• 差別に関して非難を受けた15店舗のうち11店舗が、ヒジャブを着用した女性の入店を許可していなかったとBBCに語った。

ロンドン：エジプトの企業はヒジャブを着用する女性に対して差別的であることが、BBCアラビア語の調査で分かった。

BBCアラビア語によると、数人のエジプト人女性が、伝統的なヘッドスカーフであるヒジャブを被っていることを理由に入店を拒否されたと主張しているという。

BBCアラビア語は、差別を行っているとの非難を受けている、カイロにある高級店舗15軒の予約を試みた。

ほとんどの店舗がゲスト全員のソーシャルメディアアカウントを尋ね、うち11の店舗では、ヒジャブ着用女性の入店は許可できないとのことだった。

その後潜入捜査として、あるカップル（女性はヒジャブ着用）が、頭部を覆うものは禁止とするいくつかの店舗に派遣された。

L’Aubergineという店に到着したカップルは、ドアマンから 「中にバーがあり、ヒジャブをかぶっている女性は気分を害するかもしれない」という理由で、ヘッドスカーフの着用は禁止されていると告げられた。

「ヘッドスカーフは禁止です」と支配人も念押しした。

録音した証拠を提示すると、L’Aubergine側は「ヒジャブ着用女性の入店を拒否する方針はない」と否定した。さらに「今後混乱を避けるため、スタッフには店のルールを改めて周知しました」と述べた。

高級レストランKazanのドアマンは、潜入したカップルにこう告げた。「問題はヘッドスカーフです」

「店のルールです」

エジプトの憲法は、宗教、性別、人種、社会階級に基づく差別を禁じている。

BBCアラビア語が集めた証拠は、観光施設・レストラン会議所のアデル・エルマスリー会長に提出した。

「観光省ができてから今まで、ヘッドスカーフを被った女性を（レジャー施設から）締め出する決定が出されたことはありません」とエルマスリー氏は言う。

さらに「これは許されないことです。差別は許されない、これらは公共の場なのですから」と続けた。

BBCアラビア語の調査では、カイロや沿岸部の高級住宅地開発を手掛けるLa Vista社が、ヒジャブを着用した女性が別荘としてアパートを購入することを拒んでいることもわかった。

BBCアラビア語は、妻がヒジャブを着用しているバイヤーを装い、La Vista社が手掛ける沿岸の物件の一室について、6つの不動産仲介業者に問い合わせた。すると、購入は不可能であるとのことだった。

「率直に申し上げますが、別の物件を探してください」と、ある仲介業者は覆面記者に言った。

「正直に言うと、ノースコーストとソクナの物件に関しては、La Vista社は差別的な扱いをしているのです」と別の仲介業者は言う。

3番目の仲介業者は以下の様に説明した。「La Vista社は部屋を売らないとは言いませんが、『お選びになった物件は現在クローズ中で、空きが出たら電話しますよ』と言うでしょう」

La Vista社に電話して妻がヒジャブを着ていると伝えた覆面記者は、空き物件がないのでウェイティングリストに載せると言われた。

しかし数週間後、妻のことを伏せてLa Vista社の事務所を訪ねると、すぐに購入可能な空室があると言われた。

どんな人たちが住んでいるのかをと聞くと、担当者は「入居者の皆さんは容姿がみんな似ています」と答えた。

さらにLa Vista社が手掛けたある物件には、「ヒジャブをかぶった女性は全くいない 」と続けた。

BBCアラビア語はコメントを求めたが、依然としてLa Vista社からの返答はない。

女性の権利を主張するエジプト人議員アミラ・サバー氏は、「このような差別が禁止されていることはエジプト憲法で明らかだ」と述べた。

「このようなことが二度と起こらないようにするにはどうしたらよいか、また、起こった場合には加害者は罰せられなければならないということを、私は議員としての手段を使い、必ず政府の役人に問うつもりです」とサバー氏は述べた。