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ミカティ首相が「レバノン教育救済会議」を開催

レバノンのナジーブ・ミカティ首相。(AP/資料写真)
レバノンのナジーブ・ミカティ首相。(AP/資料写真)
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08 Feb 2022 04:02:18 GMT9
08 Feb 2022 04:02:18 GMT9
  • 教員のストライキが続くなか、政府は賃上げを確約しているが歳出制限に阻まれている
  • 教育相は、教育制度全体が破綻する恐れがあると警鐘

ナジャ・フーサリ

ベイルート:教育省が7日「レバノン教育救済協議会」を開き、政治家・各国大使・学者・国際機関代表が出席した。教員によるストライキが続行中という事情を受けたものだ。

ストライキのため公立学校は4か月以上休校しており、年度に予定していた履修内容がほとんど進んでいない。

「教育に関する全問題を一度で解決できるような魔法の杖など、政府は持ち合わせていません」とナジーブ・ミカティ首相は開会にあたり述べた。「教職員の皆様には、手足が縛られた政府の現状をご理解願います。

「新型コロナ禍に加えて深刻な経済危機に陥っているため、生徒たちの家族同様、先生方にも辛抱していただくようお願いします。

「先生方に対し、政府と協力してこの難局を最小限の被害で乗り切り、政府・生徒・保護者に対してあれこれ要求しないようお願いします。最緊急課題を除いて、政府は一切の歳出が不能な状況にあるからです」

アッバス・アル・ハラビ教育相は、公立学校の生徒が「今年になって25日間の授業予定日のほとんどに出席していないが、私立学校の生徒は履修内容をほぼこなしています」と述べた。

この状態が続き「公立学校で授業がなかった月の分を補習し、手遅れになる前に履修内容を完了」できない限り、学力面で大きな格差が生まれることになる、と教育相は述べた。

2021年度の公立学校の正確な在籍生徒数は分からないが、2019年度には約34万2303人の生徒が在籍しており、2020年度には生徒数が約1万人増加した。原因は、レバノンの通貨暴落と経済危機により、私立学校の授業料を払えなくなった生徒たちが転入してきたからだ。

ベイルート・アメリカン大学「危機監視委員会」の報告によると、レバノン人家庭の70%が私立学校に子供を通わせていて、特に小中学校はその割合が高かったという。

経済危機以前なら、私立学校の授業料収入は推定13億ドルあったとみられる。

レバノンでは、私立学校1209カ所で約5万1215人の教員が働いており、公立学校1235カ所では約4万796人の教員が働いている。

また、国家の支援を受ける半ば自由裁量の私立学校という形の教育機関が352カ所あり、7468人の教員が雇われている。

一方で、公立・私立を合わせると、約3万人の非正規雇用の教員が働いている。

非正規教員組合では、時給を2万レバノンポンド(13ドル22セント)から7万レバノンポンドにまで引き上げ、教員に1日あたり6万4000レバノンポンドの通勤手当を支払うよう求めている。

非正規教員には健康保険が一切出ないため、健康保険証も渡すよう要求している。

もう一つの提案としては、昨年のように18週の授業実施ではなく、今年度は28週を授業に充てようという声もある。

アル・ハラビ教育相は先週「教員がストライキをする必要はもはやなくなった。内閣が毎月の社会保障給付費を承認し通勤手当を増額したからだ」と述べた。

教育相は、非正規教員の時給を2倍に増やしたと述べた。しかし非正規教員の法的地位を上げ、通勤手当や社会保障給付費の支給対象にするためには、法制化する必要があったのだ。

「国として現時点では、これが限界です」と教育相は説明した。

協議会で、アル・ハラビ教育相は「公教育制度そのものが危機に瀕しています。我々があらゆる手を尽くして補おうとしている本年度の履修内容だけではありません」と警鐘を鳴らした。

非正規教員たちがベイルート繁華街で座り込みをやっていた最中に、教育相の発言が飛び出した。その後代表団が、協議会終了を受けて関係当局と会談した。

通勤手当の増額法案が通過すれば、教員側はストライキを終了することに同意した。

公立学校での新年度開始の遅れにより、通常授業の終わった後に公立学校で授業を受けているシリア難民の子供たちにも影響が出た。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2020年度には、約32万1512人の難民の子供たちが公式・非公式を含めた授業を受ける手続きを済ませていたという。

一方、低所得家庭への援助は減少しており、ヘクター・ハジャール社会問題相は7日、社会問題省が「最貧困家庭援助プログラム対象の7万5000世帯に対し、遅くとも4カ月以内に対応」できると発表した。

社会保障制度の対象に登録されている世帯への家庭訪問が、2月15日から開始されると社会問題相は付け加えた。

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