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イスラエルがレバノンの修正案を拒否、海上国境画定の合意は暗礁に

イスラエル北部、レバノンとの国境に近いロシュ・ハニクラ沖に展開するイスラエル海軍艦隊。2021年5月4日(ロイター)
イスラエル北部、レバノンとの国境に近いロシュ・ハニクラ沖に展開するイスラエル海軍艦隊。2021年5月4日(ロイター)
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07 Oct 2022 03:10:23 GMT9
07 Oct 2022 03:10:23 GMT9
  • ミシェル・アウン大統領は、草案にレバノンが加えた修正は、排他的経済水域内の指定された場所で石油と天然ガスの探査を行う同国の権利を保証するためのものだと述べた
  • イスラエルは木曜日、アメリカの提案に対してレバノンが要求した修正を拒否すると発表した

ナジャ・フーサリ

ベイルート:イスラエルは木曜日、アメリカが仲介した国境画定案に対して、レバノンが要求した修正を拒否した。イスラエルとレバノンが地中海の係争海域で天然ガスの採掘を行うために、多年にわたり続けられた外交努力の先行きは不透明なものとなった。

レバノンのミシェル・アウン大統領は、イスラエルとの国境に関する草案にレバノンが加えた修正は、排他的経済水域内の指定された場所で石油と天然ガスの探査を行う同国の権利を保証するためのものだと述べた。

アウン氏はまた、レバノンの求める修正には、アメリカの調停担当、アモス・ホッホステイン氏が仲介した数か月間の間接的協議の間に、レバノンが国境画定に関して明確に主張してきた枠組みから逸脱するようないかなる解釈も阻止する狙いがあるとも語った。

イスラエルは木曜日、アメリカの提案に対してレバノンが要求した修正を拒否すると発表した。

あるレバノン当局者はこう語る。「イスラエルの拒絶が修正案全体に対してなのか、その一部に対するものか、あるいはイスラエル側も草案に対し独自の意見を持っているのかをホッホステイン氏に問い合わせる予定です」

ホッホステイン氏とともに交渉に関わる議会の副議長、エリアス・ブー・サアブ氏は、懸案事項の解決のため毎時間同氏と連絡を取っていると明かした。

ロイター通信はイスラエル当局者の話として、ヤイール・ラピード首相が「国境合意案にレバノンが加えようとしている修正の詳細を聞き、交渉チームにこれを拒否するよう指示した」と伝えた。

イスラエルメディアによると、イスラエル政府はたとえ早期の合意が得られなくとも、自国の安全保障および経済的な権益を放棄する意図はない。

「可能になり次第、イスラエルはカリシュ海底ガス田から天然ガス採掘を行う。ヒズボラであれ他の誰であれ、ガス田に損害を与えたり、我々を脅したりするようなことがあれば、海上国境に関する交渉は即座に打ち切られるだろう」と上記のイスラエル政府関係者は語り、以下のように付け加えた。「ヒズボラのハッサン・ナスラッラー書記長はレバノン国民に対し、なぜレバノンにはガス田も経済的未来もないのか、説明せざるを得なくなるだろう」

イスラエルのベニー・ガンツ防衛大臣は次のように警告した。「もしヒズボラが攻撃を行えば、レバノンは高い軍事的代償を支払うことになり、海上国境画定の合意はイランの国益を損なうだろう」

ラピード首相とベンヤミン・ネタニヤフ元首相は目下、11月初頭に予定されているイスラエル議会選挙を前に、激しい政治的闘争の只中にある。

「私と私の友人たちの強い圧力を受けて、ラピード首相はレバノンにイスラエルの権益を引き渡すような合意から手を引かざるを得なくなった」とネタニヤフ氏は述べた。

イスラエルメディアはネタニヤフ氏の発言として、「イスラエルは別の指導者、圧力に抵抗できる経験豊富で強力な首相を必要としている」「我々はナスラッラー氏への降伏を許さない」と伝えた。

アメリカの提案は当初、イスラエルとレバノン双方から歓迎された。しかし、月曜日にレバノンのアウン大統領と議会議長ナビーフ・ベリ氏、ナジーブ・ミカティ暫定首相の間で行われた会談で、いくつかの修正が提案され、アメリカのドロシー・シア駐レバノン大使に手渡された。

イスラエルメディアによると、主な障害はイスラエルが沿岸部から海へと引いている、浮標による国境線の扱いをめぐるものである。

レバノンは、いわゆる浮標による境界は無意味で、存在しないも同じだと繰り返している。

レバノンメディアの報道によると、レバノン側は「国境に関して、ブルーラインの文言を削除し、レバノンは国際的な境界線を支持すると強調」するよう要求している。

さらにレバノンは、「南部シドンに推定される石油埋蔵」を「シドン・カナ油田」と改称し、この油田が「レバノンのために、レバノンによって」開発されると明記するよう提案した。

油田で操業する企業について、アメリカの草案は「アメリカによる制裁の対象とならない」と定めているが、レバノンはこれを「国際的制裁の対象となる」と変更するよう求めている。

また、アメリカの提案では「イスラエルはカナ油田で23度線の向こう側から取られるいかなる方策についても反対しない」と定めているが、レバノンはこの箇所を将来的な保証として「イスラエルは現在も今後も(中略)反対しない」と変更するよう求めた。

レバノンは「金銭的補償」という表現にも異議を唱え、「操業企業とイスラエルの間で金銭的解決が行われたとして、レバノンはこれに関知しない」と主張した。

その他のレバノン側の要求としては、「アメリカは合意成立後、ガス採掘に携わる企業の活動の円滑化に寄与する」という箇所に「直接的に、速やかに」という表現を付加することなどがある。

イスラエルが新たに表明した態度に対する、ヒズボラからの反応はまだ出ていない。ナスラッラー書記長は週末に、ヒズボラは海上国境および石油・天然ガス採掘権に関して、レバノンの公式な立場を支持すると発言していた。

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