エファレム・コッセイフィ
ニューヨーク:シリア政権は、備蓄化学兵器の破棄を命じた安保理決議に依然として従っていない。国連が水曜日に発表した。
シリア政権は自国民に対する化学兵器使用の疑惑に関する情報の提供を引き続き保留し、いくつかの攻撃現場において化学兵器による神経ガスの痕跡があったことについて一貫した説明をせず、国連評価チームの主要メンバーの入国ビザ発行を拒否しているという。中満泉(なかみつ いずみ)国連事務次長・軍縮担当上級代表が語った。
彼女は、決議2118の実施について、安保理において105回目のブリーフィングを行っていた。同決議は、前月にダマスカス郊外で民間人に対する化学兵器の使用が確認された国連の調査を受け、2013年9月に全会一致で採択されたものである。神経ガスを吸って窒息死した、子どもを含む人々の映像は、世界中の怒りを買った。
この決議は、シリア政権に対し、2014年半ばまでに化学兵器の備蓄を廃棄するよう求め、不履行の場合の懲罰的措置を定めたものである。また、シリアが化学兵器を使用、開発、生産、取得、備蓄、保持すること、他の国家や非国家主体に移転することを禁止した。
2013年10月、シリアは化学兵器禁止機関(OPCW)に、備蓄されている化学兵器の破壊計画を含む、化学兵器プログラムに関する正式な初期宣言を提出した。
それから9年経った今でも、この宣言および20の未解決問題に対する同国の対応にはギャップや矛盾が多く、正確とは言い難いと中満氏は指摘する。
そのうちの1つは、シリア当局が「化学兵器の製造に使われたことはない」とした施設に関するものだ。しかし、2014年以降にOPCWが収集した情報と証拠は、そこで化学兵器神経剤の生産または兵器化が実際に行われたことを示している。
中満氏は改めてシリア政府に対し、同地で生産または兵器化された化学兵器の種類と数量を開示するよう要求した。シリア政府は、この情報の再三の要求に応えていない。
もう1つの問題は、2018年4月にドゥーマー市で起きた化学兵器攻撃の現場で見つかった塩素ボンベ2本を、シリア政府が「無許可で移動させた」ことだと中満氏は指摘する。政権側は、攻撃を受けた結果、ボンベは破壊されたとしているが、中満氏は改めて同政権に対し、ボンベの所在を「必要な緊急性をもって」開示するよう求めた。
さらに彼女は、未解決の問題を解決するためにはOPCWとの全面的な協力が必要だとした。そして、宣言評価チーム(DAT)の有力メンバーの入国ビザ発行が拒否されているため、同チームとシリア政府によるダマスカスでの第25回協議が滞っていることを嘆いた。
「シリア・アラブ共和国政府に対し、OPCW事務局が指定した全職員に対し、即時かつ自由なアクセスを可能な限り早く許可することで、DATの展開に向けた手配を促進するよう求める」と彼女は述べた。
ロシアのドミトリー・ポリャンスキー国連常駐副代表は中満氏の発言について、シリア当局が協力的でないという印象を与えるための「パターン」の一部であると説明した。
同代表は、シリア政権はOPCWに対する義務を完全に遵守していると述べた。彼は、OPCWが「シリア政府に対する長年の偏見」を持ち、その事実調査団が誤った情報を広め、「シリア政府が罪を犯したという物語に合うように」報告書を形成していると非難した。また、同団体が作成する「いかなる報告書」も、「非合法な団体による、非合法な産物」として拒否した。
ポリャンスキー氏は、西側諸国がOPCWを政治的に利用し、「中東のテロ集団が化学兵器にアクセスできるという証拠」を含む「真の脅威に立ち向かう」能力を弱めていると非難し、次のように述べた。「(ダーイシュは)本格的な化学兵器プログラムを持っているが、それに対抗する措置は聞いたことがない」
UAEのシャハド・マタール氏は、自国は「化学兵器の使用が、化学兵器禁止条約の規定と関連する法律に対する明白な違反となる場合、いかなる状況下、使用者、場所においても、その使用を明確に拒否し、非難する」ことを改めて強調した。
彼女は安保理メンバーに対し、「未解決の問題の状況を評価し、関係当局が合意による解決策を見出すことが必要なこの協議を進展させるためには、建設的な対話に関与することが不可欠である」と述べた。
マタール氏は、化学兵器を完全に根絶し、「シリア国内外を問わず」いかなる当事者も入手・使用できないようにする必要性を強調した。そして、そうした兵器が「危険な目的」のために入手しようとするテロリスト集団の手に渡る危険性に警告を発した。
また彼女は、ダーイシュが戦闘能力を高めようとしている状況に触れ、理事会に対し、ダーイシュと戦う努力を強化し、「このテロ集団が再編成して化学兵器を入手するのを阻止する」よう呼びかけた。