Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • トルコ、米国のF-16売却「ゴーサイン」を期待

トルコ、米国のF-16売却「ゴーサイン」を期待

トルコは、待望の60億ドルでのF-16戦闘機購入取引について、米下院が年次国防予算案に修正を加えて売却への一連の障害を除去したことから、前進を確信している。(ファイル/AFP)
トルコは、待望の60億ドルでのF-16戦闘機購入取引について、米下院が年次国防予算案に修正を加えて売却への一連の障害を除去したことから、前進を確信している。(ファイル/AFP)
Short Url:
10 Dec 2022 06:12:47 GMT9
10 Dec 2022 06:12:47 GMT9
  • ギリシャを含むトルコの地域敵対国は空軍を急速に近代化させていると、アナリストはアラブニュースに語る
  • 2023年度国防権限法は今月上院・下院を通過しホワイトハウスに送られる予定

メネクセ・トキャイ

アンカラ:トルコは、待望の60億ドルでのF-16戦闘機購入取引について、米下院が年次国防予算案に修正を加えて売却への一連の障害を除去したことから、前進を確信している。

米上院・下院の議員らは6日、年次国防予算案について合意に達した。

2023年度国防権限法(NDAA)案は今月上院・下院を通過しホワイトハウスに送られる予定だ。

2021年10月、トルコは米国に対し、ロッキード・マーチン社製F16戦闘機40機および既存の戦闘機用の近代化キット約80個を購入したいと要請した。しかし、米国は標準的な手続きに従う必要があるとして今のところ売却に「ゴーサイン」を出していない。

米国ジャーマン・マーシャル財団のアンカラ事務所長であるオズグル・ウンルヒサルシクリ氏はアラブニュースに対し次のように語った。「トルコへの戦闘機売却に制限的条件を課していた条項がNDAA案から削除されたことで、トルコが米国から新しいF-16戦闘機40機とF-16近代化キット80個を購入するための重要な障害が取り除かれた」

国務省は3月、議会への書簡の中で、トルコに戦闘機と近代化キットを売却することになれば二国間関係とNATOの長期的結束が強化されるだろうと述べた。

この書簡は次のように述べている。「本政権は、米国とトルコの適切な国防貿易関係によって支えられる、NATOの長期的結束と能力に関するやむにやまれぬ利益、また米国の国家安全保障・経済・商業上の利益がそれでもなお存在すると信じる」

トルコによるウクライナ紛争の仲介努力や、UAE、サウジアラビア、イスラエル、エジプトなどのかつての敵対国との国交正常化政策のおかげで、ジョー・バイデン米大統領の政権内におけるトルコに対する姿勢は軟化した。

トルコのイブラヒム・カルン大統領府報道官は、CNNトルコによるインタビューの中で、トルコへのF-16戦闘機売却についての米国の承認は1~2ヶ月で完了する可能性があると発言した。

8月には、ワシントンでトルコの技術代表団がロッキード・マーチン社の専門家・当局者と会合を開いた一方、別の政治代表団もトルコの外交官らと共に米国でロビー活動を行った。

9月には、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がニューヨークで米上院議員2人(リンゼー・グラム議員とクリス・クーンズ議員)と面会し、売却への支持を求めた。

しかし、トルコがロシア製防衛ミサイルシステムを購入して以降、米国の兵器をトルコに売却するという提案は激しい議論の対象となっており、その結果トルコはF-35戦闘機プログラムから除外されたうえ、同国の防衛部門は米国によるいくつかの制裁の対象となった。

民主党上院議員で上院外交委員会委員長のロバート・メネンデス議員は7日、トルコへのF-16戦闘機売却を承認しない意向を示し、NDAAの最終文章はトルコの「勝ち」とはなっていないと述べた。

イスタンブールのシンクタンクEDAMの安全保障アナリストであるシネ・オズカラサヒン氏は、バイデン政権は政治的資本を利用して議論を前向きな方向に動かそうとしていると指摘する。

同氏はアラブニュースに対し次のように語る。「しかし、合意に至るまでにはまだ乗り越えるべき障害が多くある。中でもメネンデス議員のような懐疑的な上院議員の説得が最も重要だ」

NDAA案に付随する説明文は、「NATO加盟国は他のNATO加盟国の領空を許可なく飛行してはならない」と強調しているが、これはトルコとギリシャの間の論争のきっかけとなったエーゲ海上空の飛行に対する警告だと多くの専門家が考えている。

ウンルヒサルシクリ氏は次のように語る。「取引を阻止したい米議会の議員たちにはそうするための他の手段があるが、一方で政権には彼らの反対を克服あるいは回避する方法がある」

「武器輸出管理法に従うと、米大統領にとっては議会がこの取引に正式に反対しないことが必要だ。大統領は第三国に対する防衛売却を正式に決定する30日前に、あるいはトルコを含む同盟国の場合は15日前に、議会に通知する必要がある」

議会がその15日間以内に不承認の共同決議を可決しなければ、大統領は取引を締結することができる。

ウンルヒサルシクリ氏によると、過去に議会がこの手続きを通して兵器売却を阻止したことはない。その負担を考えれば、そのような決議を短期間のうちに可決するのは簡単なことではない。

同氏は次のように付け加える。「しかし、大統領による正式な通知の20日前に国務省が議会に対し非公式に通知するという形の慣例もある。非公式の通知の後に議会で強い反対があった場合、大統領は正式な通知を行わない可能性が高い」

F-16戦闘機購入の取引が不成立に終わった場合、トルコは他の選択肢を検討する可能性がある。ユーロファイター、スウェーデンのサーブ戦闘機、あるいはロシアや中国の最新世代の戦闘機などだ。

ウンルヒサルシクリ氏は次のように話す。「しかし、ギリシャを含むトルコの地域敵対国が空軍を急速に近代化させている一方で、トルコの戦闘機は第4世代モデルで止まっている」

「トルコは、F-35プログラムから除外されたこと、また地政学的敵対国とのパワーバランスが変わりつつあることから、国産戦闘機が完成するまでの間に合わせの策を緊急に必要としている」

最近、トルコが独自開発したTF-X戦闘機の最初の試作機が最終組立ラインに到達した。2023年3月に公開、2025年か2026年に初飛行が予定されている。

特に人気
オススメ

return to top