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トルコ人女性、子宮頸がんワクチンの無料接種求め法廷で争う

HPVワクチンは子宮頸がん患者を約90%減少させることが研究で明らかになった。(AFPファイル写真)
HPVワクチンは子宮頸がん患者を約90%減少させることが研究で明らかになった。(AFPファイル写真)
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09 Apr 2022 05:04:47 GMT9
09 Apr 2022 05:04:47 GMT9
  • 保健当局は、HPVワクチンの代金を学生に返金するよう命じる
  • 経済的理由により、ワクチンを購入することができない市民が多数いる

イスタンブール:トルコの大学生であるムール・ヴァルカルさんは、子宮頸がんワクチンの代金を支払わなければならないことを知り、返金を求めて保健当局を訴え歴史的勝訴を勝ち取った。

先月勝ち取ったヴァルカルさんの勝訴に触発され、他の女性たちも無料のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを求めて訴訟を起こしている。世界保健機関(WHO)によれば、すでに100カ国以上の国では、女子に対しHPVワクチンを無料で提供している。

トルコのキャンペーン関係者は、このアンカラの裁判所での判決が前例となり、一般向けにワクチンの無償提供が開始されることを期待している。

「私たちは今回の判決にとても満足しています。私たちの正当な主張が認められたのです」とヴァルカルさん(24歳)は言う。ヴァルカルさんの法廷闘争は、キャンペーン団体「Children and Women First Association」が支援している。

「しかし、私たちはやめるつもりはありません。私たちの一番の目標は、すべての女子と男子にワクチンが行き渡るようにすることです」とヴァルカルさんはトムソン・ロイター財団に語った。

ヴァルカルさんの裁判について保健省にコメントを求めたが、すぐに返答は得られなかった。

最も一般的な性感染症のひとつであるHPVは、通常、何の症状も出ず、自然に治る。

しかしこのウイルスは。女性やトランスジェンダーの男性の子宮頸部のがんや咽頭がんや、そして陰茎がんを引き起こす可能性がある。

子宮頸がんは、世界で4番目に多い女性のがんで、トルコでは毎年約1,250人の命が奪われている。

少女にHPVワクチンを接種すると、子宮頸がんの発症を約90%抑制できることが研究で明らかになったため、最も効果的な9歳から14歳の少女を対象に無料で接種する国が増えつつある。

しかし、人口8,400万人以上のトルコでは、まだHPVワクチンは無償の予防接種リストには含まれていない。

さらに経済危機により、インフレが20年ぶりの高水準に達し、通貨価値がドルに対して半減しているため、多くの人にとって自費で支払うことが難しくなっている。

価格は2,372トルコリラ(160ドル)と、通貨暴落後の最低月給の半分以上であり、ほとんどのトルコ人女性や少女にとってワクチンは高すぎるのだ。

ワクチンの価格

HPVワクチンの接種のしやすさは、地域によって異なる。WHOのヨーロッパ地域53カ国のうち、トルコを含む37カ国では日常的に摂取されている。

国際がん研究機関(IARC)が共同で運営する情報ハブ「HPV情報センター」のデータによると、ギリシャ、アルメニアなどは予防接種費用を全額負担しているが、ウクライナ、アゼルバイジャン、レバノン、イランの住民はワクチン代を自己負担しなければならないという。

トルコの医師で国会議員のカンダン・ユジェール氏は、トルコの女性や少女がHPVワクチンを接種している割合は1%未満であると推定している。

「この割合では、(ワクチンが)存在しないのと同じです。何千人もの命が救われるかもしれないのに、ワクチンを打たないことによる死を無視することは許されません」とユジェール氏は述べた。

トルコでは、セックスや女性の健康について公に話すことは一般的にタブーとされており、保守的な社会的価値観も予防接種へのアクセスを広げる障害になっていると、女性運動家は述べている。

イスタンブールに住む36歳の女性、ゼイネップ氏は、HPVに感染した後、性感染症につきまとう社会的偏見から「怒り、恐れ、動揺」を感じたと語る。

「保守的な家庭の出身なので、自分を責めました」と、ゼイネップ氏は実名を伏せた上で語ってくれた。

しかし友人と話すうちに、彼らの多くもHPVウイルスに感染していることに気づいたという。

集団訴訟

活動家によると、3月10日にアンカラの裁判所で、ワクチンを含む医療に資金を提供する政府運営の社会保障機構に対してヴァルカルさんが勝訴したことは、いずれHPVワクチンの普及につながる重要な前例となるという。

25人以上の女性が、Children and Women First Associationが支援する集団訴訟の一環として、自己負担したワクチン代金の払い戻しをトルコの裁判所に申請している。この団体は、無料接種を求める薬剤師たちのロビー活動にも協力してきた。

「HPVワクチンを国の予防接種プログラムに含めるという政治家の決断が必要です」と、無料接種キャンペーンを率いる薬剤師のセム・キリック氏は述べている。

Children and Women First Associationのニルダ・バルタリ氏は、ワクチンが無料で提供されない限り、女性はがんに罹患する高いリスクに直面し続けることになると述べた。

「私たちの努力は、生きる権利を勝ち取るためのものです」とバルタリ氏は言う。

トムソン・ロイター財団

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