• レバノンでは350人の判事が給与額をめぐってストライキ中である

ナジャ・フーサリ

ベイルート：レバノンの首相に指名されているナジーブ・ミカティ氏はここ数か月間の政治的膠着状態を打開するべく、新たに組閣に向けて動き始めた。

水曜日にミシェル・アウン大統領と会談した後、ミカティ氏は次のように語った。「私は6月29日に、アウン氏に組閣案を提示しました。今日、再度この件で話し合い、合意に達しつつあると申し上げてよいでしょう」

この会談で、アウン氏がミカティ氏の組閣案は自分の派閥から大臣のポストを取り上げるものだと主張したことで悪化していた両者の関係は改善したと見られている。

ミカティ氏はアウン大統領に、火曜日に召集して、自邸で行った閣僚会議について報告した。会議が公的な場所で行われなかったのは、5月の議会選挙以来、政権は暫定のものとなっているためである。

閣僚会議の焦点となったのは対ドル為替レートと、急を要する金融・経済上の問題であった。

首相官邸の情報筋はアラブニュースに次のように話した。「ミカティ氏はアウン大統領との会合の後、安堵した様子でした。彼は議論の詳細は明かそうとしませんでしたが、早期に組閣ができるという見通しがあるようです」

この情報筋によると、閣僚会議ではミカティ氏は対ドル為替に関して、1ドル1万2千レバノンポンドを主張する意見と、レバノン中央銀行のサイラファレートに基づいて1ドル2万6千レバノンポンドを主張する意見の間の対立を調停することに腐心した。

税関レートは依然として、経済破綻が続く3年の間公式のものとして採用されていた1ドル1,507レバノンポンドのままである。

情報筋はまた、「おそらくは、間を取って1ドル2万レバノンポンドで決着するでしょう。どのように決まるにせよ、これには政府の承認が必要であり、そのためには新内閣が成立して議会の信任を得なければなりませんが、9月になる前にそうする必要があります。9月1日には、議会は大統領選挙の母体となるからです」と説明した。

ある政治評論家は、「対ドル為替の問題は、国家財務を維持し、破綻を食い止めるために解決・承認されなければなりません」と述べた。

為替レートの統一は、資本規制法の整備と銀行の再建、2022年度予算の承認と並んで、レバノンがIMFとの合意を遵守するために満たさなければならない条件の一つである。

政治評論家たちが危惧するのは、暫定政権が大統領選を管理することが憲法上の危機だと見なされ、その結果この政権は大統領が不在の場合に権力を持つ資格がないという理屈で現大統領が任期終了後も職にとどまるのではないかということである。

アウン大統領の派閥である強いレバノンブロックは、火曜日に出した声明で、様々な口実の下に組閣を避けることで、憲法で定められた期限までに新大統領が選出されない場合、すでに辞職した内閣が大統領に取って代わろうとする危険があると警告した。

「このような方向へのあらゆる試みは挫折するにせよ、憲政上の大混乱をもたらし、慣習となってさらなる混乱を生む可能性がある」と強いレバノンブロックは表明している。

ブロックはミカティ氏に、組閣にあたっては大統領の憲法上の地位を考慮に入れることを要求した。

さらに、強いレバノンブロックは、大統領候補者は偏りのないブロック出身であるか、または複数のブロックの支持を得ているべきだとして、代議権を持たない候補者は認めないと主張した。

その間、560人いる判事のうち、350人が判事の給与を1ドル=8千レバノンポンドのレートに基づいて支払うという決定が取り下げられたことに抗議して職務放棄することを決めた。

レバノン中央銀行は、判事の給与の価値を上げるためこの措置を取ったが、自分たちの昇給が実現するまでストライキを続けると主張する公共セクターの従業員たちの反対にあっていた。

ストライキの参加者には最高司法評議会、諮問理事会、会計監査院のメンバーだけでなく、捜査に関わる者や、検事局に所属している判事も含まれており、このストは深刻な影響をもたらす可能性がある。

アウン大統領は火曜日、判事たちに「自分たちの尊厳と権威のために闘い、権力者の抑圧を恐れない」よう呼びかけた。

アウン氏は司法関係者に、「リアド・サラメ中央銀行総裁に対する訴訟や、ベイルート港爆発に関する捜査での判決を制限しようとする勢力に立ち向かう」よう求めた。