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危機に見舞われる中、レバノンのラマダンは大きく変わった

「一日一日をなんとか暮らし、働いています。さまざまな混乱と燃料危機の中で、明日店を開けられるかも分からないのです」と、店の従業員のひとりであるアリさんはアラブニュースに述べた。(提供)
「一日一日をなんとか暮らし、働いています。さまざまな混乱と燃料危機の中で、明日店を開けられるかも分からないのです」と、店の従業員のひとりであるアリさんはアラブニュースに述べた。(提供)
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26 Apr 2022 06:04:32 GMT9
26 Apr 2022 06:04:32 GMT9

ナディア・アル・ファオール

  • レバノンは2019年から前代未聞の経済崩壊に陥っている。通貨価値は90パーセント以上も下落し、物価高騰により基本的な商品やサービスが贅沢品となってしまった

ベイルート:ベイルートの人気菓子店パティスリー・クレミノは数十年にわたって、クリスマス、イースター、ラマダンの時期のケーキやエクレア、タルトといった美味しい菓子への需要の高まりに備えてきた。

しかし、今年のラマダンは違った。

このところ、店にはほとんど客が来ない。菓子職人とオーナーは量を減らし、その代わりにパティスリーが誇る品質の高さを維持することに専念しようと決めた。

「時が経つほどに、私たちみんなの状況が悪化していきます。一日一日をなんとか暮らし、働いています。さまざまな混乱と燃料危機の中で、明日店を開けられるかも分からないのです」と、店の従業員のひとりであるアリさんはアラブニュースに述べた。

「今は祝福の月であるはずです。私たちがどこに向かうのか見てみましょう。それは誰にも分かりません」

菓子屋や地元の小売業者にとって、ラマダンは通常楽しみな時期である。聖月(ラマダン)を締めくくるのはイード・アル・フィトルで、このもっとも盛り上がる3日間には魅力的な菓子と真新しい衣服一式が断食、信仰、修養への報いとなる。

ハロー・ベイビーという子供服店を営むシャディアさんは、アラブニュースに次のように語った。「例年の忙しい時が消え去ってしまいました。ひとりの女性が2、3人の子どもを連れて入ってきても、イードに向けて子どもたちのためにほんの数点を購入するのがやっとで、最近では多くの人は何も買わずに出ていきます。本当に胸が痛みます」

ベイルートの路上には、装飾的ではあるが控えめなラマダンの飾りと並んで選挙候補者のポスターが掲出されている。国会議員と大統領の選挙を来月に控え、各政党は国民の生活環境改善を公約に掲げて選挙運動を行っている。

レバノンは2019年から前代未聞の経済崩壊に陥っている。通貨価値は90パーセント以上も下落し、物価高騰により基本的な商品やサービスが贅沢品となってしまった。

どんな状況でもなんとかやっていく方法を見つけることで知られている同国だが、継続的な国家機関の崩壊によって実質的に被害を受けていない会社はない。

セーブ・ザ・チルドレンが今年初めに発表した報告書によると、推定400万人のレバノン国民が貧困に追い込まれており、多くの子どもは1日に少なくとも1食を抜いている。子どもたちの食事は主に米やジャガイモなどの炭水化物で、それさえも半分の量に減らされている。

セーブ・ザ・チルドレンのカントリーディレクターであるジェニファー・ムーアヘッド氏によると、同国の状況は「急速に制御不能になって」おり、多様な危機に直面する中で救済の兆しが見えないという。

ベイルート郊外のDahyeでは、72歳の祖母ウンム・ハッサンさんが「政治家は私たちを屈辱のどん底に突き落としました。みんなそろって。彼らが私たちに課した屈辱を免れる人はひとりもいません」と嘆いた。

「ラマダンではないように感じます。私たちには食べ物がなく、毎日切り詰めていて、感情的にも精神的にも疲れます。今年は誰もプレゼントをもらえず、新しい服もなく、孫たちにお小遣いもあげられません。何というイードでしょう。祝うことなど何もなく、嬉しいこともありません」

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