Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • キエフへの攻撃を縮小するというロシアの約束に、「ウクライナは世間知らずではない」とゼレンスキー大統領

キエフへの攻撃を縮小するというロシアの約束に、「ウクライナは世間知らずではない」とゼレンスキー大統領

侵攻は、ウクライナ軍の激しい抵抗によって、ほとんどの前線で停滞している。(ロイター通信)
侵攻は、ウクライナ軍の激しい抵抗によって、ほとんどの前線で停滞している。(ロイター通信)
Short Url:
30 Mar 2022 02:03:03 GMT9
30 Mar 2022 02:03:03 GMT9
  • ウクライナとの和平交渉でロシアが軍事作戦縮小を約束
  • 米国は他の地域での大規模な攻撃に目を光らせている

リヴィウ/キエフ郊外:和平交渉でのキエフ周辺とチェルニヒウでの軍事作戦を縮小するという和平交渉でのロシア側の約束に対しウクライナが疑念を示す中、西側諸国はロシアがウクライナの他の地域が攻撃を強めると警戒している。

第二次世界大戦以来最大のヨーロッパの国に対する攻撃開始から1ヶ月以上経ち、死傷者の数は数千人に上り、400万人近くが海外への非難を強いられ、制裁でロシア経済が大打撃を受ける中、ウクライナとロシアの和平交渉がイスタンブールの宮殿で行われた。

侵攻はウクライナ軍からの激しい抵抗によって、ほとんどの前線で停滞している。包囲された都市に市民が閉じ込められているが、ウクライナ軍は領土を取り戻している。ロシアのアレクサンドル・フォミン国防次官は、「相互信頼を深め、さらなる交渉と合意・調印という最終目標の実現に欠かせない環境を作り出すために、キエフとチェルニヒウ方面の軍事行動を大幅に縮小する決定が下された」と明らかにした。

フォミン国防次官は、南東部のマリウポリ周辺、東部のスミとハリコフ、南部のヘルソンとミコライフなど、激しい戦闘があった他の地域については言及しなかった。

これを受けて、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、29日に「ウクライナ人は世間知らずではない」と発言した。

「ウクライナ国民は、この34日間の侵攻と、ドンバスでの過去8年間の戦争で、信じられるのは具体的な結果だけだとすでに学んでいる」と大統領は述べた。

米国防省は、同日、ロシアはキエフ周辺からごく少数の部隊を遠ざけ始めたが、後退や戦争からの撤退というよりは、再配置だと指摘した。

ジョン・カービー報道官は記者会見で、「ウクライナの他の地域への大規模な攻撃に備えるべきだ」という見解を示し、「キエフへの脅威がなくなったわけではない」と述べた。

英国防省は最新の戦況分析で、「ロシアが戦闘力を北部から東部のドネツクとルガンスク地域への攻撃に転じる可能性が高い」と指摘した。

ロイター通信は、どちらの主張も直ちに検証することはできなかった。

ロシアの支援を受けており、一方的な「独立」を宣言した、ウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」の指導者は、ウクライナのドネツク地域全体を支配した後に、ロシアへの編入を検討するかもしれないと発言した。ウクライナ政府は、そのような動きには法的根拠がないとしている。

米ホワイトハウスは、ジョー・バイデン大統領が29日にフランス、ドイツ、イタリア、英国の首脳と会談を行い、ウクライナの最新の動向について話し合うと発表した。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領も、同日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談する予定だ。

ロシアは、自国が行う攻撃をウクライナを武装解除し「非ナチ化」するための「特殊作戦」と呼んでいる。欧米は、正当な理由のない侵攻を行ったと非難している。

一部のアナリストは、ロシアの攻撃を縮小するという約束は、主に形勢が不利になっている地域を対象にしていると指摘している。

ウクライナ軍の参謀本部は、一部の地域での軍事作戦を縮小するというロシアの約束は「おそらく個々の部隊の交代であり、私たちを欺むくことが狙いだ」という見方を示した。

ロシア軍は、攻撃を受けている都市のウクライナ軍が態勢を立て直し、病院や学校に攻撃拠点を構えるために停戦を利用していると非難した、とインタファクス通信は伝えた。

カービー報道官は、ポーランドに駐留するアメリカ軍は、武器を引き渡すためにウクライナ軍と「連携」しており、計10機のF-18戦闘機と200人以上の兵士を北大西洋条約機構(NATO)加盟国でロシアの隣国であるリトアニアに配備していると説明した。

ウクライナの和平交渉担当者によると、提案では、同盟に参加せず、外国軍基地を受け入れないことに同意する見返りに、集団防衛を規定するNATO条約第5条と同様の条件でウクライナの安全を保証するよう求めている。

そのような保証を与える可能性のある国として、イスラエルとNATO加盟国のカナダ、ポーランド、トルコを挙げた。ロシア、米国、英国、ドイツ、イタリアも関与する可能性があるとする。

提案は、ウクライナでの国民投票を必要とし、2014年にロシアに併合されたクリミアの地位については15年かけて協議するとしている。

ロシアがウクライナに分離主義者へ割譲するよう要求している南東部のドンバス地域の運命は、ウクライナとロシアの首脳間の話し合いに委ねられることになる。

ロシア側の交渉団を率いるウラジーミル・メジンスキー大統領補佐官は、ウクライナの提案には、ロシアがウクライナの欧州連合加盟(EU)に反対しないということも含まれていると明らかにした。ロシアは、ウクライナのEU加盟に加えて、NATO加盟に強く反対してきた。

メジンスキー大統領補佐官は、和平合意に向けて、ロシア側の交渉団は提案を検討し、プーチン大統領に報告すると述べたが、後に、タス通信社に「まだ道のりは長い」と語った。

ロシア軍に包囲されているウクライナの港湾都市マリウポリでは、何千人もの民間人が死亡した可能性があると、ウクライナの国連人権チーム責任者は、29日にロイター通信に明らかにした。

残された人々は苦しんでいる。

「私たちは8人です。ここあるのはジャガイモの入ったバケツが2つ、タマネギの入ったバケツが1つです」と、窓が吹き飛ばされたアパートで、エンジニアのイリーナは語った。

その他の地域では、ウクライナ軍が攻勢を強め、キエフ郊外、北東部、南部でロシア軍から領土を奪還している。

南部の都市ミコライフでは、ミサイルが主要な行政庁舎に穴をあけた。当局によると、少なくとも12人が死亡、33人が負傷した。

ロイター

特に人気
オススメ

return to top