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イランの抗議運動は後戻りできない局面に達している ナザニン・ザガリー・ラトクリフ氏は語る

ナザニン・ザガリー・ラトクリフ氏は6年間イランの刑務所に勾留されていた (BBCより)
ナザニン・ザガリー・ラトクリフ氏は6年間イランの刑務所に勾留されていた (BBCより)
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27 Oct 2022 08:10:43 GMT9
27 Oct 2022 08:10:43 GMT9
  • ザガリー・ラトクリフ氏曰く、ソーシャルメディアやTikTok、インターネットを利用するこの世代は、世界や自分たちの権利について自分たちの世代よりも良く知っている
  • テヘランのエヴィン刑務所に勾留されていたとき、ザガリー・ラトクリフ氏はヒジャブの着用を強制するイランの規則に抗議したことで長い刑期を言い渡された多くの女性に会ったという

ロンドン: テヘランで6年間拘留されたイギリス系イラン人の慈善活動家ナザニン・ザガリー・ラトクリフ氏は、イランを巻き込んだ抗議運動は「後戻りできない」局面に達しており、デモ参加者はヒジャブの義務規定の廃止を超える幅広い改革を求めていると語った。


彼女は、イスラム政府が民衆の反乱を弾圧し、インターネットを遮断したことは、彼らが支配力を失うことを恐れていることを示しているのだ、と述べた。

「不適切な服装」という理由で拘束された22歳のマフサ・アミニ氏が警察による拘留中に死亡したことをきっかけに勃発したデモは、6週目に突入する。ザガリー・ラトクリフ氏は「怒りは何年も何年も蓄積されてきた」と言う。

「私たちは、一つの目標のために団結しています。それは自由です。今回のデモは、本当に、本当に力強い。今までに見たことのないような団結力です」ザガリー・ラトクリフさんは、アミニ氏の死を「爆発の火種」と表現した。

デモは、強力な防衛策を講じる政府を倒すに至るとは考えづらい。それでも1979年の革命以来、イランを揺るがす最大の動乱となった。

トムソン・ロイター財団でプロジェクトマネージャーとして働くザガリー・ラトクリフ氏は、水曜日に開かれる同財団の年次信託会議での講演を前に、「今起こっている世代交代は変革に向けた運動で大きな役割を果たすだろう」と述べた。

「この世代は、ソーシャルメディアやTikTok、インターネットを利用しています。彼らは私たちよりも世界や自分たちの権利について良く知っています。私たちよりもずっと勇気があるのです」とも。

デモでは、女性たちが自身のヴェールをはぎ取って燃やした。群衆は最高指導者アリー・ハメネイの失脚を要求した。

人権団体によると、すでに数千人が治安部隊に拘束され、子どもを含む250人以上が殺害されている。

43歳のザガリー・ラトクリフ氏は2016年、当時22カ月だった娘のガブリエラちゃんを連れて両親に会いに行った後、テヘラン空港で逮捕された。

まだ母乳を与えていた娘と引き離され、窓のない小さな独房に9カ月間、独房に入れられた。

ザガリー・ラトクリフ氏は後に、聖職者階級の転覆を企てた罪で有罪判決を受けた。彼女はその容疑を否認した。この事件は政治的な理由によるものものとみられていた。

イギリス政府がイラン政府に対し巨額の負債を返済した後、ラトクリフ氏は3月に釈放された。

テヘランのエヴィン刑務所での拘留中に、ラトクリフ氏は、イランのヒジャブの着用を強制する規則に抗議して長い刑期を言い渡された多くの女性たちに会ったと述べた。中には24年の刑を言い渡された19歳の女性もいたという。

彼女は、今回の抗議行動は、より広範な支持を集め、労働組合がストライキを組織し、経済を麻痺させる可能性があるため、以前の抗議行動よりも政府にとって大きな脅威であると述べた。

「後戻りはできません」とラトクリフ氏は言った。「これはもう、ヒジャブの強制着用だけの問題ではありません。これは、政府が長年に渡り人々に抑圧的な規則を課してきたことが問題なのです。失業問題や生き方の自由、情報やインターネットにアクセスする自由が争われているのです」

イラン当局は、人々が抗議活動を組織し、外の世界と画像を共有することを阻止するために、インターネットを遮断し、InstagramやWhatsAppなどのプラットフォームへのアクセスをブロックしている。

「インターネットを遮断することは、彼らが普段行っている監禁とまったく同じです。その規模が大きいだけです」とラトクリフ氏は言う。

「我々は彼らによって外の世界から切り離されているので、世界は我々に何が起こっているのか知らないし、我々はそれを伝えることもできない。彼らは我々に恐怖させ、忘れられたと思わせたいのです」

ラトクリフ氏は会議で、国際社会は政府による監視や検閲に対抗する手段を持っていると述べ、イラン人が「自由な情報の流れ」にアクセスできるようになるため行動することを促した。

さらに、個人を対象とした制裁を要求した。イランの人々は一般的な制裁に耐えながら生きる術を学んできたと付け加えた。

水曜日、アメリカははインターネット検閲と弾圧に関与したイラン政府関係者と団体に制裁を科した。

制裁を科された者のなかには、政治犯を収容し、多くの抗議者が送られたとアメリカ政府が考えているエヴィン刑務所の監督者も含まれている。

ラトクリフ氏は声を詰まらせながら、エヴィン刑務所に収監されている友人たちの名前を読み上げた。アミニ氏の死後40日目、イランで伝統的に行われている喪の日に、会場にアミニさんを偲ぶよう呼びかけた。

「アミニの死は、イランだけでなく、世界中のすべての人々に、正義が勝つという希望の光をもたらした。彼女の名前は自由を意味する」

ラトクリフさんはトムソン・ロイター財団に対し、抗議活動のおかげでイラン人女性であることを誇りに思えるようになったと語った。

「亡命せざるを得なかった私たちにとって、イランの街頭にいる女性たちと共にいられないのは残念なことですが、とても誇りに思います」と彼女は言った。

ラトクリフ氏は現在、娘と夫のリチャード氏と共にロンドンに住んでいる。彼は、外務省の外でキャンプしながら、3週間のハンガーストライキを行うなど、イランの女性解放のための長い活動を展開した。

しかし、友人たちがまだ刑務所にいる間は、完全に自由を感じることはできないとラトクリフ氏は言う。

「自由というのは、とても相対的な概念です。私は刑務所から出ることができ、ロンドンの家族のもとに帰ることができたという意味では自由です。一方で、イランに残してきた部分もあります。私の国が自由になるまで、私は完全に自由になることはできません」

ロイター

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