• 今回の大統領の指名は批判者たちを困惑させている
• サイード大統領は7月25日に、首相と閣僚を解任して議会を停止させた

アラブニュース

ジェッダ：チュニジア大統領は29日、同国初となる女性の首相を指名し、「数時間から数日うち」の組閣を命じた。

ナジュラ・ブーデン氏は、ケルアン市出身の63歳で、フランスで地質工学の博士号を取得した地質学者であり、チュニジアの国立工学学校で教鞭をとっている。高等教育改革プロジェクトを指揮したこともあり、チュニジア高等教育省の要職を歴任してきた。

カイス・サイード大統領は、女性の指名は「歴史的」であると述べ、これは「チュニジアにとっての名誉であり、チュニジア女性への敬意の表明である」とした。さらに、新たな首相の重要な任務は、「多くの国家機関に蔓延している汚職と混乱に終止符を打つこと」であると語った。

今回のブーデン氏の指名は、7月にヒシェーム・ムシーシー前首相と閣僚を解任し、議会を停止し、国会議員から訴追免除を剥奪し、司法の権限を掌握した大統領に対し、その行為は独裁支配であると告発してきた批判者たちを当惑させている。

大統領のこの動きは、差し迫る経済危機やコロナ死者数の増加に直面しながらも、政治が何ヵ月も膠着状態にあった中で起こしたものであった。国会議長ラシッド・ガンヌーシ氏が党首を務めるイスラム主義政党「アンナハダ」は、大統領がクーデターを起こしたとして非難したが、チュニジアの政治的エリートたちは広く批判を受けており、大統領のこの動きは国民から圧倒的な支持を得た。

ブーデン氏は、2011年の民衆蜂起により独裁者ジン・エル・アビディン・ベン・アリー大統領が失脚して以降、10人目の首相となる。チュニジアは民主主義へ移行したとして称賛を浴びてきたが、多くのチュニジア国民は生活に改善を感じることはなく、政治が機能不全に陥り腐敗しているとして幻滅を抱いている。

チュニジアではコロナや政治闘争で長年の景気低迷がさらに悪化し、国家の財政危機が差し迫っている。ブーデン氏が指名された今回のニュースで、国債はここ1年で最大の上昇を見せた。

「鍵となるのはIMFからの支援の可能性です」とロンドンの投資顧問会社アバディーンの新興成長市場資産管理担当者であるビクトル・サボー氏は言う。サイード大統領が変化を起こしたことで国際通貨基金（IMF）との話し合いは保留となっていたが、新政府は予算や債務返済のための緊急の資金援助を必要としている。

チュニスの銀行家であるアミン・ベン・サレム氏は、「女性が政府を率いることになるのは良い兆候です。彼女がすぐにでも、この国を財政破綻の不安から救出するために動き出してくれることを期待します」と述べた。

チュニスの多くの女性がブーデン氏の就任を歓迎している。現在求職中である30代のラウア・ゴラブさんは、最重要課題は「雇用状況の改善です。コロナ禍以降、職が何も残されておらず、どこも門戸を閉ざしています」と述べた。