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エルドアン氏、テヘランでの首脳会合でシリアのクルド人を攻撃する主張を押し通す ハメネイ氏は非難

2022年7月19日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、イランのイブラヒム・ライシ大統領、トルコのタイップ・エルドアン大統領がテヘランで会合している。(WANAの資料 ロイター経由)
2022年7月19日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、イランのイブラヒム・ライシ大統領、トルコのタイップ・エルドアン大統領がテヘランで会合している。(WANAの資料 ロイター経由)
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20 Jul 2022 12:07:18 GMT9
20 Jul 2022 12:07:18 GMT9
  • 今回の首脳会合の表向きの目的は、11年以上続くシリア内戦を終わらせることだった
  • トルコは、シリア北東部のクルド半自治政府にも強く反対している

テヘラン:トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は19日、テヘランで開かれた首脳会合で、シリアのクルド人に対する軍事攻撃を肯定する主張を押し通した。イランの最高指導者は、そうした措置を取らぬよう、くぎを刺した。

エルドアン氏はロシア、イランの首脳に、シリアにおけるトルコと「テロリスト」の戦いに全面的に協力することを期待していると述べた。

イランのイブラヒム・ライシ大統領が主催し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も出席した今回の首脳会合の表向きの目的は、11年以上続くシリア内戦を終わらせることだった。シリア内戦では、イランとロシアはシリア政府を支持し、トルコはアサド政権に反対する反体制派勢力を支持している。

しかしトルコは、石油資源の豊富なシリア北東部のクルド半自治政府にも強く反対している。エルドアン氏は最近、2019年の攻撃に引き続いて、クルド人武装勢力に攻撃を仕掛けると繰り返し宣言している。

ロシアとイランは、トルコの新たな攻撃の標的になる可能性があると言われた、シリアの一部地域に軍事拠点を置いている。

3首脳が出した声明は、「シリアに帰属すべき石油収入の不法な差し押さえや送金に反対することを表明した」。3首脳はまた、内戦で荒廃したシリアで、「違法な自治構想など、現地で新しい事実を生み出す全ての試みを拒絶した」

この3首脳の声明が出されたのは、エルドアン氏がロシアとイランに対し、シリアでのテロと戦う取り組みを支援するよう求めた直後だった。「我々の地域の未来に、分離主義のテロ組織が存在する余地はない。それが明確に理解されなければならない」とエルドアン氏は主張した。

「我々は今後、テロ組織との戦いを続けていく」と同氏は述べた。

トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領は、テヘランで開かれた首脳会合で自分の主張を押し通した。(WANAの資料 ロイター経由)

エルドアン氏は、非合法なクルド人武装勢力が国境地域を、数十年に及ぶ反政府暴動の中間準備地域として利用していると非難している。

「我々がロシアとイランに期待するのは、テロと戦うトルコを支援することだ」というエルドアン氏のコメントがテレビで放送された。

「トルコは2019年にロシア、米国と合意を結んだ。その合意に基づき、ロシアと米国は、非合法なクルド人武装勢力をシリアとトルコの国境から30キロ離れた所に追いやるのを支援することになっていた」とエルドアン氏は指摘した。

「それはまだ実行されていない」とエルドアン氏は述べた。「延び延びになっている」

米国とロシアもトルコに自制を促している。

エルドアン氏は19日、3首脳会合の前に行われた2国間会談で、シリアのクルド人への攻撃を推し進めることについて、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師から非難を浴びた。

ハメネイ師はエルドアン氏に「そのような攻撃は地域を『害する』だろう」と述べ、この問題は、トルコ・シリア・ロシア・イラン間の対話を通じて解決するよう求めた。

2022年7月19日、トルコに支援されている戦闘員が、シリアのジブリン地域にある軍事拠点から、クルド人が支配するタルリファット地域のほうを見ている。(バクル・アルカセム/AFP)

3首脳会合で出された声明が、実行をほのめかされたトルコの攻撃に関するイラン、ロシアの意見の変化を反映したかどうかは、すぐには明らかにならなかった。

ハメネイ師はまた、19日、プーチン氏との会談で、エネルギー分野でのロシアとの協力の強化を求めた。

2月にウクライナ侵攻を命じて以来、プーチン氏が外国を訪れるのは今回でまだ2度目だ。目的は、この会合に出席することだった。

今回の首脳会合の数日前、ジョー・バイデン米大統領が就任後初めて中東を訪問し、イランの地域の敵であるイスラエルや、石油資源の豊富なサウジアラビアに立ち寄った。米国はサウジアラビアに、ウクライナ戦争に関連した石油価格の急騰を緩和するため、石油の増産を求めた。

ハメネイ師は、ロシアとの「長期にわたる協力」の強化を求めた、とハメネイ師の公式サイトで発表された声明には書かれていた。その声明では、ロシアとイランが欧米諸国の制裁に苦しめられていることが指摘されていた。

このような関係は「両国にとって非常に有益」だと書かれており、ハメネイ師は炭化水素に関する2国間の契約と合意を「フォローアップし、完全に実行する」よう求めた。

イラン石油省の公式通信社によると、プーチン氏の到着に先立ち、イラン国営石油会社とロシアのガスプロムは「約400億ドル相当」の覚書に署名した。

ロシア政府によると、プーチン氏とエルドアン氏は2国間会談を行い、プーチン氏は、ウクライナ産穀物をめぐる協議が進展したことについてエルドアン氏に「感謝」したいと述べた。

ロシア・ウクライナ戦争によって、世界有数の穀物輸出国であるウクライナの輸出が大幅に妨げられ、世界的な食糧不足が懸念されている。

NATO加盟国であり、ロシア、ウクライナ両国と良好な関係にあるトルコは、穀物輸出を再開しようとする取り組みの先頭に立った。

世界的に緊張が高まる中、緊張を解消するため、エルドアン氏は数カ月前からプーチン氏と会談したいと申し出ていた。

ロシア政府が発表したコメントによると、プーチン氏は2国間会談でエルドアン氏に「あなたの調停努力に感謝したい」と述べた。

プーチン氏は「我々は前進した」と述べたが、「全ての問題がすでに解決したわけではない」とも述べた。
EUのジョセップ・ボレル外務・安全保障上級代表は18日、ロシアがウクライナの港を封鎖しているため、飢餓に陥りやすい数千とも数万とも知れない人々への供給が脅かされていると警告した。

17日、バイデン氏が中東歴訪を終えた翌日、イランは米国が中東の危機を引き起こしていると非難した。

バイデン氏は「(米国は)どの国であろうと、軍拡や侵略、脅迫によってこの地域の他国を支配しようとする試みを容認しない」と宣言していた。イランのことだ。

サウジアラビアで開かれ、湾岸アラブ諸国やエジプト、ヨルダン、イラクが参加した首脳会合で行った演説で、バイデン氏は集まった人たちに、米国は中東への積極的な関与を続けると強調した。

「中国やロシア、イランが埋めるような力の空白状態を残して米国が地域を立ち去ることはない」と同氏は述べた。

首脳会合後に出された共同声明で、首脳らは「地域の安全と安定を維持する」ことを約束した。

また、イランが核兵器を開発するのを阻止するための外交努力も強調された。それを目標としていることを、イランは常に否定している。

イランは17日、「(米国が)またしても失敗したイラン恐怖症の政策に頼り、地域に緊張と危機を作り出そうとしている」と非難した。

米国は先週、イランが、ロシア・ウクライナ戦争を支援するため、「数百機のドローン」をロシアに輸送する計画を立てていると主張した。この非難を、イランは「根拠がない」とはねつけた。

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