• 労働組合は経済危機の中で女性が「最悪の形の搾取」にさらされていると警告

ナジャ・フーサリ

ベイルート：レバノンのミシェル・アウン大統領は国際女性デーにバアブダ宮殿で代表団による訪問を受け、軍の女性兵士および士官を称えた。

「軍事機関への女性の平等な参画を目指した取り組みの成果が見られます。これは過去には不可能だったことです」とアウン氏は述べた。

また「男性が占めていた分野で女性が成功できると信じる準備ができていなかった男性社会の中で、軍に所属する女性の数は着実に増えています」とも述べた。

アウン氏は女性が男性と同じ権利を享受するためのさらなる努力を呼びかけた。「今日では女性が医師、科学者、裁判官などになり、社会の中でさまざまな役割を担っています。しかし、ある分野ではまだ十分な権利を手にしていません。それは政治であり、国会において平等な議席を得ることです。我々はそれを達成しようと努めています」

代表団に同伴した大統領警備隊のバッサム・アルヘロウ准将は次のように述べた。「この女性兵士たちはレバノン軍の精鋭メンバーであり、彼女たちは大統領警備隊および大統領府総局のあらゆる部門で任務にあたっています」

レバノンが女性差別撤廃条約をどの程度履行しているか議論するため、2月に開かれた国連難民高等弁務官事務所（UNHCR）の追跡調査委員会の前に、レバノンの第6回公式定期報告が発表された。

この報告では各機関、特に軍部への女性の参入が顕著に進んでいることが明かされた。また、軍で初めてのジェンダー担当局も設立されている。

報告書には以下のように記されている「この1年間で軍の各階級への女性の登録が著しい増加を記録した。2022年には110名の士官候補生のうち51名の女性士官が軍事大学を卒業予定で、その数は2023年にさらに増え、108名の士官候補生のうち55名となり、その多くは海軍か空軍に入隊する」

行政改革担当閣外大臣ナジュラ・リアチ氏は火曜に次のように述べた。「政治の世界において指導的立場を担うという点で女性たちが顕著な躍進を遂げたものの、この分野での進展は依然限られています。残念ながらいまだに完全な男女平等の達成を妨げている原因を真剣に検討する必要があります」

リアチ氏はさらに次のように述べた。「差別なく全ての国民に平等な権利と義務があると規定する憲法前文に従って、このような障害を克服しなくてはいけません。レバノンが取り組むことを約束した国連の持続可能な開発目標2030の中の第5の目標を達成しようとするならば、これは極めて重要です」

食糧安全保障をめぐる危機の拡大と医薬品・燃料不足がレバノンの国際女性デーに影を落とした。それでもナジーブ・ミカティ首相、バサム・マウラヴィ内務大臣、ナッサー・ヤッシン環境大臣といったレバノン政府関係者たちが火曜にレバノンの女性たちを称えた。

レバノン女性国家委員会の代表クラウディン・アウン氏は次のように述べた。「市民社会機関や国際組織の支援を受けて、経済、保健、供給レベルにおける困難に直面しながらも、委員会は我々が作成した国家行動計画の政府による実現を追求しています」

一方、被雇用者および労働者組合全国連盟（National Federation of Employees’ and Workers’ Unions）は、経済危機を考慮してレバノン女性がいまだに直面する困難を明確に指摘した。

同連盟は、レバノン女性は危機的状況と経済崩壊によって「最悪の形の搾取」にさらされており、国や各省庁は女性にいかなる支援や社会保障も提供できていないと警告した。

「現在、一部のレバノン女性はより多く働いてもより少ない給料しかもらえず、また失業に追い込まれる女性たちもいます」