Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • 屈辱の渡河:パレスチナ人たちは旅の遅延と大混雑を嘆く

屈辱の渡河:パレスチナ人たちは旅の遅延と大混雑を嘆く

イスラエルの検問所を通ってヨルダンと西岸地区を移動するパレスチナ人たちは、長い待ち時間とひどい混雑に悩まされている。(提供)
イスラエルの検問所を通ってヨルダンと西岸地区を移動するパレスチナ人たちは、長い待ち時間とひどい混雑に悩まされている。(提供)
Short Url:
17 Jul 2022 08:07:53 GMT9
17 Jul 2022 08:07:53 GMT9
  • 年間350万人近いパレスチナ人が、ヨルダン川西岸地区からヨルダン経由で移動している
  • 国外に住む数千のパレスチナ人で、過去3年の間新型コロナウイルス感染症による制限のためにヨルダン川西岸地区の親類を訪れることができなかった人々は、今年の夏は渡航しようと考えているため、普段にも増して混雑している

モハメド・ナジブ

ラマッラー:イスラエルの検問所を通ってヨルダンと西岸地区を移動するパレスチナ人たちは、長い待ち時間とひどい混雑に悩まされている。

パレスチナの人々は空港を持たないため、ヨルダンのクイーンアリア国際空港を利用することを余儀なくされている。

年間350万人近いパレスチナ人が、ヨルダン川西岸地区からヨルダン経由で移動している。

パレスチナの情報筋によると、毎日約7千人の旅行者がヨルダンから西岸地区へ、あるいは西岸地区からヨルダンを通って移動する。この数は、祝日には1日最大で1万人に達する。

イスラエル当局が管理する検問所は、通常は1日13時間、金曜日と土曜日には5時間しか開かないため、混雑に拍車をかけている。

さらに、国外に住む数千のパレスチナ人で、過去3年の間新型コロナウイルス感染症による制限のためにヨルダン川西岸地区の親類を訪れることができなかった人々は、今年の夏は渡航しようと考えているため、普段にも増して混雑している。

アメリカとモロッコが仲介役となって、イスラエルに検問所を24時間開けるよう求めた。イスラエルはこれに同意したものの、9月末までに物流の調整を行う必要があるとしている。だが、パレスチナの情報筋がアラブニュースに語ったところでは、そのような可能性について、まだ何の知らせも受けていないという。

旅行者たちはSNS上で怒りをあらわにした。

アブ・アダム・アル・ハリリ氏は金曜日、キング・フセイン橋のFacebookページに、「この検問所の問題は、人々の移動状況を改善する気がないことだ。30年前から何も変わっていない」と書き込んでいる。

ビラル・アベド氏の投稿はこうだ。「今は午前3時で、西岸地区へ向かう橋の上は大変な渋滞だ。差し迫った必要のない人は、どうか明日か明後日まで、移動を延期してほしい」

ヨルダン側で順番待ちをしている一人はFacebookに、パレスチナの領土とヨルダンを結ぶこの橋は9月末から、24時間週7日受け付けを開始すると書き込んだ。だが、その少し後で、ハディジャ・アル・ゴラニ氏がこう返信した。「9月ではなく、すぐにでもそうするべきだ。最近の状況は息が詰まるほどひどい」

ウム・モアタズ・ムスタファという女性は、土曜日の朝にこう書いている。「ひどい混雑を解消するため、24時間検問所を開くよう要求します。公務員の方々、旅行者だって人間です。動物ではありません。少しは状況を改善してください。北極や南極へ行くほうが、この橋を渡るより楽でしょう。どうしてでしょうか、公務員の方々」

ヨルダン側では、ヨルダン川から2キロのところにある国境検問所のある橋をキング・フセイン橋と呼んでいる。

イスラエル側ではこのヨルダン川から西に500メートルの検問所を、アレンビー橋と呼んでいる。

しかし、パレスチナ人たちはこの両方を「尊厳の渡河地」と呼んでいる。これは、1968年に初めてイスラエルとパレスチナ人戦闘員、ヨルダン軍の間で起きた軍事衝突に由来する。その前年、イスラエルはヨルダン川西岸地区を占領した。

怒り心頭の旅行者たちはSNS上で、これでは尊厳ではなく、屈辱の渡河だと書いている。

キング・フセイン橋は海抜マイナス300メートルの、ヨルダン渓谷にある。

この地域の夏の気温は最高で摂氏45度に達し、日差しの照り付ける中で待つ子供や高齢者、病人にとっては非常に過酷である。

キング・フセイン橋でサービス・ドライバーをしているアフメド・アマー氏はアラブニュースに、検問所の門の前で、2千人以上の西岸地区へ向かう人が夜通し、始業の朝7時まで待っているのを見たと話す。

アマー氏によると、VIP用の検問所では一人につきプラス110から200ドルを払う必要があるが、そこも1600人以上の人でごった返していたという。

氏の推測では、一日に西岸地区へ向けて検問所を通る人の数は5千から7千ではないかという。

「何百もの旅行者が、西岸地区へ行くために、門の前で二晩も過ごします」とアマー氏はアラブニュースに話し、日中のその地域の気温は摂氏45度にもなると付け加えた。

氏によれば、朝の時間帯は何千もの人が西岸地区へ入ろうとするため、混雑を極めるという。

パレスチナ国境・渡航管理局のパレスチナ人当局者はアラブニュースに、パレスチナ人の越境は祝日や巡礼者の帰国、新型コロナによる3年の中断を経て市民が移動を再開していることなどが重なって、前例のないほどの混雑を見せていると語った。

この人物によると、パレスチナ側ではすべての関係者、つまりヨルダンとイスラエルとともに問題と危機的状況の緩和に努めてきた。

また、パレスチナ市民のヨルダンとの往来の円滑化に関しては、欧米諸国からの国際的な関心も高まっているとこの当局者は話した。

パレスチナ自治政府では、この越境に関する危機的状況は認識されており、彼らはこの問題をヨルダン当局とともに穏便に解決しようと努力し、ヨルダン側を刺激しないよう、メディアに声明を出すことは控えている。

パレスチナのある高官はアラブニュースに、パレスチナ自治政府のリヤード・マーリキー外務大臣に首相から、ヨルダン側に連絡して問題を解決するよう指示があったと語った。

特に人気
オススメ

return to top