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レバノン救済はイラン傘下の中東テロ組織網の拡大阻止に寄与する、と活動家たちが主張

アメリカに本拠を置く2つの中東シンクタンクが、政府の腐敗を無くす措置を講じなければ、レバノンも「イランが支配する」破綻国家になると発表した。(資料写真/AFP)
アメリカに本拠を置く2つの中東シンクタンクが、政府の腐敗を無くす措置を講じなければ、レバノンも「イランが支配する」破綻国家になると発表した。(資料写真/AFP)
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02 Feb 2022 07:02:49 GMT9
02 Feb 2022 07:02:49 GMT9
  • MEI委員長、レバノンの直面する主要課題はイランに忠誠を誓う国家を離れた組織「ヒズボラ」の権力
  • ATFLとMEIが、レバノン危機解決に必要な措置を詳述した新たな報告書をテーマに討論会を主催

レイ・ハナニア

シカゴ:政府の腐敗を終わらせ、喫緊の経済的課題に取り組み、ヒズボラのテロ活動という「致命的な」問題に対処するための、重要な措置を早急に講じなければ、レバノンも「イランが支配する、汚職まみれの破綻国家」になる。

ワシントンに拠点を置く有力な中東シンクタンクの2つ「アメリカ対レバノン特別委員会(ATFL : The American Task Force on Lebanon)」と「中東研究所(MEI : Middle East Institute)が発表した報告書に、このような結論が書かれている。報告書発表を記念するため、両シンクタンクはWebセミナーを開催した。セミナーではパネリストたちが、報告書に書かれた説得力ある提案を実行に移し、レバノンに秩序を回復させる方策について議論した。

議論の大部分で、ヒズボラの暗躍ぶりに焦点が当てられた。参加者たちは、現在進行中のアメリカとイランの核合意復帰を巡る交渉の行方が、レバノンにとり重大な分岐点となり得ると指摘した。

MEIのポール・セーラム委員長は、宗派主義から脱却できない状態がこの31年間続くなど、レバノンの直面する課題は多いが、さらに困難を極める課題とは、イランに忠誠を誓う国家を離れたテロ組織「ヒズボラ」の存在と権力が衰えを見せないことだと述べた。

「致命的な問題の1つに、ヒズボラという存在があります」とセーラム委員長は述べた。「レバノン政府が統治制度をどう改革しようと、どれだけ腐敗と戦い適切な判断を下せたとしても、実際のところレバノンは主権国家ではないのです。

「レバノン政府は国境を管理していません。領土を統治していません。戦闘や和平に関する決定権がありません。レバノンには外国政府、すなわちイラン・イスラム共和国に完全な忠誠を誓うと誇らしげに公言する、本格的な軍隊が存在しています。この軍隊がレバノン国民の声に応えることはなく、レバノン政府・議会・国家の命令にも従いません。これもまた、致命的な問題です」

セーラム委員長は、仮にアメリカとイランがウィーンで実施中の協議で合意に達したとしても、レバノンにおけるヒズボラの権力には変化がないだろうと述べた。

「核合意への復帰の有無にかかわらず、イランは軍事的野心を放棄せず、他国での武装組織設立をやめないのは間違いありません」と述べた。「以前ならレバノンが標的でしたが、現在ではレバノン・イラク・シリア・イエメンに到達しています」

ダレル・アイサ下院議員は発言の冒頭で、アメリカ政府はレバノンを見捨てず、5月に予定された総選挙と年内予定の大統領選挙が「自由・公正な形で」実施されるよう、引き続き関与すると保証した。

討論に参加したのは、以前駐モロッコ大使を務めたATFLのエドワード・M・ガブリエル委員長、MEIのブライアン・カトゥリス政策担当副委員長、ジャーナリストのジョイス・カラム氏など。ATFLのジャン・アビネーダー政策担当副委員長が司会を担当した。

「イラン核合意への復帰が成功しなければ、レバノンに対する外部からの影響力に対処する最良のチャンスをアメリカは逃すことになります」とガブリエル委員長は、ヒズボラとイランの関係に言及しながら述べた。

「アメリカ政府はイラン傘下の中東テロ組織に適切に対処しなければ、湾岸諸国・イスラエル・レバノン系アメリカ人から厳しい目で見られることを理解すべきです」

カトゥリス氏は、「レバノンが失われた」との思いを世界が克服せねばならないと述べた。さらに、アメリカのジョー・バイデン大統領が就任当初イランとイエメンに外交政策の重点を置くとしていたため、レバノンの将来が「イラン問題と直結している」ことを理解するよう望むと付け加えた。

アビネーダー氏は、レバノン救済が「アメリカにとり死活問題」だと述べた。

こう付け加えた。「アメリカとその同盟国が強力に支援しなければ、イランとシリアがレバノンを支配するに至り、アメリカに対するテロの脅威は増大するでしょう。こうなると、アメリカの国益に反します」

ATFLとMEIが共同で出した報告書では、事態を改善しレバノン危機を終わらせるため、除去すべき障害が多数に渡ることが強調されており、バイデン大統領とアメリカ政府に対し、政治・経済改革の実施を奨励する「外交的有志連合」を主導するよう呼びかけている。

パネリスト全員が、レバノンは「行政のあらゆるレベルで汚職を大幅削減する」必要があるという点で一致した。

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