Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • レバノン、食糧安全保障に関する世界銀行との取引に期待

レバノン、食糧安全保障に関する世界銀行との取引に期待

4月19日(火曜日)、ベイルートの事務所でAP通信のインタビューに応じるレバノンのアミン・サラム経済貿易大臣。(AP)
4月19日(火曜日)、ベイルートの事務所でAP通信のインタビューに応じるレバノンのアミン・サラム経済貿易大臣。(AP)
Short Url:
20 Apr 2022 05:04:24 GMT9
20 Apr 2022 05:04:24 GMT9
  • アミン・サラム氏は、国際通貨基金(IMF)との協議は前向きに進んでいると述べた
  • アミン・サラム氏によると、IMFは改善が進んでいる3つの分野(電力、運輸、高速インターネット)に注目している

ベイルート:レバノンは世界銀行との合意に近づいており、IMFは危機に見舞われているレバノンに対して今後6ヶ月間の食糧確保とパン価格安定のために、1億5000万ドル(約190億円)の融資を行うことになると、レバノンの経済相が4月19日(火曜日)に述べた。

アミン・サラム氏は、国際通貨基金(IMF)との協議は前向きに進んでいると述べた。

サラム氏はAP通信のインタビューに対して、「作業は進行中で、列車は動いています。私は楽観視しています」と語った。IMFは改善が進んでいる3つの分野(電力、運輸、高速インターネット)に注目しており、それは経済全体の再活性化に役立つからであると、サラム氏は述べた。

レバノンの主食である平たいアラビアパンの製造に使われる小麦粉を中心に、政府がパンの補助金をすぐに廃止する予定はないと、サラム氏は語った。

レバノンは、近代史上最悪とも言われる壊滅的な経済危機に見舞われている。レバノンは小麦のほとんどを輸入しており、ウクライナ戦争が世界中の石油や食料品の価格上昇を招いたため、ここ数週間、小麦不足に直面している。

また、中央銀行の外貨準備高が危機的水準に低下しているため、政府が小麦の補助金を廃止するのではないかとの懸念も出ている。地中海に面したこの国では、100万人のシリア難民を含む600万人の人口の4分の3以上が貧困にあえいでおり、補助金が廃止されればパンの価格が急騰することになる。

「1億5000万ドル(約190億円)を受け取ることで、今後6ヶ月間市場の安定を保てるように世界銀行と協力しています」 とサラム氏は述べた。また、世界銀行との取引によってパンと小麦の価格が安定している間に、配給カード政策を実施して、困窮した人々が恩恵を受けることができるようにすると付け加えた。

サラム氏は、補助金はいつまでも続けられるものではないと付け加えた。特に菓子パンやお菓子の材料となる小麦粉に対する補助金はそうである。このような政策はエジプトなどで実施され、一部の製品に使われる小麦への補助金は廃止され、パンへの補助金は残されたという。

サラム氏によると、4月20日(水曜日)に世界銀行の関係者と会談が予定されており、レバノンはその後、世界銀行の理事会に最終的な提案を行う予定であると述べた。サラム氏は、レバノン政府と世界銀行から暫定的な承認が得られており、3週間から1ヶ月で実現する可能性があると付け加えた。

ウクライナの戦争によってレバノンは、遠く離れたより高価になる小麦の産地を新たに見つけなければならなくなっていると、サラム氏は述べた。
今月初旬、レバノンとIMFは、ベイルートが広範な改革を実施した後、最終的にはレバノンに救済の道を開くことができる包括的な経済政策について、暫定的な合意に達した。

IMFとのレバノンの交渉チームの一員であるサラム氏は、もしレバノンがIMFプログラムを完全に遵守しなければ、状況は「代替案がないため非常に厳しくなる」ことを、政府や議会やすべてのレバノン政府関係者が十分に認識していると述べた。

銀行部門がなければ経済成長を進めることは不可能なので、銀行部門は再構築されなければならない、とサラム氏は述べた。そして、IMFとの協議において、レバノン側は 「銀行部門を破壊することなく、銀行部門に損失の一部を負担させる」 よう努力したと付け加えた。

サラム氏は、IMFとの最終的な交渉が成立し、当局による成功への政治的意図があればいつでも、レバノンは今後2、3年のうちに目に見える成果を上げ始めることができる、そして5年後には「レバノンは非常に良い場所になれる」と語った。

2019年10月に経済崩壊が始まって以来、その価値の90%以上を失っているレバノンポンドは、より安定したものになり得るとサラム氏は述べた。

レバノンが4月7日にIMFとスタッフレベルで合意した内容には、実施すべき5つの 「主要な柱」(金融部門の再構築、財政改革の実施、対外公的債務の再構築案、汚職対策、マネーロンダリング対策) が挙げられている。

サラム氏は、国内の大手銀行14行は市場の約80%を支配しているため、部門の再構築に取り組む基準として取り上げられるだろうと述べた。問題を抱えた中小銀行は、大手金融機関に買収されるべきである。

サラム氏によると、預金が10万ドル(約1260万円)以下の人々は、いずれは預金を取り戻す可能性が高いが、残高がそれよりもはるかに多い人々は、財務省短期証券を入手したり銀行や政府機関の株主になる可能性が高いという。

「10万ドル(約1260万円)という数字は、すべての人のために守られる数字になるだろう」とサラム氏は述べた。

サラム氏は首相の立場を破って、中央銀行のリアド・サラーマ総裁は辞任すべきだと提案した。

彼は「彼の状況は微妙になっている」と述べ、将来のレバノン政府が彼と協力するのは難しいだろうと語った。

サラーマ総裁は1993年からその職に就いているが、レバノンやヨーロッパのいくつかの国で、マネーロンダリングや横領の可能性について調査を受けている。しかし、首相や国会議長など、複数の政府高官に守られている。

「私は変化に大賛成です」とサラム氏は述べた。「代わりの効かない人などいません」

AP

特に人気
オススメ

return to top