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ベトナム籍の石油タンカー、イランから解放され公海に移動

10月24日、イラン革命防衛隊がMV ソティス号を拿捕した。このタンカーには禁輸措置を受けたイラン産原油をアジアに密輸しているとの疑惑がある。(革命防衛隊、AP経由)
10月24日、イラン革命防衛隊がMV ソティス号を拿捕した。このタンカーには禁輸措置を受けたイラン産原油をアジアに密輸しているとの疑惑がある。(革命防衛隊、AP経由)
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10 Nov 2021 08:11:18 GMT9
10 Nov 2021 08:11:18 GMT9
  • ニューヨークを拠点に反イラン政府活動を長年継続するNPO「イラン核保有阻止連合(United Against Nuclear Iran : UANI)」が、ソティス号の行方を追っていた

ドバイ: 以前イランに拿捕されたベトナム船籍の石油タンカーが10日、解放されて公海上に移動した。主要国との核合意を巡る交渉が行き詰まるなか、直近のイラン政府が関与する海上での対立に終止符が打たれた。

ソティス号はイランのバンダレ・アッバース港沖合を離れ、10日早朝には近隣のオマーン湾内の公海に到着したことが確認された(MarineTraffic.comから提供を受け、AP通信が分析したデータに基づく)。ソティス号は公海上に停泊しているようだが、乗組員に関する情報は得られなかった。

国連イラン政府代表部のシャーローク・ナゼミ報道官は10日、AP通信に「ソティス号は石油を積み込んで、昨夜イランの領海を離れた」と述べた。

ベトナム政府高官からのコメントは得られなかった。しかし、石油タンカーがイランに拿捕された件で、政府が情報収集していることは以前認めている。

中東を拠点に活動する米海軍第5艦隊にコメントを求めたが、しばらく控えるとのことだった。
イラン革命防衛隊(宗教指導者が管轄する、国軍より強力な軍事組織)は10月24日「MV ソティス号」を拿捕した。専門家によると、ソティス号は国際社会から禁輸措置を受けたイラン産原油をアジアに輸出している疑いがあるという。米軍は拿捕の様子を監視していたが、タンカーがイラン領海内へと移動する間、結局何もしなかった。

その後イランは、タンカーが拿捕される様子をドラマ仕立ての映像にし、国営テレビで放送してお祝いムードを煽った。1979年の在テヘラン米国大使館人質事件・42周年記念日の前日に放映された。

ニューヨークを拠点に反イラン政府活動を長年継続するNPO「イラン核保有阻止連合(United Against Nuclear Iran : UANI)」が、ソティス号の行方を追っていた。UANIがベトナム海事局に宛てた10月11日付けの書簡には、衛星写真を分析したところ、ソティス号が6月に「オマーン・プライド」というタンカーから石油を瀬取りしたことが判明したとある。

米国財務省は8月、オマーン・プライド号がイラン産石油を密輸出していると認定した。石油代金はイラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」の活動資金に充てられているという。密輸出された石油は最終的に東アジアで売りさばかれていると米財務省は主張したが、国名を明らかにしていない。

今回の拿捕事件は、ホルムズ海峡近くのオマーン湾でイランが起こしている数々のハイジャックや爆破事件の中で、直近のものだ。ホルムズ海峡とはアラビア湾の出入り口にある狭い海域で、国際取引される石油の5分の1がここを通過している。

2019年にリムペットマイン(船底に吸着させる爆弾、遠隔・時限で爆発させる)攻撃で複数の石油タンカーに損害が出た件と、今年初めにイスラエルと関係のある石油タンカーがドローン攻撃を受けヨーロッパ人船員2名が死亡した件について、米海軍はイランの仕業だとして非難している。ほんの数ヶ月前、イラン人ハイジャック犯たちがアラブ首長国連邦(UAE)沖でパナマ籍船のアスファルト・タンカーを襲撃して、しばらく占拠するという事件が起きたばかりだ。

イラン政府は犯行を否定しているが、イランと西側諸国の間ではアラビア湾岸の海域ではっきりと目に見えない戦争が続いている。発端となったのは、2018年に当時のトランプ米大統領がイラン核合意から脱退しイランに壊滅的な経済制裁を課したことだ。

AP

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