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レバノンの食糧危機が深刻化、抗議する人々がパン屋や菓子店に押し寄せる

食糧危機が深刻化するレバノンで27日、怒った市民がパン屋や菓子店を襲撃する事態が発生した。 (ファイル写真:ロイター)
食糧危機が深刻化するレバノンで27日、怒った市民がパン屋や菓子店を襲撃する事態が発生した。 (ファイル写真:ロイター)
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29 Jul 2022 01:07:03 GMT9
29 Jul 2022 01:07:03 GMT9
  • 多くの店の前には長い行列ができ、住民は灼熱の中、補助金で購入できるパンを手に入れようと苛立ちながら待っていた
  • ソーシャルメディアでも不満が高まっており、補助金付きの小麦粉を闇市場で売り、シリアに密輸しているとしてマフィア組織が非難されている

ナジャ・フーサリ

ベイルート:食糧危機が深刻化するレバノンで27日、怒った市民がパン屋や菓子屋を襲撃する事態が発生した。

多くの店の前には長い行列ができ、住民は灼熱の中、補助金で購入できるパンを手に入れようと苛立ちながら待っていた。パンが残り少なくなり、苛立ちが高まってくると、他のベーカリー製品を買い求める人が増えていき、バケットタイプのパン10個が売られるケースも見られるほどの状況となった。

ソーシャルメディアでも不満が高まっており、パンの供給不足について政治家やパン業者を糾弾する声が上がるとともに、補助金付きの小麦粉を闇市場で売り、シリアに密輸しているとしてマフィア組織も非難されている。

デモ参加者を店から追い払い、列に並んだ客同士の激しい口論を鎮めるため兵士が介入せざるを得なくなった地区も複数あった。

レバノンのアミン・サラーム経済相は次のように弁明した。「今週末までに約49,000トンの小麦がレバノンに到着する予定です。船の到着が早まることを願っています。現在の危機は、小麦粉が我が国から盗まれたために起きたものです」

「経済省のもとに危機管理室が設置され、小麦や小麦粉を公平に分配し、危機を引き起こす者たちを告発するための新たなメカニズムを構築していくことになります」

レバノンは、医薬品、小麦、燃料への補助金を継続するための米ドルを確保できず、27日にはガソリン価格が14,000レバノンポンド(約1,300円)上昇し、20リットル当たり617,000ポンド(約55,500円)となった。

ガソリンスタンドのオーナー団体のメンバーであるジョルジュ・ブラックス氏は、次のように述べた。「中央銀行は、かつては自身のSayrafaプラットフォームのレートに従って、燃料の輸入に必要な米ドルの全額を確保していました。しかし今は85%しか確保できていません。残りの15%は闇市場のレートで確保しなければならないのです」

レバノンの燃料販売業者とガソリンスタンドの組合の代表であるファディ・アブ・シャクラ氏は、「私たちは後退を続けています。もしこの問題が解決されなければ、どこに向かっていけるのかさえ、私には分かりません」と話している。

財政危機が公共施設に及ぼす影響に対処するために設置された、ナジーブ・ミカティ暫定首相が率いる閣僚委員会は、27日の会合で、1カ月以上ストライキを続けている公共部門職員の要求に、2022年度予算の承認を待ちつつ、国庫への負担を避けながら応じていくべきだという、前回の勧告を繰り返した。

同委員会は、公共部門職員が週に最低限の日数出勤することを条件に、給与全額と1日9万5000ポンド(約8,600円)の交通手当に相当する追加の財政支援を与えることを承認した。

閣僚委員会はまた、軍隊、保健省職員、公務員協同組合の入院費および医療費に充てる4兆ポンド(約3,600億円)、国家社会保障基金に充てる2千億ポンド(約180億円)、レバノン大学への500億ポンド(約45億円)の補助金拠出にも同意した。

正当な理由なく15日間出勤しない職員は、「辞職とみなす」と警告されている。

ユセフ・ハリル暫定財務相は次のように説明している。「この提案は、受給者が毎週少なくとも3日間、公式の勤務時間内に出勤することを条件に、公共機関の職員および被雇用者に1日あたり15万レバノン・ポンド(約13,500円)から35万ポンド(約31,500円)の範囲で生産性一時金を支給するものです」

「財務省はこの件に関する政令を作成し、署名の上、発効のため既に首相に提出しています」と同相は付け加えた。

一方、ドロシー・シア駐レバノン米国大使は、レバノンの指導部に対し、大統領選挙を予定に沿って実施し、世界銀行を満足させ、国際通貨基金(IMF)が求める条件を満たすような改革を推進するよう促した。

シア大使はまた、より安価でクリーンなエネルギーと電力を学校、病院、工場のために確保することの重要性を強調した。

 

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