• イラク当局者によると、この攻撃により建物が損傷したが、死傷者は現在確認されていない
• イラクのムスタファ・アル・カディミ首相は、「攻撃」は明らかにエルビルの住民に恐怖を広めるためのものだと述べた

バグダッド：イラクの治安当局は日曜日、イラク北部の都市エルビルの米国領事館に向けて12発ものミサイルが発射されたと発表した。米国防当局によると、ミサイルは隣国イランから発射された。

イラクと米国の当局は、被害について異なる報告をしている。第二の米当局者は、米国政府施設に被害はなく、死傷者も出ていないと述べたが、イラク当局者は、複数のミサイルが米領事館を直撃したと述べている。領事館の建物は新しく、現在は無人の状態だ。

米国防当局者は、情報がまだ完全には入っていないため匿名を条件に語り、ミサイルが何発発射され、どこに着弾したかはまだ定かでないと述べた。

イラク治安当局は、真夜中過ぎに発生し、地域に物的損害をもたらしたこの攻撃による死傷者の緊急報告はないと述べた。彼らは規則に沿って匿名を条件に話した。

イラク当局者の一人は、弾道ミサイルがイランから発射されたと述べたが、詳しくは述べなかった。米当局者はミサイルの種類を認めなかった。

第二の米当局者は、この事件はイラク政府とクルド地域政府によって調査されていると述べた。当局の声明によれば、米国は「イラクの主権に対する非道な攻撃であり、暴力の誇示である」として非難している。

この攻撃は、シリアのダマスカス近郊でのイスラエル軍による攻撃で、イランの革命防衛隊のメンバー2人が死亡した数日後に行われた。イラン外務省は水曜日にこの攻撃を強く非難し、報復を誓っていた。

日曜日、イラン国営のIRNA通信は、イラクのメディアを引用し、エルビルでの攻撃を認めたが、その発射元には言及しなかった。

米国領事館の近くにある衛星放送チャンネル、クルディスタン24（Kurdistan24）は、攻撃直後にスタジオから放送を開始し、スタジオの床に粉々に飛び散ったガラスと瓦礫を映し出した。

治安当局の声明によると、エルビルは日曜日未明に「多数のミサイルで」狙われたとし、治安部隊が調査中で、追って詳細を発表すると付け加えた。

この攻撃は、イランの崩壊した核合意をめぐるウィーンでの交渉が、ウクライナでの戦争をめぐるロシアに対する制裁に関するロシアの要求により「一時停止」されているときに起こったものである。

米国の中東担当トップ司令官は、イランとイランに支援された民兵がイラクとシリアの軍隊と同盟勢力に攻撃を加える脅威が高まっていることについて、繰り返し警告している。

12月のAP通信とのインタビューで、フランク・マッケンジー海兵隊大将は、イラク国内の米軍は非戦闘的な役割にシフトしているが、イランとその代理勢力は依然として米軍を完全にイラクから撤退させることを望んでいると語った。その結果、同大将は、それがさらなる攻撃の引き金になるかもしれない、と述べている。

バイデン政権は昨年7月、イラクにおける米国の戦闘任務を12月31日までに終了させることを決定し、米軍は昨年から徐々に助言的役割に移行している。同軍は引き続き、イラクの対ダーイシュの戦闘に航空支援やその他の軍事支援を提供する。

米国のイラク駐留はイランにとって長い間、火種となってきたが、2020年1月のバグダッド空港付近での米国の無人機攻撃でイランのトップの司令官が殺害され、緊張が高まった。報復として、イランは米軍が駐留するアル・アサド空軍基地にミサイルの集中砲火を浴びせた。この爆風で100人以上の軍人が外傷性脳障害を負った。

最近では、昨年末に起きたイラクのムスタファ・アル・カディミ首相の暗殺未遂事件は、イランの代理勢力によるものと考えられている。

また、米軍が駐留するシリア南部の軍事拠点で10月に発生した無人機攻撃の背後にはイランがいるとみられる、と当局は述べた。この攻撃による米軍兵士の死傷者は出ていない。

ムスタファ・アル・カディミ首相は次のツイートを投稿した。「大事な都市エルビルを標的にし、住民の間に恐怖に広めた攻撃は、我々の国民の安全に対する攻撃だ」

半自治クルド人支配地域のマスード・バルザニ首相は、この攻撃を非難した。フェイスブックの投稿で同首相は、エルビルは「テロ攻撃を行った卑怯者には屈しない」と述べた。

AP