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ウクライナ戦争開始1か月、プーチン氏が石油の支払い方法変更で制裁に対抗

2022年3月23日水曜、ウクライナのキエフで爆撃により破壊された家屋の残骸の中に立つウクライナの消防隊員。(AP)
2022年3月23日水曜、ウクライナのキエフで爆撃により破壊された家屋の残骸の中に立つウクライナの消防隊員。(AP)
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24 Mar 2022 12:03:51 GMT9
24 Mar 2022 12:03:51 GMT9
  • チュバイス氏は将来大統領となるプーチン氏が初めてソ連政府の仕事に就いた際の上司だった
  • 同氏はのちにプーチン氏のもとで大きな国営企業を経営し、政治職を務め、最近ではロシア政府から国際組織への特使を務めていた

リヴィウ:攻撃開始からひと月が経った水曜、ロシア軍がウクライナの首都キエフの各地区を爆撃・砲撃した。一方、西側諸国の首脳たちはロシアのウラジーミル・プーチン大統領にさらなる圧力をかけて戦争をやめさせる方策を練るため、ブリュッセルに集まった。

プーチン氏はロシア経済に大打撃を与え、資産を凍結する西側諸国からのさまざまな制裁に対抗し、ロシア政府は「非友好的」な国からのガス代支払いをルーブル建てに変更する予定だと述べたため、国際市場に警戒が広がった。

ロシア政府高官の間に亀裂が生じた証として、長年のプーチンの側近であるアナトリー・チュバイス氏がウクライナ戦争をめぐって辞任してロシアを去っており、帰国の意思はないと2人の情報提供者が述べている。同氏は2月24日にプーチン氏が侵攻を開始して以来初のロシア政府と決別した高官となった。

侵攻軍はいくつかの地域で足止めされており、ウクライナの激しい抵抗により短期決戦への望みを妨げられているが、ロシアの迫撃砲と空爆は複数の都市への攻撃を継続し、逃げられなかった、もしくは逃げることを望まなかった市民は地下に退避している。

「こんな残虐なことは見たことがありません」と38歳のカテリーナ・マイトケヴィッチ(Kateryna Mytkevich)さんは述べた。彼女は東部のチェルニヒウ市を逃れ、子どもを連れてポーランド国境近くの中継地点であるプシェムィシルにたどり着いた 。街は「完全に破壊」されたと彼女は述べた。

米国のジョー・バイデン大統領は、木曜に西側諸国の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)および欧州首脳とブリュッセルのNATO本部でウクライナについての緊急首脳会談を開くため、ヨーロッパに飛んだ。

首脳たちはロシアへの追加制裁を投入すると見込まれている。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は首脳会談前の記者会見で、同盟の東端地域で軍を増強することにも合意するだろうと述べた。

しかし同氏は、NATOはウクライナに派兵しないとしている。

「ウクライナを支援することは極めて重要であり、支援を強化するつもりだ。しかし同時に、この戦争がNATOとロシアの本格的な戦争へ発展するのを防ぐことも極めて重要だ」と同氏は述べた。

「非友好国」

ロシアが一部のガス輸出に対する代金支払いをルーブル建てに切り替える予定だというプーチン氏の発表により、この切り替えによって地域のエネルギー危機が悪化し、毎日数億ドルに上る取引が滞るのではないかという懸念が広がり、ヨーロッパの先物相場が急騰した。

ロシア産ガスはヨーロッパの合計ガス消費量の約40パーセントを占める。

ロシア政府は制裁を科した国々を「非友好的」な国としてリストを作成した。その中には米国、欧州連合加盟国、英国、日本などが含まれている。

「ロシアはもちろん、以前に結んだ契約が定める量と価格に従って天然ガスの供給を継続する」とプーチン氏はテレビで放送された閣僚との会合で述べた。

「変更は支払通貨についてのみで、ロシア・ルーブルでの支払いに変更される」と同氏は述べた。

ロシアの行いに対して西側諸国が科した制裁により、ロシアは世界経済から疎外されている。

プーチン氏は2月24日に、ウクライナを非武装化し「非ナチ化」するための「特別軍事作戦」と称してウクライナに軍を進めた。西側諸国は旧ソ連の構成国に再びロシアの覇権をふりかざすことを目的とした侵略戦争だと指摘している。

しかし、流血の惨事が1か月続いても、まだロシア軍はひとつの主要都市も占領できていない。

ロシア政府は計画通り作戦が進んでいるとしているが、大損害を受け、多くの前線が膠着状態となっており、補給の問題と激しい抵抗に直面している。ロシア軍は包囲戦術と砲撃および爆撃に転じ、大規模な破壊と多数の民間人の死を引き起こしている。

また、この戦争によりウクライナの人口4,400万人の4分の1が避難を余儀なくされている。

キエフ市長のビタリ・クリチコ氏は水曜にロシアの攻撃により市内で264人の民間人が死亡したと記者団に述べた。同氏が話す間にも爆撃の音が聞こえていた。しかし、ウクライナ軍は付近の街マカリウとイルピンをロシア軍から奪還したと、同氏は述べている。

クリチコ氏はその後、水曜にキエフ北部のショッピングセンターの駐車場が砲撃を受けて1人が死亡、2人が重症を負ったと述べた。「敵は首都への攻撃を続けている」とクリチコ氏はオンラインの投稿で述べている。

ロシアは民間人を標的にはしていないとしている。

港に立ち込める煙

最も大きな被害を受けているのはロシア軍に囲まれた南部の港湾都市マウリポリで、戦争開始当初から数十万人が屋内に退避しており、絶え間ない爆撃の下で食糧、水、暖房の供給が断たれた状態にある。

営利企業Maxarが夜間に公開した衛星写真は、かつて40万人が住んでいた都市の大規模な破壊状況を示しており、炎上する集合住宅から煙が立ち上っている。

ロシアは現在までの損害にもかかわらず、特に東部のマウリポリなどのロシアが支援する分離派への割譲をロシア政府がウクライナに要求している地域において、さらなる戦果を望んでいる可能性がある。

英国の軍事諜報部は、以前キエフを脅かした機甲部隊も参加するウクライナ北部の戦場全体が、現在「停滞」しており、侵攻軍は態勢を立て直そうとしているようだと指摘した。

しかし東部では、ウクライナ軍包囲を目指すロシアがマリウポリの部隊とその近くのウクライナ第二の都市ハルキウ付近の部隊をつなげようとしており、南西部ではミコライウ市街を迂回し、ウクライナ最大の港湾都市オデッサに進軍しようとしていると、英国は報じている。

ウクライナ当局によると、他の都市でも夜間に散発的な砲撃があり、ミコライウでは民間人2人が死亡し、チェルニヒウでは橋が破壊されたという。ロイター通信はこれらの件について直ちに確認することはできなかった。

経済の改革者

モスクワでは、ロシア政府が高官のチュバイス氏が自らの意思で辞職したことを認めた。

チュバイス氏はボリス・エリツィン氏が1990年代に行った経済改革の主要立案者の1人であり、将来大統領となるプーチン氏が初めてソ連政府の仕事に就いた際の上司だった。チュバイス氏はのちにプーチン氏のもとで大きな国営企業を経営し、政治職を務め、最近ではロシア政府から国際組織への特使を務めていた。

チュバイス氏はロイター通信が連絡を試みると受話器を置いた。情報筋は同氏の所在を明かさなかった。

ロイター

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