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ロシア、西側が供給する武器を目標にウクライナに猛攻撃をかける

5月4日、ウクライナのドネツク郊外におけるウクライナとロシアの戦闘で、石油貯蔵庫が炎上し、上空に煙が立ち上る。(ロイター)
5月4日、ウクライナのドネツク郊外におけるウクライナとロシアの戦闘で、石油貯蔵庫が炎上し、上空に煙が立ち上る。(ロイター)
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05 May 2022 04:05:01 GMT9
05 May 2022 04:05:01 GMT9
  • 5月9日に対独戦勝記念日を迎えるロシアの攻撃が激化
  • ウクライナには西側から武器が流入し、ロシアがキーウを掌握しようとする当初の動きを阻止していた

リビウ:西側が「ウクライナへ武器の供給を続けている」と抗議するロシアは、ウクライナ国内の鉄道駅やその他の供給ラインの拠点への攻撃を激化させている。一方、欧州連合(EU)は4日(水曜日)、ロシア政府による戦争への追加制裁として、ロシアの重要な収入源である石油の輸入禁止を提案した。

マリウポリ市長によると、廃墟と化したウクライナ南部の港町であるマリウポリのアゾフスタリ製鉄所はウクライナ人の抵抗の最後の砦となり、激しい攻撃が加えられているという。しかし、ロシア当局はロシア軍による同製鉄所の攻撃を否定し、ウクライナ側の前日の主張とは食い違っている。

ロシア軍は4日、海と空からミサイルを発射し、ウクライナの5つの鉄道駅の電力施設を破壊し、砲撃や空爆により部隊の拠点や燃料庫・弾薬庫を攻撃したと発表した。

ロシアは、ソ連がナチスドイツを撃退したことを記念する5月9日の対独戦勝記念日を前に、攻撃を激化させている。この日、ロシアのプーチン大統領が勝利宣言を行うのか、それとも同大統領が「特別軍事作戦」と呼ぶ攻撃を拡大させるのか、世界は注視している。

全面戦争の宣戦布告により、同大統領は戒厳令を発布して予備兵を動員し、重大な兵力損失の補充が可能となると思われる。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は、このような観測を「ばかげている」と否定した。

ウクライナ全土が新たな攻撃にさらされる中、ロシアが侵攻の中継地としたベラルーシは、4日から軍事演習を行うと発表した。ウクライナの政府高官は、ベラルーシが戦闘に参加した場合、ウクライナは応戦する用意があると述べた。

ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は、鉄道インフラへの攻撃の目的は、西側からの武器の輸送を妨害することであると述べた。ショイグ国防相は、西側が「ウクライナに武器の供給を続けている」と述べた。

現在ロシア政府が主たる目的だとしている東部の工業地帯ドンバス地方を巡る戦いが拡大する中で、西側からウクライナに供給される武器が、ロシアがキーフを掌握しようとする当初の動きを阻止するのに役立ち、中心的役割を果たしていることは確かなようだ。

ウクライナは、決定的な衝突が起こる前に、武器の供給を増やすよう西側に要求している。当初、ウクライナへの武器支援に消極的だったドイツのショルツ首相は、すでに供与が決まっているゲパルト自走対空砲やその他の装備に加え、榴弾砲の供与も検討中と述べた。

東部ドンバス地方のドネツク州知事は3日、ロシアの攻撃により21人が死亡したと述べた。これは、クラマトルスクの鉄道駅に対するミサイル攻撃で少なくとも59人が死亡した4月8日以来、最大の死者数である。

欧米諸国はウクライナへの武器供与に加え、ロシア政府に制裁を加えようとしている。EU高官は4日、ロシア産石油の輸入禁止をEU加盟の27カ国に要請した。

欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、仏ストラスブールで開催された欧州議会で、「我々とパートナーが代替供給ルートを確保し、世界市場への影響を最小限に抑えることができる方法で、秩序ある形でロシア産石油の段階的排除を確実に行う」と述べた。

この提案にはEU加盟国の全会一致の承認が必要であり、激しい議論が予想される。ハンガリーとスロバキアはすでに、いかなる石油禁輸の制裁には加わらないと表明している。両国は今回の禁輸措置から免除される可能性がある。

EUは、ロシア産天然ガスの禁輸措置の可能性についても協議を始めた。EUはすでに、ロシア産石炭の輸入禁止で合意している。

ロシア軍への資金提供を含むロシアの経済は、石油と天然ガスの輸出に大きく依存している。

フォン・デア・ライアン委員長はまた、ロシア最大の銀行であるズベルバンクとその他大手銀行2行を、国際銀行間決済システムであるSWIFTから切り離すことを提案した。

3日、今回の侵攻の最も重要な戦闘の1つで、ウクライナ軍は、ロシア軍がマリウポリで爆撃されている製鉄所への攻撃を再開したと発表した。しかし、ロシア政府はその発表は真実ではないと述べている。

「暴力行為は存在しません。武装勢力が発砲する構えを取ったことで、事態がエスカレートする場合があることは承知しています。しかし、このような事態は速やかに鎮圧されています」とペスコフ報道官は述べた。

週末には、国連と赤十字が監視する停戦の間に、女性や高齢者、17人の子供を含む100人以上が、同製鉄所から避難した。

しかし、すぐに同製鉄所への攻撃が再開され、これ以上の避難は行われなかった。

同製鉄所内にウクライナ兵士が何人いるのかは依然として不明だが、ロシア側はここ数週間、約2,000人の兵士がいるとみており、負傷者は500人と伝えられている。ウクライナ側は、数百人の民間人も残っていると述べている。

マリウポリのボイチェンコ市長は、ロシア軍は重砲、戦車、戦闘機、軍艦、そして「厚さ3~5メートルのコンクリートを貫通する重爆撃機」を使って、製鉄所を標的にしていると述べた。
「我が国の勇敢な兵士がこの要塞を守っているが、状況は困難を極めている」と、市長は語った。

ただし、市長の主張を独自に検証はできなかった。市長はアゾフスタリに残る兵士と連絡が取れなくなった、とも述べた。

「残念ながら、兵士が安全であるか否かに関係なく、製鉄所で何が起こっているのか知るための彼らとの連絡手段は、今は存在しません」と、ボイチェンコ市長は述べた。

マリウポリ、特に同製鉄所は、この戦争によって引き起こされた惨状を象徴する場所となっている。ロシア側がマリウポリの大半を破壊し尽くした2か月にわたる包囲戦で、民間人が食料や水、薬、暖房がほとんどまたはまったくない状態で、閉じ込められている。

マリウポリが陥落すると、ウクライナは重要な港を奪われることになる。そしてロシアは、2014年にウクライナから奪ったクリミア半島につながる陸上回廊を構築し、ドンバス地方の戦闘のために兵力を振り向けることが可能となる。

AP

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