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プーチン大統領、ウクライナ東部の分離独立派地域の独立を承認

2022年2月21日月曜日。ロシア・モスクワのクレムリンで、ウクライナ東部の分離独立派地域の独立を認める文書に署名する、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。(AP)
2022年2月21日月曜日。ロシア・モスクワのクレムリンで、ウクライナ東部の分離独立派地域の独立を認める文書に署名する、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。(AP)
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22 Feb 2022 12:02:05 GMT9
22 Feb 2022 12:02:05 GMT9

モスクワ:ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は月曜日、ウクライナ東部の分離独立派地域の独立を承認し、同地域への軍隊派遣の可能性が高まった。これは西側諸国に対する直接的な挑戦であり、ロシアによるウクライナ侵攻の不安を煽るものである。

クレムリンで発表された、計画的とみられるこの動きは、ロシアへの新たな制裁につながる可能性がある。これは、激化する危機の外交的解決を求める欧州の努力に逆行するものである。この緊張はすでに東西関係を最悪の状態にし、貿易を危険にさらしている。英国の首相は、これを「国際法違反」と避難した。

東部地域では衝突が急増している。西側諸国は、ロシアがこの衝突を、モスクワの軌道に引き戻そうとする試みに抵抗してきた西側民主主義国家を攻撃する口実として利用すると見ている。

プーチン大統領は、事前に録音された広範囲にわたる演説の中で、現在の危機の原因はNATOにあると非難した。米国主導の同盟はロシアにとって現実的な脅威であると訴え、自らの決定を正当化した。また、1世紀以上の歴史を振り返り、現在のウクライナはロシアと密接に結びついた『つくられた』近代国家だとした。彼は、ウクライナはロシアの歴史的な土地を継承し、ソ連崩壊後はロシアを封じ込めるために西洋に利用されていると主張した。

ウクライナは、ロシアのこのような動きを無意味としていた。しかし、ドネツク、ルガンスク両州でロシアの支援を受けた分離主義者とウクライナ軍との間で戦闘が勃発してから8年が経過した今、紛争はウクライナにとって根本的な驚異となっている。

プーチン大統領は演説の後、クレムリンでこれらの地域の独立を認める法令に署名した。そして、軍事支援の道を開くための法案を承認するよう、議員たちに呼びかけた。

これまでウクライナと欧米はロシアが分離主義者を支援していると非難してきた。しかし、モスクワはそれを否定し、現地で戦ったロシア人は同国とは無関係の志願兵だったと述べてきた。

欧州の指導者たちは、プーチン大統領に地域の独立を認めないよう求めてきた。EUの外交政策責任者は、独立を認めた場合には制裁の可能性があると警告していた。ウクライナ大統領は、治安当局トップを集めた緊急会議を開いた。

クレムリンによると、ドイツのオラフ・ショルツ首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「このような事態に失望している」としながらも、「接触を続ける用意がある」と述べたという。

先に行われたプーチンの安全保障会議では、ロシアの高官たちが次々と分離独立派地域の独立を認めるよう主張した。その中で、分離独立した地域をロシアの領土の一部とすることを支持する、と漏らした者がいたが、プーチンはすぐに彼の発言を訂正した。

推定15万人のロシア軍がウクライナの三方に集結していることから、アメリカはモスクワがすでに侵攻を決定していると警告している。アメリカ、ロシア両国大統領は、戦争を避けるための最後の努力として、会談の可能性に暫定的に合意した。

ロシアが侵攻すれば会談は中止となる。しかし、対面での首脳会談の見通しは、外交によって壊滅的な紛争を防ぐことができるのではないかという期待を蘇らせている。この紛争は、ロシアのエネルギーに大きく依存しているヨーロッパ全体に、大量の犠牲者と莫大な経済的損害をもたらすだろう。

EUのジョセップ・ボレル外交政策代表は、ブリュッセルで開催されたEU外相会議で、制裁措置の発動に合意するかどうかを問われ、こう答えた。「もし承認の事実があれば、制裁措置をテーブルの上に置き、EU閣僚が決定する」

外交的な努力が進む一方で、潜在的な火種は増え続けている。ウクライナの東部では月曜日も継続して砲撃が行われた。ロシアはウクライナからの「侵攻」を防いだ、と異例の見解を述べ、ウクライナ政府はこれを否定した。また、ロシアはベラルーシでの軍事訓練を延長することを決定した。ベラルーシはウクライナの首都キエフへの攻撃のための中継地となりうる。

月曜日の朝、分離独立地域の指導者たちはテレビで声明を発表した。独立を承認し、現在進行中のウクライナによる軍事攻撃から自分たちを守るための軍事援助を可能にする条約に署名するよう、プーチン大統領に訴えた。先週、ロシアの下院も同様の訴えを行っている。

ウクライナ政府は攻撃を否定し、ロシアの挑発として非難している。

プーチンの発表は、ウクライナ当局が反政府地域に広範な自治権を提供することを義務付けるとした2015年の和平協定、「ミンスク合意」を打ち砕くものであり、これはモスクワによる大規模な外交的裏切り行為である。

ウクライナの多くの人々は、この協定を「屈服」「国の統合性への打撃」「国益への裏切り」とみなして反発した。プーチンをはじめとする政府関係者は月曜日、ウクライナ当局がこの協定を実行する意欲を示していないと主張した。

戦争の可能性が迫る中、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ジョー・バイデン米大統領と、ウクライナへの攻撃計画を否定するプーチン大統領との会談の仲介に奔走した。

ロシアは、NATOがウクライナや他の旧ソ連諸国の加盟を認めないことを欧米が保証することを求めている。プーチン大統領は月曜日、ウクライナの加盟を一時停止するだけでは十分ではないと述べた。また、モスクワはNATOに対し、ウクライナへの兵器配備を中止し、東欧から軍を撤退させるよう要求している。欧米諸国はこれを明確に拒否している。

マクロン大統領府は、両首脳が「このような首脳会談開催の原則を受け入れた」と述べた。その後、他の「欧州の安全保障と戦略的安定を議論するために、関連する利害関係者」を含めた、より広範な会合を開くとしている。

モスクワとワシントンからの発表はより慎重なものであったが、どちらも会談が検討されていることを否定していない。

クレムリンにおける会議では、複数の政府高官が首脳会談の可能性について懐疑的な発言をしており、何の成果も得られないだろうと述べている。

一方、米国のジェイク・サリバン国家安全保障顧問は、政権は常に戦争回避のための話し合いに応じる用意があるが、同時にいかなる攻撃にも対応する用意があると述べた。

月曜日、彼はNBCの『トゥデイ』で次のように語った。「昨日、マクロン大統領がバイデン大統領に、ロシアが侵攻してこないのであれば、プーチン大統領と会談する準備が原則的にできているのかと尋ねた。もちろんバイデン大統領はイエスと答えた。しかし、ロシア軍の動向を見る限り、彼らはウクライナへの大規模な攻撃の準備をしているようにしか考えられない」

木曜日以降、ウクライナ東部の産業の中心地であるドンバスでは、ウクライナ軍と、ロシアに支援された反政府勢力を隔てる緊迫した接触線を挟み、砲撃が急増している。モスクワがウクライナのクリミア半島を併合した直後の2014年に紛争が勃発して以来、1万4000人以上が死亡している。

ウクライナと分離独立派は、毎日何百もの爆発が記録されている中で、大規模な停戦違反について、互いに責任を押し付け合っている。

ロシアに支援された分離独立派たちは、ウクライナ軍が住宅地に向けて砲撃していると非難している。しかし、AP通信の記者が接触線に沿って、ウクライナ領内のいくつかの町や村を取材したところ、ウクライナ側からの目立ったエスカレーションは見られなかった。そのかわり、分離独立派たちによる砲撃が強化され、家屋の破壊や、道路が寸断された形跡が記録されている。

反政府勢力の主要都市であるドネツクの住民の中には、ウクライナ軍による散発的な砲撃があったと述べている者もいるが、紛争初期のような規模ではなかったと付け加えている。

分離独立派当局は月曜日、過去24時間にウクライナ軍の砲撃によって少なくとも4人の民間人が死亡し、数人が負傷したと発表した。ウクライナ軍の発表によると、週末にウクライナ人兵士2名が死亡し、月曜日には1名が負傷したという。

ウクライナ軍パブロ・コバルチュク報道官は、ウクライナ軍は応戦していないと主張している。

ウクライナ政府側のノボゲナティベカ村では、エカテリーナ・イブシーバ氏(60)が、砲撃は、紛争初期の戦闘が激化していた時よりもひどいと語った。

「私たちは神経衰弱になりかけています。逃げ場はありません」と、彼女は声を震わせた。

また、別の懸念材料もある。ロシア軍は、ウクライナからロシアのロストフ地方に侵入した「サボタージュ」容疑者5人を殺害し、装甲車2台を破壊して、ウクライナ軍人1人を捕虜にしたと発表した。ウクライナ国境警備隊のアンドレイ・デムチェンコ報道官は、この主張を「偽情報」と断じた。

侵攻への懸念が高まる中、米政権は国連の人権局長に書簡を送った。モスクワが、ウクライナ侵攻後に殺害、または収容所に送るウクライナ人のリストを作成したと主張するものである。この書簡は、ニューヨーク・タイムズ紙が最初に報じたもので、AP通信が入手した。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、この主張は嘘であり、そのようなリストは存在しないと述べた。

AP通信

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