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シリアでの狙撃は、イスラエルによる運動の新たな局面を示すのか

シリア国境付近でゴラン高原の返還を要求する集会中にシリア国旗を振る、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領を支持するドゥルーズ支援者。1967年にイスラエルによって占領された、ゴラン高原のマジャルシャムスで。(AP/ファイル)
シリア国境付近でゴラン高原の返還を要求する集会中にシリア国旗を振る、シリアのバッシャール・アル・アサド大統領を支持するドゥルーズ支援者。1967年にイスラエルによって占領された、ゴラン高原のマジャルシャムスで。(AP/ファイル)
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18 Oct 2021 05:10:03 GMT9
18 Oct 2021 05:10:03 GMT9
  • イスラエルは1967年の中東戦争でシリアからゴラン高原を攻略、そして後にこの戦略的領地を併合した

エルサレム:シリアのドゥルーズ派元議員の死の要因は、イスラエル狙撃手によるものと疑われている。イスラエルが主張する、隣接するシリアで陣地を構えるイランに対する争いに、この事件が新たな局面を示すかもしれない。 

シリアの国営通信社は、ミドハト・ サレー氏が16日、アイン・エル・ティネアで銃撃され致命傷を受けたと報じた。ゴラン高原にあるイスラエル国境沿いのその村で、サレー氏はシリアの政府事務局を運営していた。イスラエルのメディアは、サレー氏がイスラエルに反し、イラン軍を支援していたと伝えた。

イスラエル軍はコメントを拒否している。しかしサレー氏を殺害したのが本当にイスラエルであるなら、国境を越えてイランとつながっていると特定された標的を、イスラエル狙撃兵が射殺したことが明るみに出た初めてのケースとなる。イスラエルは、シリアでのイラン軍の恒久的な駐留を容認しないと述べている。そして近年は、イラン軍のものと思われる貨物や軍事施設に多数の空爆を実施していることを認めている。

イスラエルは、1967年の中東戦争でゴラン高原を占領。そしてイスラエル北部を見渡すこの戦略的地域を後に併合した。世界の大部分が、この併合を認めていない。だがトランプ政権は、この地域がイスラエル領土になると宣言した。

サレー氏は、イスラエルが支配している側のゴラン高原にあるマジャルシャムス出身だ。そしてイスラエルによって繰り返し拘置されており、もっとも最近では1997年までの12年間投獄されていた。その後にシリアへ移った同氏は1998年に議会に選出され、ゴラン問題に関して政府顧問を務めた。

イスラエル支配側のゴランで暮らす小さなドゥルーズのコミュニティは、イスラエルと良好な関係を築いている。けれどもコミュニテイ内の多数の人々が、シリアへの忠誠心を今も公言している。国境の向こう側に親戚がいることが、その理由の一つだ。

イスラエル支配側のゴラン住民であるサミー・アユーブ氏は、サレー氏にはイランや武装集団との「つながりは何もなかった」とイスラエルのラジオ局、アーミー・ラジオ(Army Radio)に語った。「彼は、事務所勤めのただの物静かな男でした。なのに自宅の隣で殺されたのです。」と、アユーブ氏は述べた。

サレー氏の兄でダマスカスに住むヤッサー・サレー医師は、弟もシリアの首都に住んでいたが、国境地域を定期的に訪れて時に宿泊し、国境の向こうに住む親戚と話していたと語った。サレー医師は、2011年上旬に起こった前回の暗殺計画を切り抜けた彼の弟は、亡くなるまで、ゴラン高原に対するイスラエルの支配を終わらせようと努力していたと語った。ゴランと名付けられた息子を含む2人の子供と妻を残して弟は先立った、とサレー医師は述べた。

公式なコメントが出されていない一方で、軍上層部によるハイレベルの背景説明を受けているイスラエル軍事評論家は、イスラエル前線沿いのイランによる装備増強に、サレー氏は密接に関わっていたと発言している。イランは、同国の10年に及ぶ内戦中、バッシャール・アル・アサド大統領の軍を支援するために何千もの兵力をシリアへと送っている。

「彼はイランと直接つながっていました」と、イスラエル最大の有料日刊新聞イェディオト・アハロノトの軍事特派員、ヨッシ・イェホシュア氏は記述した。

イスラエルの元国家安全保障顧問ギオラ・エイランド氏は、イスラエルがサレー氏を殺害したのであれば、それは過去に関連してのことではなく、イランへメッセージを送ることを意図していたはずだとアーミー・ラジオ(Army Radio)へ語った。「これは報復行為ではなかったと推測します」彼は述べた。「大量殺人を議論しているのではないのです。」

テルアビブのシンクタンク、国家安全保障研究所でイラン問題を専門とするシニアフェローのヨエル・グザンスキー氏は、イスラエルがこの件に関与していたかでさえ定かでないと述べた。彼によれば、サレー氏は特に重要な標的だったわけではなく、またイランの代理人であるヒズボラと緊迫した関係にあり、ゴランでの同組織の活動に異議を唱えてもいた。

しかし、もしイスラエルが異例の狙撃攻撃によってサレー氏を実際に殺したのなら、それはイスラエル国境付近での活動についてイランおよびシリアへ強力なメッセージを送ったことになる、とグザンスキー氏は述べた。

「我々には多くの手段と豊富な技術がある、と述べたに等しいのです」と彼は語った。「私たちは視ている、とね。」

AP

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