品全部を貯め込めるというのか?保健相は、医薬品を隠し、貯め込んでいる企業の情報を提供されたので、ようやく行動を起こす決定をしたのだと思う。今回の作戦は、犯罪者が処罰され、他の者による同種の行動を抑止しないかぎり、まったくの徒労に終わるだろう」

レバノンでは輸入した燃料を船から荷下ろしして、ガソリンスタンドに回し始めたが、8月25日にガソリンスタンドの列はまったく短くならなかった。ほとんどのドライバーは夜通し車をとめて車内で眠り、翌朝にはガソリンを満タンにしたいと願っていた。

アドナン・ナコウジ氏(69)は、暑いなか飲料水なしでガソリンの長い列に並んでいる際に発作に見舞われた。丸24時間、ベイルート市内の病院の集中治療室で回復を待っている。

燃料補助金が徐々に減額されるなか、当局は、燃料は新たな価格で販売される、と発表している。

25日現在、20リットル缶のガソリン価格は133,000レバノンポンド(88ドル)で、20リットル缶のディーゼルは99,000ポンドだ。運送費は必然的に高騰し、運賃は乗客1人当たり20,000ポンドに値上がりした。前日の2倍以上だ。

国民の声は、独り占めしている連中を逮捕して刑務所に入れろ、というものだが、レバノンの刑法では買いだめは軽犯罪に分類され、制裁は罰金か最長6カ月の自由刑だ。

ところで、ガーダ・アウン判事はレバノン中央銀行のリアド・サラメ総裁に対する捜査・捜索令状を発付した。マネーロンダリングと海外への資金移転の容疑で、取り調べ日を定めた5日後になされたものだ。総裁はその取り調べの場に出頭しなかった。

レバノンの県検事総長ガッサン・オーアイダット氏は4月、アウン判事をこの事件から外した。だが、判事は捜査の続行を主張し、自由愛国運動の活動家の支援を得て両替会社に踏み込んだ。

別の事案では、レバノンのハッサン・ディアブ暫定首相は、昨年のベイルートの爆発事故の捜査を行うタレク・ビター判事の下に出頭しない予定だ。ディアブ氏は26日にこの事件の被告として尋問を受けることになっているが、尋問は大統領・閣僚の裁判のための最高評議会でなされるべきだと主張している。

ビター判事の先任者である捜査判事、ファディ・サワン判事は、1年以上前に証人としてのディアブ氏の証言を聴いている。ディアブ氏はその証言では、港に硝酸アンモニウムが違法に保管されていたことを認め、爆発事故のわずか数日前の現場への訪問について心変わりした理由を説明した。

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