• 400人のイラン系米国人学者がバイデン米国大統領に対し、大量処刑に関与したライシ氏を裁判にかけるよう要請した。
• ボレル外交安全保障上級代表は、イランの外交官との会談で、「ウィーン会議の早期再開の重要性を改めて強調した」と述べた。

ブリュッセル：欧州連合（EU）のジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表は12日、イラン高官との初の会合で、イランが核合意に関する協議をすぐに再開する用意があると約束したと述べた。

EUが仲介するこの交渉は、イランと世界の列強諸国との間で合意された2015年のイラン核合意の再建協議を目指し、4月にウィーンで始まった。2015年のイラン核合意は、2018年にドナルド・トランプ前米大統領が一方的に離脱し、イランに対する制裁を強化したことにより協議は途絶えている。

この核合意再建協議には米国とイラン以外の合意当事者諸国が関与しており、超保守派のイブラヒム・ライシ氏がイラン大統領に選出された6月以降、米国にはイラン核合意再建協議への参加を、イランには核合意の合意順守に復帰するよう説得するため議論が行われている。

EUが発表した声明によると、ボレル氏は、火曜日に国連総会にあわせて開催されたイランの新外交官ホセイン・アミラブドラヒアン氏との会談で、「ウィーン協議の早期再開の重要性を改めて強調した」という。

声明によると、「イランの外務大臣は、早期に交渉を再開する意思があることを確約した」と述べている。

ライシ氏は火曜日、国際舞台でのデビューとなる初の国連総会で、米国を非難しながらも、核合意協議の再開を支持する発言を行った。

ライシ氏は事前収録のビデオ演説で「すべての抑圧的な制裁の解除をもたらし得る有益な対話について、イランは検討している」と述べた。

イラン外務省のサイード・ハティブザデ報道官は、「協議は数週間で再開されるだろう」と述べたものの、正確な時期は明らかにしなかった。

2015年の核合意では、イランの核開発を厳格に制限することを条件に、国連による制裁措置の軽減が提示されたが、トランプ前大統領が米国を合意から離脱させ、イランに対する制裁の発動させたことを受けて、イランは核合意の遵守から徐々に遠ざかっている。

トランプ氏の後任として米国大統領に就任したジョー・バイデン氏は、同氏がバラク・オバマ氏の副大統領だった頃に、イランの穏健派のハッサン・ローハニ大統領の下で交渉された核合意に復帰する意思を示している。

バイデン大統領の国連総会での演説に先立ち、400人以上のイラン系米国人学者がバイデン大統領に宛てた書簡の中で、1988年に大勢の反体制派の政治犯が死刑に処せられたことに、ライシ氏が関与したとして、ライシ氏を国際法廷で裁判にかけることを求めた。反体制派は、1988年に数千人の政治犯の死刑命じた「死刑の委員会」を構成する裁判官としてのライシ氏の役割に焦点を当てている。

イランの新大統領となったライシ氏は、米国がイランに課している制裁措置を「新たな戦争の手段だ」と非難し、就任後初めてとなる国連での演説の中で、米国の地域政策と米国内の政治的分裂の拡大を強く批判した。

イブラヒム・ライシ大統領は、前任者で穏健派のハッサン・ローハニ大統領がこれまで国連総会で行ってきた演説よりも、はるかに批判的かつ露骨に米国の外交政策を批判した。

「制裁は、米国が世界の国々と戦争をする新たな手段である」とライシ氏は述べ、新型コロナウイルスが世界的に大流行している際のこのような経済的処罰は、「人道に対する罪」に相当すると糾弾した。

ライシ氏は演説で米国を批判した際に、今年1月6日に起きた当時のドナルド・トランプ大統領の支持者らによる衝撃的な米国連邦議会議事堂乱入事件や、先月カブール空港で、人々を避難させる米軍機にしがみついていたアフガニスタン人が絶望的な状態で死に至るという恐ろしい光景にも言及した。

「米国議会議事堂の事件からカブール空港での出来事まで、一つの明確なメッセージが世界に発信されました。それは、米国の覇権システムには何の信頼性もないということです」とライシ氏は語った。

さらにライシ氏は、「米国の西洋化されたアイデンティティを押し付ける米国の政策」は失敗したと述べ、「米軍はイラクとアフガニスタンから撤退しているのではなく、追放されているのです」と誤った認識を示した。

AFP/AP