• ウクライナ大使は、トルコはロシアが盗んだ穀物の輸出先の一つだと話している
• 輸送価格は5月に107.6％上昇、食品価格は91.6％上昇

アンカラ：トルコのインフレ率が1998年以来の高水準となり、5月には前年同月比で73.5%上昇した。3日、公式なデータで明らかになった。この問題は、来年選挙を控えているレジェプ・タイップ・エルドアン大統領を悩ませている。

批判する人々は、物価上昇に対抗するために利下げを推し進めるという、エルドアン大統領が取っている異例の経済政策が、この国を経済的苦境に追い込んでいると非難している。

トルコ中銀は先週再び主要金利の引き上げを拒否し、14％に据え置いた。
食品価格とエネルギー価格の高騰で、先月のインフレ率はさらに上昇した。

輸送価格は5月に107.6％上昇し、食品価格は91.6％上昇した。
ロシアによるウクライナ侵攻と新型コロナウイルスの感染拡大で、エネルギー価格の急騰と生産の障害は悪化している。

2023年6月に選挙を控えているため、トルコ統計局はインフレの規模を意図的に小さく見積もっていると、野党と多くのエコノミストは非難している。

トルコの独立系エコノミストで構成されるインフレ調査グループは3日、インフレの実態は160.8％と大きく進んでおり、公式数値の2倍以上だと発表した。

トルコ統計局は、同局の計算の基礎となる、製品ごとの詳細な価格リストを公表しなかった。この動きは公式数値の正確さに新たな疑念を抱かせた。

「私が観察したところ、今月、現実と測定値のギャップが広がっている。貧困化の隠蔽が目的だ」と、経済学者のムラト・クビレイ氏はツイッターに投稿した。

一方、トルコの通貨リラは、この1年で約48％価格を下げている。

リラの崩壊はエネルギー輸入コストを押し上げ、外国人投資家は現在、かつて有望な新興市場だったトルコから目を背けている。

シリア北部に軍事介入するといううわさは、トルコリラの価値にさらに打撃を与え、3日には1ドル＝16.49リラになった。リラはこの1年で約48％価格を下げている。

エルドアン政権は、リラの目減りを食い止めるために国営銀行を使ってリラを買い占めることで対応している。

トルコは一部の商品に対して減税を行い、影響を受けやすい家庭には電気料金への補助金を出しているが、それでもインフレを抑制できていない。

トルコ中銀がリラの下落を食い止めるためにドルを売っているという憶測も流れている。

「もし政策に変化が見られないなら、この国は全面的な経済危機に直面する」と、ブルーベイ･アセット･マネジメントの新興市場ストラテジスト、ティモシー・アッシュ氏はツイッターに投稿した。

一方、ウクライナの駐トルコ大使は「トルコのバイヤーは、ロシアがウクライナから盗んだ穀物を受け取っている者の一人だ」と述べ、積み荷の責任者を特定・逮捕するためにトルコの協力を求めたと付け加えた。

ロシアとウクライナは世界の小麦供給量の約3分の1を占めており、ロシアは肥料、ウクライナはトウモロコシやひまわり油の主要輸出国でもある。

しかし、ロシアが侵攻して以来、ウクライナによる黒海沿岸の港湾からの穀物輸出は停滞しており、約2000万トンの穀物が滞留している。

ワシル・ボドナル大使は「ロシアは盗んだ穀物を、2014年に併合したクリミアから輸出している」と述べ、ウクライナ政府はトルコやインターポールと協力して犯人を捜していると付け加えた。

「ロシアは臆面もなくウクライナの穀物を盗み、侵略したクリミアから輸出している。その穀物は、トルコなどの外国に輸出されている」と同氏はアンカラで記者団に語った。

「我々はトルコに協力を求めた。トルコ側の提案に基づき、穀物を盗んで売っている者に対して刑事裁判を起こしている」と同氏は述べた。

アンカラのウクライナ大使館はその後、盗まれた穀物の輸出に関与した船舶は、ナジェジダ、フィニキア、ソルミフスキー、ベラ、ミハイル・ネナシェフだと発表した。

ロイター通信は、ウクライナ大使館の主張を独自に確認することはできなかった。

ベイルートのウクライナ大使館は今週、ロシアが同盟国シリアに盗んだ小麦約10万トンを送ったと発表した。ウクライナ紛争が世界的な食糧危機に拍車を掛けているのを受けて国連は、オデッサなどのウクライナの港から出港する航路を再開する計画を推し進めている。

AFP/ロイター