Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • 「イスラエルとレバノンの合意はヒズボラとの戦争の機会減らす」―ラピード氏

「イスラエルとレバノンの合意はヒズボラとの戦争の機会減らす」―ラピード氏

レバノンとの間で合意した海上国境協定の締結を受けて12日、エルサレムで記者会見するイスラエルのヤイール・ラピード首相。(AFP)
レバノンとの間で合意した海上国境協定の締結を受けて12日、エルサレムで記者会見するイスラエルのヤイール・ラピード首相。(AFP)
Short Url:
13 Oct 2022 08:10:34 GMT9
13 Oct 2022 08:10:34 GMT9
  • ラピード氏は報道陣に対し、「この合意は、ヒズボラとの軍事衝突の可能性を排除するものだ」と述べた。
  • イスラエルの安全保障専門家によると、ヒズボラは、イスラエルの人口密集地を攻撃できるミサイルを数千発保有しているという。

エルサレム:イスラエルのヤイール・ラピード首相は12日、イスラエルが敵対するレバノンと海上国境線の画定について合意したことで、イランの支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラとの紛争の可能性が低くなったと表明した。同首相率いる内閣が合意への支持を表明した後に述べたもの。

ラピード首相は11日、イスラエルとレバノンが米国の仲介で「歴史的」合意に達したと発表した。この合意により、東地中海沿いに位置する隣国同士である両国は、重要視されている沖合での天然ガス生産を加速させる可能性がある。

1948年のイスラエル建国以来、厳密には戦争状態にある両国による今回の協定は、ジョー・バイデン米大統領を含む世界の指導者たちから高く評価された。

しかし、イスラエル国内では、11月1日に行われる選挙を前に、ラピード氏が政敵からの攻撃にさらされている。

野党指導者で元首相のベンジャミン・ネタニヤフをはじめとするライバルたちは、中道派の暫定的な首相が、レバノンで大きな影響力を持つヒズボラに新たなエネルギー収入をもたらす可能性のある取引に合意したとして非難している。

ラピード氏はこうした非難を一蹴し、報道陣に「この合意は、ヒズボラとの軍事衝突の可能性を排除するものだ」と語った。

「戦場に出れば、我々は相手に大打撃を与えるだろう。とはいえ、戦争を防ぐことができるのであれば、そうするのが責任ある政府の仕事である」とも付け加えた。

イスラエルの安全保障専門家によると、ヒズボラはイスラエルの人口密集地を攻撃できるミサイルを数千発保有しているという。

ベニー・ガンツ国防相はラピード氏の傍らで説明し、この合意は「レバノンに対するイランの影響力を低下させる可能性を秘めている」と述べた。

ガンツ氏は、この協定は「海に関する新しい『安全保障の方程式』を確立するものだ」とし、「レバノン市民にとってもプラスになる」と表現した。

両国の海上国境交渉を貫く摩擦点の一つは、豊富な天然ガスを産出する可能性のあるカナ天然ガス田の支配権だった。

ラピード氏は、合意した条件の下で、イスラエルは「レバノンのガス田であるカナ・シドン天然ガス田を採掘する場合には、その収益の約17%を受け取ることになる」と述べた。

同ガス田の鉱区の探鉱については、フランスのエネルギー大手であるトタル社がライセンスを取得している。

ラピード氏は、イスラエルは「このガス田からの収益がヒズボラに入らないように、米国と共にこの協定を構築した」と語ったが、協定がどのようにしてそうした保証を与えるのかは明らかにしなかった。

もう一つの大きな問題は、カリシュ・ガス田だ。イスラエルは、このガス田は完全に自国の領海内にあり、交渉の対象にはならないと主張していた。

レバノンはこのガス田の鉱区の一部を領有していると主張しており、ヒズボラは、イスラエルがこの鉱区で生産を開始した場合には攻撃すると威嚇していると伝えられている。

ラピード氏は12日、「あらゆる段階において、我々はレバノン人に対し、合意の有無にかかわらず、イスラエルはカリシュのプラットフォームからの(ガスの)生産を一日たりとも遅らせることはなく、いかなる脅威にも屈しないことを明確にしてきた」と述べた。

ヒズボラはその前日、レバノン政府が公式に承認するのであれば、その合意を支持すると述べた。

12日にはラピード内閣も、米国の特使アモス・ホッホスタイン氏の仲介による今回の合意について、「圧倒的多数で」原則的に支持すると表明した、とラピード氏の事務所は述べた。

レバノン大統領府は11日、ホッホスタイン氏が提出した最終文書案について、「満足のいくもの」だったと述べた。しかし、レバノン政府は、この文書の条件をまだ正式には受け入れていない。

イスラエルの国会議員は、12日夜にこの文書を受け取ることになっている。議員に対しては、最終承認のため内閣に戻す前に、14日間の検討期間が与えられている。

また、ラピード首相の反対派も、同首相派が過半数を占めていない議会でこの協定の承認を行うよう求める法的な異議申し立てを開始した。

ネタニヤフ氏は、同氏が来月の選挙後に極右、宗教勢力と組んで樹立することを望んでいる新政権は、レバノンとの協定に縛られることはないだろうと述べた。

AFP

特に人気
オススメ

return to top