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パレスチナ市民、2年ぶりにガザのビーチに押し寄せる

2022年6月10日、ガザ地区北部ベイト・ラヒアの、地中海に面するビーチ沖で泳ぐパレスチナ市民。(AFP)
2022年6月10日、ガザ地区北部ベイト・ラヒアの、地中海に面するビーチ沖で泳ぐパレスチナ市民。(AFP)
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12 Jun 2022 04:06:44 GMT9
12 Jun 2022 04:06:44 GMT9

ガザ地区:パレスチナでは児童・生徒が夏休みを迎え、土曜日には、市民がガザ地区北部のベイト・ラヒアのビーチに詰めかけた。

「海は、ここガザ地区の唯一の憩いの場です」と65歳のファリド・ナエームさんは言う。

「去年は、海に来るという選択肢はありませんでした。紛争の雰囲気が漂っていましたから」とガザ地区に住む若者、アーメド・アルアッタールさんは言う。

海水は、下水の影響もなく青く透き通っており、黄色い砂はきれいで、海風の匂いは塩気混じりで心地良い。ガザの海水浴客は、久々に清潔で安全なビーチを堪能している。

ガザ沖では何年も前から未処理の下水が直接流れ込んでおり、環境破壊を引き起こしてきた。そのせいで、狭い海岸線に閉じ込められた人々にとって数少ない、手頃な海水浴の場が台無しになっていた。

今シーズンはこれまでと異なる。環境省によると、国際的な資金援助を受け、沿岸部の下水処理施設が稼働率を上げたことで、汚染をここ数年で最低レベルに抑えられているのだという。

「以前は海が汚染されていたから来られなかったし、来たとしても、帰った後に子供たちがウイルスや皮膚病に感染していました」とサハル・アブ・バシールさん(52)は言う。

「今ではこの周辺もきれいになり、海もきれいになっています。まるで別の国にいるような気分です」と4児の母であるバシールさんはロイターに語った。

かつて何千万立方メートルもの未処理の下水が日々海に流れ込み、海水浴客に遊泳禁止を呼びかける赤旗が立っていたこの長い砂浜も、今週はほとんど旗が立っていないように見えた。

海水浴客は浜辺でプラスチックのテーブルを囲んで座り、子どもたちはゴム製の浮き輪で遊んでいた。一部の区域では、馬の飼い主が馬に海水浴をさせていた。

ハマスが運営する環境水質管理局によると、現在、海に排水される汚水の一部が処理されたことで、ビーチの65%が安全で清潔とのことだ。処理量をさらに拡大する計画もあるという。

環境資源局長のモハマド・メスレ氏は、「海水の質が明らかに改善されたため、ガザ地区の夏季シーズンは、例年に比べ比較的安全に過ごせるでしょう」と述べた。

ガザ地区の大きさは375平方キロメートル(145平方マイル)で、230万人のパレスチナ人が住んでいる。国内外の記録によると、貧困率と失業率が約50パーセントに達しており、住民のほとんどは旅行する余裕がない。

ガザ地区を支配するイスラム原理主義組織ハマスに対する安全保障上の問題を理由に、イスラエルとエジプトは、ガザ地区との国境に沿った規制を続けている。

ガザ地区南部のデイル・アル・バラハでは、ビーチを見下ろす丘の上に建てられた「オールド・ナイツ(The Old Nights)」という名の海辺のリゾートに人々が集まっていた。

どこかアジアの国の、自然色豊かな丘の頂上に似せて作られたカラフルな木造建築の中では、家族連れが食事をしていたと、オーナーのラミ・アルナオクさんは語ってくれた。

今シーズン、アルナオクさんの商売は好調だ。

「汚染されていなければ、多くのお客さんが来てくれます。おかげで、改装や新年を迎える準備のための費用を補うことができます」と彼は言う。

 (AFP・ロイター)

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