Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • 国連難民救済事業機関(UNRWA)は「早期警戒態勢」、宣誓会議で資金不足

国連難民救済事業機関(UNRWA)は「早期警戒態勢」、宣誓会議で資金不足

1億ドルの不足は、ほぼ10年以上にわたってUNRWAが毎年直面しているのと同じ水準だ。(ロイター/資料画像)
1億ドルの不足は、ほぼ10年以上にわたってUNRWAが毎年直面しているのと同じ水準だ。(ロイター/資料画像)
Short Url:
26 Jun 2022 04:06:54 GMT9
26 Jun 2022 04:06:54 GMT9
  • 事業機関は先駆的な成果を無視したとする組織的中傷にさらされていると、同機関代表がアラブニュースに語る
  • 国連難民救済事業機関は中東で数百万人のパレスチナ難民を支援する

エフレム・コサイフィ

国連:パレスチナ難民を支援するこの国連機関の慢性的な資金不足を解決する鍵は、その職務を後押しする宣言に一致した「政治的意思」にあると、国連難民救済事業機関の代表がアラブニュースに語った。

フィリップ・ラッザリーニ氏のコメントは、世界各国の支援者から1億6千万ドルを集めた宣誓会議の翌日、記者会見の席で出た。

この金額では、パレスチナで50万人以上の子供たちの教育を支援し、200万人以上の医療サービスを与え、再貧層に現金給付するのに必要な額には、まだ1億ドル足りない。

今回の1億ドルの不足は、ほぼ10年以上にわたってUNRWAが毎年直面しているのと同じ水準だ。

しかし今年は、ラッザリーニ氏によれば「サービスを低下させずにカットできるコストはほとんど残っていない」ので、コストの急上昇のためこの機関が資金不足を緊縮財政とコスト管理では吸収できなくなり、UNRWAはこの資金で9月までは何とか乗り切れるが、その後の見通しは立たないとラッザリーニ氏は付け加えた。

「我々は早期警戒態勢にあります。いま注目してほしいのは、我々が危険地帯に入りUNRWAが一線を踏み越えざるを得なくなる状況を避けなければならないということで、その理由は、もし我々が一線を越えれば、2万8千人の教師と、医療従事者、看護師、医師、技術者たちが給与を受け取れなくなるからです」とラッザリーニ氏は語った。

UNRWAは欧州で非常に強力な支援者をもち、昨年は米国のドナルド・トランプ元大統領の支援凍結をくつがえしてバイデン政権が出資を再開したことを、ラッザリーニ氏は付け加えた。

だがアラブ世界からの寄付の総額が機関の総収入に占める割合は3%未満まで低下したとラッザリーニ氏は語った。

「アラブ世界と湾岸諸国がパレスチナ難民に強力な連帯を常に示してきたことも事実で、学校や診療所の建設への出資に常に関与してきましたし、人道的危機が起きたときはいつも、人道支援に貢献してきました」とラッザリーニ氏は付け加えた。「これを維持することが非常に大切です。」

アラブ連盟はUNRWAへの寄付が同機関の主要予算の少なくとも7〜8%を占めるべきだということを2年にわたり議論してきたとラッザリーニ氏は語った。

「さらなる連帯の余地はあり、この地域への関与がパレスチナ人に持つ意味は大きい」とラッザリーニ氏は付け加えた。

新型コロナウイルスの流行とウクライナでの戦争は、支援者会議に影を落とし、財政的な困難と支援疲れを認める国もあった。

「同機関のサービスへの資金提供が現在危機にさらされている理由は、優先順位の見直しや、もしかすると無関心が増大しているため、あるいは国内政治のため」だとラッザリーニ氏は語った。「それがどれだけこの機関に打撃を与えるか、今年の終わりにはもっと良く見えてくるでしょう。」

UNRWAにとって「劇的な変化だが、従来のように年末までに満額補填することはないかもしれない」と警告を発した支援者もいることを、ラッザリーニ氏は付け加えた。

UNRWAはイスラエルが1948年に建国したとき母国を追われた75万のパレスチナ人に対し救援活動を実施する国連総会の決議を受け、1949年に設立された。

占領されたヨルダン川西岸、東エルサレム、ガザ地区と、ヨルダン、シリア、レバノンの難民キャンプで生活するパレスチナ難民は、現在およそ6百万人にのぼる。

「現在、教室の定員は最大50人にもなり二交代で教えています。医師は診察に3分以上かけることができません。予算をこれ以上削減したら、サービスの中止を強制することになります」とラッザリーニ氏は語った。

UNRWAの抱える問題は、「我々に期待されているのは、最も貧困に苛まれている地域社会に一国の政府のようなサービスを提供することなのに対し、我々の資金源はNGOのように自発的な寄付に完全に依存していることです」とラッザリーニ氏は付け加えた。

23日の支援者会議に先立ち、イスラエルのギラド・エルダン国際連合常駐代表は、テロとユダヤ人殺害を支援するとイスラエルが主張する教師をUNRWAが解雇するまで寄付を中止するよう各国に訴えていた。

UNRWAはイスラエルの国連使節団から24日に書簡を受け取り、ラッザリーニ氏はまだ読んでいないが、国連倫理違反や不正行為があればその主張は全て調査し、「我々は国連方針と軌を一にして対策を取ります」と語った。

UNRWAを中傷する人々は市民社会の組織であることが多く「たいていは議員を標的にし、UNESCO基準に合わせて教育の質を確保する当機関の並々ならぬ努力を無視し、学校で使われる(UNRWAの)教科書と教育方針のことを話題にして当機関を攻撃しようとします」とラッザリーニ氏は付け加えた。

「我々はジェンダー平等を達成した唯一の機関であり、この地域で適切な人権教育カリキュラムを持ち、第三者機関による評価を定期的に受けていることを、私は訴え続けます。」

「世界銀行から教育に関しては費用対効果が高いとの評価を受けました。この地域の公教育に比べると、子どもたちの学習は1年早く進んでいます。」

「我々の学校に通った子どもが国際水準で成功を収めたという、並外れた人生の成功物語があります。」

UNRWAの活動は最も徹底的に調査されているが、「それにもかかわらず、問題に対する組織的中傷があり、問題には対処しなければならないこともありますが、そのような中傷は当機関の努力を全く無視したものです」とラッザリーニ氏は語った。

topics
特に人気
オススメ

return to top