• トルコはイスラエル、イラン、パレスチナの間で政治的綱渡りをしている：アナリスト

アラブニュース

イスタンブール：報道によると、トルコ治安当局は14日、同国に住むパレスチナ人の国外居住者や組織を標的とした活動に関与したとされるイスタンブールのコンサルティング会社の関係者数人を逮捕した。

トルコの親政府新聞サバフによると、今週開始された作戦の一環として、イスラエルの情報機関モサドとつながりのある44人の容疑者が特定された。

そのうち7人は勾留され、残りは現在も逃亡中か、トルコの対スパイ部門による取り調べを受けている。

トルコ国内に住むパレスチナ人の市民、非政府組織、機関を標的とした作戦とされるものには、ソーシャルメディアを通した脅迫や評判を貶める投稿のほか、彼らの情報のモサドへのリークが含まれていたと考えられている。

このネットワークのメンバーはこういった活動と引き換えに数千ドルを受け取ったとされる。

逮捕者の中にはトルコ私立探偵協会の創設者で社長のイスマイル・イェティモグル氏が含まれているとみられる。同氏は23年間公務員として働いた後、2003年に私立探偵となり、2007年に自身の会社を設立した。

近年の対スパイ捜査によって、トルコ国内で活動しロシアやイランのためにトルコにいる標的を誘拐・暗殺しているいくつかのネットワークの存在が明るみに出ている。

6月には、警察と国家情報機関（MIT）の合同作戦の一環として、イスラエル人に対する攻撃を計画していたイラン人の小集団のメンバーがトルコで拘束された。

彼らはビジネスパーソン、観光客、学生を装ってトルコに入国しイスラエル人を監視していたとされるが、トルコの監視下にあった。

MITは2月にもイラン人が主導する計画を暴いていた。殺し屋のネットワークを利用してイスラエル系トルコ人ビジネスパーソンを殺害する計画だった。

そして昨年10月には、防衛産業への採用に適したトルコの大学の外国人学生とみられる人々の情報をモサドに提供した容疑で15人を逮捕した。

モサドのために活動していた工作員のネットワークは、それぞれが3人から成る5つの個別の小集団で構成されていた。

トルコ当局はしばらく前から、イスタンブールを拠点とするいくつかのコンサルティング会社を調査していた。これらの会社の一部が報酬を受け取ってパレスチナ人やその非政府組織に対するスパイ活動を行っているとの申し立てがあったためだ。

「イラン核兵器抵抗連合」の政策担当者であるジェイソン・ブロツキー氏はアラブニュースに対し次のように語る。「この（14日の）作戦は、トルコにはイスラエル、イラン、パレスチナに関してバランスを取っている複雑な計算と利害があることを示している」

「イスラエルを宥めて関係を改善するためにイスラエル人を標的としたイランのテロ計画を取り締まる一方で、イランの制裁回避を容認している。同時に、パレスチナ人の擁護者としても振る舞おうとしている」

イスラエルは今回の逮捕や容疑に関して今のところコメントしていない。

7月以降、イスラエルとトルコは関係改善に取り組んでおり、最近には大使を相互に派遣した。

ブルックリン大学のルイス・フィッシュマン准教授は、今回の逮捕はイスラエルとトルコが和解に向けて最大限に努力しているタイミングで行われたと指摘する。

「これは既に強力な両国間の情報共有にダメージを与えるだけのものだ。もし今回の容疑に真実が含まれているならば、イスラエルにとってはほとんど成果を期待できない大きなギャンブルであるように思われる」

「ただ、トルコの裁判所には全般的に透明性に欠けているため、全容は分からないかもしれない。したがって、今後数週間の展開を見守る必要がある」

トルコでは約571人のパレスチナ人学生がトルコ政府の奨学金を得て学んでいる。一方、トルコに住むパレスチナ人は同国内に「パレスチナ友好協会」やイスタンブールの「パレスチナ国際慈善協会」などのNGOや企業をいくつか立ち上げている。

トルコに住むパレスチナ人の数は2万5000～3万人と推定されている。