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イランの被拘束抗議者が拷問と死の危険にさらされている―人権団体が警告

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21 Oct 2022 12:10:44 GMT9
21 Oct 2022 12:10:44 GMT9
  • イラン当局は、これまでに少なくともジャーナリスト36人、学生170人、弁護士14人、さらに労働者や教職員組合役員など580人以上の市民社会活動家を逮捕した

パリ:人権団体は、イランのマフサ・アミニさんの死に端を発した抗議行動に対する弾圧で逮捕、拘留された社会運動家が、獄中で拷問を受けたり、死亡したりする危険性があると警告している。

22歳のアミニさんは9月、イランの厳格な服装規定に違反した容疑で道徳警察に逮捕された3日後に死亡し、その後1ヵ月以上続いている抗議デモの引き金となった。

20日には、表現の自由を訴える活動家ホセイン・ロナギ氏が、検察に出頭した際に首を絞められて連行されるという衝撃的な映像が公開された。

9月24日に逮捕されて以降、ロナギ氏はテヘランのエビン刑務所に収容されているが、家族は腎臓の持病のために死の危険があると訴えている。

家族は、ロナギ氏は足を骨折してもいると述べている。

ロナギ氏は、逮捕された著名な人権活動家、ジャーナリスト、弁護士の一人。支持者らは、ほとんどの政治犯が収容されている悪名高いエビン刑務所から、生きて戻ってくることができないのではないかと恐れている。

10月15日には同刑務所で火災が発生し、当局によると8人の受刑者が死亡した。

この火災は、被拘束者の福祉に対する懸念を増幅させた。政治犯の被拘束者に被害が出たとの報告はなかったものの、活動家らは、イラン当局が刑務所内で催涙ガスや金属弾を発射したと非難している。

「強制的に身柄を拘束され、姿が見えなくなることが多い被拘束者は、拷問や死の深刻な危険にさらされている。現時点で、国際社会が緊急に行動を起こすことが極めて重要だ」。オスロに拠点を置く人権団体「イラン・ヒューマン・ライツ」(IHR)のディレクター、マフムード・アミリー・モガダム氏はこのように述べた。

IHRによると、これまでに全国で少なくともジャーナリスト36人、学生170人、弁護士14人、さらに労働者や教職員組合役員など580人以上の市民社会活動家を含む計数千人が、デモへ弾圧の際に逮捕された。

IHRは、全国で数千人が弾圧の際に逮捕されたと述べた。(AFP)

ワシントンに拠点を置くアブドラフマン・ボロマンド・イラン人権センターのディレクター、ローヤ・ボロマンド氏は、エビンやファシャフイエ大テヘラン刑務所などの施設に新たに収容された被拘束者の数が膨大であるため、状況はさらに悪化していると述べた。

ボロマンド氏はAFPの取材に「被拘束者の扱いについて非常に懸念している」と語った。

刑務所は過密になっているため、被拘束者は体育館などで「順番に座ったり、寝たりするしかない」状態という。

アナリストによれば、こうした大規模な逮捕・拘留は、最高指導者アヤトラ・アリー・ハメネイ師の重要な戦略となっている。1979年のイラン革命以来、イスラム体制に対する最大級の全国的な抗議の波に、対抗しようとしているのだという。

ウォールストリート・ジャーナルの寄稿者であるロナギ氏は、現在もイランに在住し、長年にわたって最も大胆に同国のイスラム支配体制を批判してきた一人だ。

同氏は、9月22日にイラン・インターナショナル・テレビのライブインタビューに答えていた時、イランの治安部隊が初の逮捕を試みたが、なんとかアパートから抜け出したと、当時語っていた。

2日後、同氏は隠れていた場所から出てきたが、その直後、自らの弁護士と共に逮捕された。

刑務所を襲った火災の後、ロナギ氏は体調不良のため、「母と電話で短い通話をしたが、二言三言しか発することができなかった。ほとんど話すことはできなかった」と、兄弟のハッサン・ロナギさんがツイッターに記述している。

「(兄弟の)ホセインの命が危ない」と、ハッサンさんは19日に最新のツイートで書いている。

エビンでの火災の後、アムネスティ・インターナショナルは、「さらなる不法な殺害、拷問、その他の虐待から被拘束者を守るため」に、独立した監視人をつけるよう求めた。

物議を醸した2009年の選挙後など、近年イランで何度も投獄されている活動家マジド・タバコリ氏は、9月23日に逮捕され、今も牢獄の中にいる。

タバコリ氏の家族は、火災以来、彼の消息が分からないという。「なぜ、脳という道具しかもたない人間が、自由になれないのか?考えることは犯罪なのか」。彼の妻はこうツイートした。

アラシュ・サデギ氏は、今年5月に数年間の服役を終えて釈放されたばかりだった。彼は、珍しい種類の骨癌である軟骨肉腫を患っているにもかかわらず、10月12日にエビンに収監された。

彼の父親は、彼が必要とする12箱の薬の写真をツイッターに投稿した。

その父親は、「彼の肉体を投獄することはできても、彼の魂は常に、彼の知らない人々や被拘束者たちと共にある」と書いている。

IHRは、ジャーナリストで運動家のゴロク・イラエ氏や著名な技術系ブロガーであるアミル・エマド・ミルミラニ(通称・Jadi)氏など、数名の活動家が依然として、獄中で隔離されていることに懸念を表明した。

IHRによると、一部の被拘束者は、「強要と拷問による自白」をテレビを通して行い、拘束中に言葉による侮辱を受けたという。

被拘束者たちは「ひどく殴られ、尋問中に拷問され、食事や清潔な飲み水を奪われたと証言している」と、ボロマンド氏は明かした。

「被拘束者は、散弾銃で撃たれて手足を折られ、治療を受けられないまま放置されているのだ」

AFP

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