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「移民をリビアの『非人間的な』強制収容所に送り返すべきではない」と、ローマ教皇

毎週の「正午の祈り」のためにバチカンに到着し、サン・ピエトロ広場を臨むバチカン宮殿の窓から信者に手を振るフランシスコ教皇。(AFP)
毎週の「正午の祈り」のためにバチカンに到着し、サン・ピエトロ広場を臨むバチカン宮殿の窓から信者に手を振るフランシスコ教皇。(AFP)
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25 Oct 2021 07:10:56 GMT9
25 Oct 2021 07:10:56 GMT9

バチカン市:日曜、フランシスコ教皇は、海上で救助された移民・難民を彼らが「非人間的な暴力」にさらされるとわかっているリビアやその他の危険な国に強制送還することをやめるよう熱く求めた。

教皇はまた、ヨーロッパで激しく議論されている政治的問題にもふれ、地中海の「移民の流れ」を管理する具体的な方策を見つけるよう国際社会に呼びかけた

「私は、移民、難民、そしてリビア国内で保護を必要としている何千人もの人々とともにある」と、フランシスコ教皇は語った。「あなたたちのことを決して忘れることはない。あなたたちの嘆きは聞こえている。あなたたちのために祈っている」

当局の発表では、ローマ教皇がサン・ピエトロ広場で大衆に向かって移民に対する政策と心情を新たにするよう求めているその瞬間にも、リビアやトルコからの何百人もの移民たちが地中海中央で救助された後に身を寄せる港を探しているか、シチリアやイタリア本島に上陸している。

「移民の男性、女性、そして子どもたちの多くが非人間的な暴力にさらされている」と、ローマ教皇は続けた。「もう一度、国際社会に求める。それぞれのためになる具体的で継続可能な解決策を見つけ、地中海におけるリビアからの移民の流れに対処するという約束を守ってほしい」

「(海上で救助された後に)強制送還された移民たちの苦しみはいかなるものか」と、教皇は言う。リビアの拘留施設は「まさに強制収容所だ」と。

「私たちは(移民を)危険な国に強制送還することをやめる必要がある。人命救助を優先して救助協定と予測可能な上陸プランを設定し、拘留ではなく尊厳が保たれる生活環境と、正規の移民手続き、必要であれば亡命手続きの要求も保証するべきだ」と、フランシスコ教皇は話した。

国連難民機関当局と人権団体は、長く、暴力行為やレイプ、その他の拷問、不十分な食事などを指摘し、リビアの移民拘留施設の環境の改善を訴えてきた。移民たちは何週間、何ヶ月もその状況に耐えた挙句、人身売買業者の用意した航海には適さないゴムボートやぼろぼろの漁船に乗せられるのだ。

ローマ教皇の訴えから数時間後、人道支援団体である国境なき医師団の救助船ジオ・バレンツが、強風で荒れた海の3メートル(10フィート)にも及ぶ波に揉まれて難破しかかっているゴムボートを発見。「乗船していた71人全員の救出に成功した」とTwitterで発表し、移民がいっぱいに乗ったボートが遭難していることを報せたNGO団体、アラームフォン(Alarm Phone)に感謝を表明した。

その少し前、ジオ・バレンツは296人の移民を収容し、マルタ沿岸で上陸の許可を待っていた。乗船していた移民のうち6人が新型コロナウイルス陽性と判明したが、船上の込み合った状態では他の人々との距離を保つのが困難だったという。

シチリアでは、406人の移民を乗せたドイツのNGO、シーウォッチ(Sea-Watch)の救助船が入港を許可された。だが、シーウォッチによれば、105人の移民を乗せたスペインの団体による救助船は4日間上陸の許可を待ち続けているという。

近年、人身売買業者の船でヨーロッパを目指して脱出した何千、何百人の移民たちがシチリアや近隣のイタリアの島に流れ着いている一方で、イタリア本島にたどり着く者も多い。

イタリア半島の「つま先」部分の海沿いの街、ロッチェッラ・イオニカの赤十字職員は日曜日、ここ数日、アフガニスタン人を含む約700人の移民がトルコからと思われるボートでカラブリア州沿岸に流れ着いていると語った。

当局によれば、今年はこれまでのところ、3400人ほどの移民が人口6000人のロッチェッラ・イオニカに上陸しているという。2019年に流れ着いた移民の数は480人だった。この数日に到着した移民たちは難民シェルターのテントで生活しているとイタリア国営放送(RAI)は発表した。

イタリアとマルタ島は、移民を混み合った救助船に乗せたまま上陸許可を待たせることで人権擁護団体から批判を受けている。

リビアの沿岸警備隊はイタリアで訓練と装備を受けているが、やはり、リビア沿岸で救助した移民を拘留施設に収容されることがわかっていながら強制送還することで批判を受けている。

金曜日、国境なき医師団はTwitterで、「ジオ・バレンツ」の乗務員がリビアの沿岸警備員による「介入を目撃」したこと、移民たちは「強制的に危険な拘留施設に送られ、暴力行為を受け、搾取される」と発信した。

イタリアでは近年、反移民主義の右派が人気を得ており、違法移民を取り締まるようにというイタリア政府への国内からの政治的な圧力は増している。

イタリアとマルタ島は海上で救助された移民を受け入れるよう他のEU加盟国に働きかけてきたが、その努力はほとんどが無為に終わっている。

AP

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