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敵味方にかかわらずカブース氏の死を悼む人々がオマーンに集結

オマーンのハイテム・ビン・ターリク国王。(AFP)
オマーンのハイテム・ビン・ターリク国王。(AFP)
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13 Jan 2020 07:01:47 GMT9
13 Jan 2020 07:01:47 GMT9

ドバイ:世界各国・各地域の指導者らが日曜日、オマーンの新国王と対面し、カブース国王の死に対して哀悼の意を表した。半世紀にわたり政権の座に就いていたカブース国王は、その静かな外交で地域紛争の鎮静化をもたらした。

アラブ首長国連邦やカタールの統治者の他、イランの外務大臣もオマーンの首都マスカットにある王宮を訪れた。

土曜日にオマーンの新しい国王に就任したハイテム・ビン・ターリク・アル・セッド氏は、西欧諸国の支援を受けていた前国王の外交政策を支持すると約束した。オマーン政府はこの外交政策のもと、サウジアラビアやイランといったより大きな周辺国や米国との関係の調和を保ってきた。

「新国王の今後の課題は、迅速に国外パートナーと人的関係を築き、オマーンの外交政策を堅持するであろう自身の立場をはっきりさせることです」と、シンクタンクのワシントン近東政策研究所(Washington Institute for Near East Policy)の研究員、エラナ・デロジャー(Elana DeLozier)氏は言う。

金曜日に79歳で死去したカブース氏は、地域紛争の際にはどちらの側にもつかず、オマーンの中立性を維持してきた。

『米国の真のパートナー』

ドナルド・トランプ大統領は、9人の米国大統領と関わったカブース氏を米国の真のパートナーとした。

トランプ氏は声明で、「対話を通して同地域の平和を実現しようという彼の先例のない努力は、あらゆる視点からの意見に耳をかたむけることの重要性を教えてくれました」と語った。

英国政府によると、1970年に政権の座に就き最も長く在位したアラブの統治者であるカブース氏の追悼式に参加するため、ボリス・ジョンソン首相とチャールズ皇太子がマスカットに到着したという。欧米各国の高官が集う中、元フランス大統領のニコラ・サルコジ氏も姿を見せた。

マスカットのアラム宮殿で行われた追悼式には、アブダビの皇太子シェイク・ムハンマド・ビン・ザーイドやカタール国首長シェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニなど、中東地域で対立する様々な政治的立場の人間が参列した。

ハイテム氏は、イランと米国の間の緊張が高まり、世界的な石油供給に不可欠な同地域が安定性を損ないかねない中、国王に就任することになる。カブース氏の死により、同様に日曜日にマスカットを訪れた90歳のクウェート国首長シェイク・サバーハ・アル・アハマド・アル・サバーハが、かつて湾岸地域を守った指導者の最後の1人となった。 

同地域では、リヤドやアブダビで若い指導者が出現しイランの影響を抑制しようと躍起になっている。

新国王とは、イランの外務大臣モハンマド・ジャヴァード・ザリーフ氏、チュニジアのカイス・サイード大統領、クウェート国首長シェイク・サバーハ・アル・アハマド・アル・サバーハ、イエメンのアブド・ラッボ・マンスール・ハーディー大統領などが対面している。

新たな国王としてハイテム・ビン・ターリク氏が選任され就任した翌日に開催された追悼式には、元フランス大統領のニコラ・サルコジ氏も参加している。

ハイテム氏は、一度も結婚したことがなく法定推定相続人がいないまま死去したカブース氏のいとこにあたる。

カブース国王のとった中立性と不干渉の政策は、「中東のスイス」としてのオマーンの立場を高め、同地域や世界の敬意を勝ち取った。66歳のハイテム国王は、中東において平和と対話を推進するというカブース国王の先例にならうことを誓った。

オマーンは米国および同地域の大国であるサウジアラビアやイランと健全な関係を保っており、外交評論家の多くは調和の模範としている。カブース氏は若い頃、イギリスのエリート校サンドハースト王立陸軍士官学校に通い、その後ドイツで英国歩兵大隊に入隊している。

イギリス政府の声明によると、ジョンソン英首相は訪問中に新国王やオマーン高官と会う予定だという。

同声明は「イギリスとオマーンは、広範にわたる長期的な二国間関係を200年以上続けてきた」とし、「両国間には深い経済的な結びつきがあり、また防衛上および安全保障上の利益を共有する」としている。

国王の死は、米国がイランの最高司令官をイラクで殺害したことで同地域が戦争状態に陥る恐れが高まり、イラン政府と米国政府の間の緊張が増す中でのできごとだった。亡くなった国王の名声を称え、世界中から熱心な賛辞が寄せられた。

オマーンはアラビア半島の東端に位置する。

ロイター/AFP/AP

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