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「ロシア・ウクライナ危機で中立を保ちたいイスラエルの指導者は、薄氷の上にいるようなものだ」と専門家

2022年2月26日、イスラエル・テルアビブのロシア大使館前でおこなわれた抗議デモで、巨大なウクライナ国旗を振り回すデモ隊。(ジャック・ゲーズ/ AFP)
2022年2月26日、イスラエル・テルアビブのロシア大使館前でおこなわれた抗議デモで、巨大なウクライナ国旗を振り回すデモ隊。(ジャック・ゲーズ/ AFP)
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27 Feb 2022 04:02:29 GMT9
27 Feb 2022 04:02:29 GMT9
  • フサイン・アブドゥル・フサイン氏はアラブニュースに対し、「イスラエルは世界の大国との関係をバランスよく保たなければならない」と語った
  • テルアビブは、イラン民兵を標的とするシリア空域へのアクセスをモスクワに依存している

エフレム・コサイファイ

ニューヨーク:イスラエルは、ロシアのウクライナ侵攻を非難する国連安保理決議への賛同を求める米国の要請を拒否した。しかし、外務省関係筋の話を引用したメディア報道によれば、193カ国が加盟する国連総会で採択にかけられた場合、賛成に回る可能性が高いという。

米国は草案を提出する際、他国に対し「(国連)憲章を支持せず、ロシアの攻撃的で挑発的な行動に同調するなら、反対票を投じるか、棄権してほしい。ロシアに選択肢があったように、各国にも選択肢がある」と訴えていた。

80カ国以上が米国の要請を受け入れ、共同提案国に加わった。国連安保理暫定加盟国であるアルバニアも加わって提出されたこの決議案は、ロシアを「非常に強い言葉」で非難し、ウクライナからのロシア軍の即時撤退を要求するものとなった。   

ロシアは金曜に拒否権を行使し、中国、インド、UAEは投票を棄権した。残りの国連安保理加盟国11カ国は賛成票を投じた。

ウクライナのセルギー・キシュリツィア国連大使は、いわゆる「平和のための結束」決議に基づき、国連総会議長に緊急会議の開催を要請した。拒否権を行使する5つの常任理事国の意見がまとまらず、国連安保理が行動できない場合は、国際平和と安全に関する事項を話し合うため、緊急会議の招集権限が常任理事国(米国、ロシア、中国、英国、フランス)に与えられている。

イスラエルは通常、国連では米国に従うのだが、他の同盟国の機嫌を損ねないよう抵抗することもある。

イスラエルは、西側諸国では唯一、ロシア、ウクライナと比較的良好な関係を保っており、これまでモスクワに対しては強い姿勢をとらないようにしてきた。

ワシントンを拠点とし、外交政策と国家安全保障を専門とする超党派組織であるFDD(民主主義防衛財団)のフサイン・アブドゥル・フサイン研究員は、「イスラエルは様々なレベルでウクライナと結びついている」と指摘する。

彼はアラブニュースに対し、「第一に、25万人のユダヤ人がウクライナに住んでいると推定される。また、ウクライナ西部のウマン市には、ハシディズム運動の創始者であるブレソロフのナッハマン師の廟もある」と語った。

「毎年、ハシド派のユダヤ人巡礼者が何万人もウマン市を訪れる。そしてヴォロディミル・ゼレンスキー大統領自身もユダヤ人だ。こういった結びつきは、ウクライナとイスラエルの関係が、無作為の2国間における平均的な関係以上だということを意味する。」

アブドゥル・フセイン氏によれば、「イスラエルとロシアの関係は、アメリカの民主党政権が中東から手を引いた後、同盟国に対して問題処理を委ねたことによって近くなった」という。

同氏は更に、「シリア危機におけるアメリカのリーダーシップ不在の空白を埋めるため、モスクワが介入したことから、イスラエルはロシアとの協調を余儀なくされた」と付け加えた。

「アメリカがシリア問題の主導権を握っていれば、1991年にイラクでイスラエルがサダム・フセインのミサイルに反応しなかったように、イスラエルがシリア国内のイラン人を標的とする攻撃に関して、ロシアと協調することはなかっただろう。」

アブドゥル・フセイン氏は、「イスラエルとモスクワの関係は、利害関係に基づくものだ。ロシアは、イスラエルがウクライナ侵攻に慎重な声明を出したと感じたため、ロシア国営メディアはイスラエルのゴラン高原併合を非難した。イスラエルとロシアの関係は、このように希薄なものにすぎない。」

イスラエル政府は20日、ロシアのウクライナ侵攻を非難した。ヤイル・ラピド外相は 、「この侵攻は世界秩序に反するものだ」との声明を出した。

しかし、イスラエルのナフタリ・ベネット首相はロシアを公式に非難することは控え、外交強化やウクライナ人への人道的支援拡大を呼びかけている。

アブドゥル・フセイン氏によると、ラピド外相とベネット首相の発言の違いは偶然ではなく、「完全に計画的であり、意図的であるに違いない」と言う。

同氏は、「イスラエルの大衆感情は反ロシア的であり、指導者もそれを理解している。しかしイスラエルは、特にアメリカ不在の中、世界の大国との関係をバランスよく保たなければならない。」と付け加えた。

「ラピド外相とベネット首相は、薄氷の上の(政権)連合の指導者であり、大きな動きを取る時は密接に連携する傾向がある。」

アブドゥル・フセイン氏は、「ロシア戦争反対の声が雪だるま式に大きくなっていけば、イスラエルは国際社会の流れに乗るだろう」と言う。

しかし同氏は、「イスラエルは、特にシリアを巡る問題でロシアと必要最小限の関係を維持するために、一足遅い決断をし続けるだろう」とも付け加えた。

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